果てしないさみしさが、そこにあった・・・『リリィ・シュシュのすべて』
かつて一緒に仕事をした知人と、岩井俊二監督と蒼井優の話になり、彼は監督の最高傑作は『リリィ・シュシュのすべて』だとした。ただし家族で鑑賞するのはお奨めしない、何故なら『花とアリス』とは全く対照的な陰湿なテーマだからだ、とする。
それだけれども最高だというのは、少年少女の層のそれぞれが持つ焦燥と葛藤、寂寥感を描くリアリズム、そして、息を呑むほど美しい映像にあるという。特にエンドロールが秀逸という。
今日はだから、朝から一人でDVDを借り、昼過ぎまでこれを一気に観た。
観終わって深い沈黙が訪れた。どう表現すればよいのだろうか。言葉にしようもない、果てしないさみしさがそこにあった。
音楽は、小林武史の曲と歌手・Salyu、そしてドビュッシー。ピアノ曲「月の光」、「亜麻色の髪の乙女」、「アラベスク第1番」が美しく流れる。「アラベスク第一番」は、中学校の音楽室で久野陽子役の伊藤歩が演奏する(実際の音源は、牧野由依という声優・ピアニストが弾いたものだという)。
美しい音楽が、この世にある現実或いは荒んだ世界に沁み渡った瞬間、それは一気に細かい泡のように弾け、天の果てに希求するように昇ってゆくような気がする。
■『リリィ・シュシュのすべて』のエンドロール →
』http://youtu.be/LMhSwxb-1kg
・監督・脚本:岩井俊二
・出演:市原隼人、忍成修吾、蒼井優、伊藤歩、大沢たかお、稲森いずみ
・撮影:篠田昇
・製作:ロックウェル・アイズ、2001年、146分
■ついでにこちらも掲載。蒼井の映画で一番好きな『花とアリス』。息をのむバレエシーン。何度見ても言葉にならない。 →
http://youtu.be/kA00CCEvhZo