「街角探検隊」から「てらすweb」まで・・・『図説 占領下の東京』
先日のブックフェアで、ふくろうの本の『図説 占領下の東京』(佐藤洋一、河出書房新社)を買っていて、ようやく眺める時間ができた。
眺める、としたのは、この本は半分は終戦直後~数年後までの、占領下の東京の街角の写真であるからだ。いまの街にある建物や道路とは異なる様相がそこにはあり、しかしその系譜は現在にまでしっかりと息づいている。昔の道路の姿を眺めながら、記憶している今の道路の様相に頭のなかで重ね合わせたり、アライメントをかけることが、楽しい。僕には楽しい。
たとえば、次のよう。
“終戦一年後の東京駅。買い出しのため、地方へ向かう切符を求める列がのびている。食糧事情は危機的状況にあった。駅舎はまだ小さく、外濠川を渡ると駅だった。(昭和21年8月14日)”
いまの東京駅八重洲口前のロータリーと広い外堀通りのちょうど真ん中あたりに、かなり広い幅の外堀があり、そこにこれまた、ずんと太い幅の橋がかかっている様相をみるだけで、なんだか自分がその上にたたずんでいるような気がしてくる。
この著者は、早稲田大学・社会科学部の教授で、空間映像研究ゼミを主催している。「てらすweb」にその一部がわかる。世の中の見えにくいもの、隠れたもの、埋もれたものなどに光を当てたい、という意味の「てらす」だ。→
http://terasu-web.com/index.html
こういう学問があることに驚き、そしてしかし、いくつかの考察や表現を観ているうちに、ああ確かに「街角探検隊」が進化するとこうなるなあ、とようやっと合点した。