友人は、ある歌人に似ていて、街角でいきなり出会って呼び掛けようとすると、その歌人の名前がまず口に出てしまったりする。歌人だけではなく俳優にも似ていたりして、あるときは綺麗なマフラーを巻いていたから、思わず、中尾(彬)さん、と声をかけてしまった。吟遊詩人のような出で立ちのときもある。
そんなことを考えていたら、スナフキンのような出で立ちで、野や街をさすらい詠み歌う詩人や歌人でこの世が溢れたらな、という想像をした。
携帯電話も吟遊限定とする。交通機関に乗って携帯を片手にページを繰るひとたち、歩道をゆくひとたちも、すべての入出力を詩や俳句、短歌のみ受け付けるようにする。
世界がなにか変わるのでは。吟遊詩人しばり。
ひとひねり、ふたひねりしての会話になり、内省的思索家がそこかしこに生まれてゆく。
そんな今朝の一首。
「曇天の 春の寒空 ひとすじの 梯子のひかりよ 招くエンジェル」