『不格好経営 チームDeNAの挑戦』・・・失敗を常に携えながらの夢の実現物語
友人から薦められて、会社の帰りに買って一気に読んだ。普段ビジネス書は、なるだけ後回しにして読んでいるのだけれど、これだけは違った。『不格好経営 チームDeNAの挑戦』(南場智子、日本経済新聞出版社)。
僕は、DeNAというと、横浜ベイスターズを買ったゲーム会社、程度にしか認識しておらず、家でも外でも携帯でもゲームをやらない非ゲーマーだから、その会社についての関心もまったくなかった。それなのに、どうして読み通せたのか。
これはビジネス書ではないからである。夢物語である。失敗を常に携えながらの夢の実現物語だ。
この会社の社是(DeNAクオリティー)についても感心したが、きっと業界では有名な話だろうから、僕が感心したことを記しておく。
・なんでも3点にまとめようと頑張らない。物事が3つにまとまる必然性はない。
・重要情報はアタッシュケースではなくアタマに突っ込む。
・自明なことを図にしない。
・人の評価を語りながら酒を飲まない。
・ミーティングに遅刻しない。
コンサルティング会社出身の創業者であり著者である彼女が、語っている事柄で、これはだからとても感じ入った。そんな彼女が人を口説くときに心がけていることは、「全力で口説く、誠実に口説く、の2点に尽きる」だという。
彼女は、あとがきで、次のように結ぶ。
「社員の数だけ個性があって夢がある。それぞれの個性と夢が集まって、またきっと離れていく。46億年の地球の歴史のなかでDeNAの歴史はまだたったの数年だ。これからこの会社がどんなに長生きしようとも、地球や宇宙の時間のなかではほんの瞬間の存在になる。けれどもなにか宇宙に引っ掻きキズみたいな証を残したい。私たちの大きな夢とてんでバラバラの個性で、DeNAが生まれる前とその後では、きっと違う時代になる。私たちは、夢に近づいただろうか。これからもっと近づけるだろうか。」
DeNAがやっている世界を、ちょっと覗きたくなった。