アンジェラ・ヒューイットの、バッハの平均律クラヴィーア曲集を聴いている。2008年9月のベルリンでの録音(二回目の全曲収録)。
自由に、気持ちの流れに逆らわずに奏でるその音色は健康的で、そしてどこまでも穢れを知らぬように響く。
バッハは、難しく考えるのではなく、吐息とともに、そして時の流れに沿うように、過去から現在に、そして未来に向かってゆく。
はるか先の未来には、僕らはもう居ないかもしれないが、たましいはしっかりと、その音色を聴き分けるに違いない。
アンジェラの音色は、そんなふうに優しく柔らかいのだ。