読み始めた件のレヴィナス本では、冒頭にその答えが記されていた。これは、よく読むと非常に含蓄がある。そして、おお…、まさにそうなのだよなあ、と頷いた。
この思想にたどりつくまでの、ながき道程についても、ひたむきな思索の繰り返しを想い、ただただ頭が下がった。
「何のために生きるのか。何ものかのために生きる。しかし、何ものかのために生きることを通して、自分のために生きる。しかし、自分のために生きることを通して他者のために生きる。しかし、他者のために生きることを通して人類のために生きる。ところで、人間は肉体の愛を通して子供を生むことがある。そのことを通して、再び、他者のために生きる。そして、再び、人類のために生きる。ところで、人間は死ぬ。さらに再び、死ぬことを通して、他者のためと人類のために生きて死ぬ。総じて、奇矯な言い方に聞こえるだろうが、何のために生きるのかといえば、死ぬために生きるのである。」