『殉愛 原節子と小津安二郎』…明かされなかったことの数々
友人の勧めで、『殉愛 原節子と小津安二郎』(西村雄一郎、新潮社)をさっそく読んだ。殉愛と西村が名付けた彼らの関係は、ふたりそろってのことだったのだ、と納得する。
ヨハネス・ブラームスと小津の関連性。かの作曲家が生涯思い続けた女性、クララ・シューマン。それと同様の原節子に対しての、小津の秘めらた情熱と憧れ。たしかに、と思う。
『晩春』、『麦秋』、『東京物語』。そこにある通奏低音の見事さ。それらをまたじっくりと観たいと思うとともに、僕がこれまであまり接してこなかった作品、『東京暮色』を、無性によく観たくなった。