宇宙探査機に載ったグールドのレコード

アメリカが打ち上げた太陽系内外の宇宙探査機には、レオナルド・ダ・ヴィンチの『ウィトルウィウス的人体図』が収められている、とずっと記憶していた。しかし、よく調べてみたら、どうも違うらしい。宇宙探査機は、1972年と翌年に打ち上げられたパイオニア10、11号で、人体図はカール・せーガンの妻(Linda Salzman Sagan)によるdrawingだった。
ココ→http://quest.nasa.gov/sso/cool/pioneer10/graphics/lasher/slide8lg.html

■『ウィトルウィウス的人体図』(レオナルド・ダ・ヴィンチ) …原図データ:Luc Viatour / www.Lucnix.be による。

■Pioneer Plaque(Linda Salzman Sagan) …原図データ:http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Pioneer10-plaque.jpgによる。
さて、ここからが本題。

さらに続いて打ち上げられた宇宙探査機ヴォイジャー1、2号(1977年)には、世界の音楽が収められたレコードが搭載されていて、そこには、確か、グレン・グールドの演奏するゴルトベルク変奏曲が入っていたと記憶していた。

ところが、昨日読みおえた『「草枕」変奏曲』(横田庄一郎)で、これは間違いで、平均律であったことにようやっと気づいた。グールドのゴルトベルクを聴いていると、宇宙の果てまで届くような透徹さと純粋な美しさを感じてしまい、ヴォイジャーに搭載されているグールドのバッハ、と聞けばこの曲に違いない、と思い込んでいたようなのである。

このゴールデンレコード(というそうだ)に収録されている他のクラシック音楽についても、くだんの本は紹介してくれている。

■J.S. バッハ:ブランデンブルク協奏曲第2番第1楽章(ミュンヘン・バッハ・オーケストラ、指揮者 カール・リヒター)4:40
■J.S. バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ第3番からガボット(アルテュール・グリュミオー)2:55
■W.A. モーツァルト:『魔笛』から「夜の女王のアリア」(エッダ・モーザー(soprano)、バイエルン国立歌劇場管弦楽団、指揮者 ヴォルフガング・サヴァリッシュ)2:55
■I. ストラヴィンスキー:『春の祭典』から「生贄の踊り」(コロンビア交響楽団、指揮者 イーゴリ・ストラヴィンスキー)4:35
■J.S. バッハ(平均律クラヴィーア曲集第2巻プレリュードとフーガ第1番(グレン・グールド)4:48
■L.v. ベートーヴェン:交響曲第5番(フィルハーモニア管弦楽団、指揮者 オットー・クレンペラー)7:20
A. ホルボーン:ヴァイオルもしくはヴァイオリン属と管楽器のためのパヴァン集、ガリアード集、アルメーン集ならびにエア集から「妖精のラウンド」(デイヴィッド・マンロウとロンドン古楽コンソート) 1:17
■L.v. ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番カヴァティーナ(ブダペスト弦楽四重奏団)6:37
(以上、NASAのWebにも掲載されている。ココ→http://voyager.jpl.nasa.gov/spacecraft/music.html

バッハ3、ベートーヴェン2、モーツァルト、ホルボーン、ストラヴィンスキー各1。バッハへの傾斜配分がすごいが、それはそれだけ宇宙人も理解できるからと想像してのことか。そんななか、われらがクレンペラーも最長録音時間で鎮座している。泰然自若の精神だ。

このボイジャーが、いまどこを飛行しているか。それは刻々と伝えてくれている。Webページの右下に表記。この数字の変化(すごい速さだ)を追っているだけでも、なんだかワクワクする。
ココ→http://voyager.jpl.nasa.gov/index.html

しかし、ダ・ヴィンチの絵やグールドのゴルトベルクが搭載されていると思い込んでいる僕の脳は、もはやあまり信頼を置けるものではなさそうだ。

遠い将来、果てしなき遠い世界の宇宙人が、この音盤を手にして、遠く地球という星に思いを馳せるときには、僕らはとうの昔にこの世を去っており、その子孫の子孫の何十代も後の人たちも去っているだろうが、そのときにはこういう音が聞こえるのだ、と思いながら、今日はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第13番を聴いている。

※ヴォイジャーのミッションについて:
http://voyager.jpl.nasa.gov/mission/index.html
The twin Voyager 1 and 2 spacecraft continue exploring where nothing from Earth has flown before. In the 34th year after their 1977 launches, they each are much farther away from Earth and the Sun than Pluto. Voyager 1 and 2 are now in the "Heliosheath" - the outermost layer of the heliosphere where the solar wind is slowed by the pressure of interstellar gas. Both spacecraft are still sending scientific information about their surroundings through the Deep Space Network (DSN).

The primary mission was the exploration of Jupiter and Saturn. After making a string of discoveries there -- such as active volcanoes on Jupiter's moon Io and intricacies of Saturn's rings -- the mission was extended. Voyager 2 went on to explore Uranus and Neptune, and is still the only spacecraft to have visited those outer planets. The adventurers' current mission, the Voyager Interstellar Mission (VIM), will explore the outermost edge of the Sun's domain. And beyond.
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Tracked from 新・はんきちのつぶやき at 2013-09-14 08:55
タイトル : ヴォイジャー1号が伝えるもの
宇宙探査機ボイジャー1号がこの12日に太陽系の外に出て更なる遠き旅に入ったという報道があった。その記事には、この探査機に載せているゴールデンレコードのなかに、グレン・グールドが弾くバッハの平均律クラヴィーア曲集第2巻「プレリュードとフーガ第1番」を入れることを提案したのは何と日本人で、当時NASAで研究をしていた宇宙物理学者の佐治晴夫さん(現在78)だとある。この方は神奈川県伊勢原市に今は住まわれているというから拙宅からすごく近所だ。 遠く星雲のかなたに飛び立った音楽が、再び舞い戻って来たような...... more
by k_hankichi | 2012-11-25 11:26 | クラシック音楽 | Trackback(1) | Comments(0)