『聞く力』(阿川佐和子)・・・僕に求められるたいせつな力
この本のことを知っていながら、読んで愕然とする自分のことが怖くて、近寄らなかった。しかし昨日、意を決して日本橋の丸善で購入して今日読み終えた。『聞く力』(阿川佐和子、文春新書)。
まえがきに、こう書かれている。
“素直な気持ちで好奇心の赴くまま人の話を聞いたとき、聞き手は自分の記憶や気持ちをそこに重ね合わせ、必ず何かを感じ取るはずです。そして、聞かれた側もまた、語りながら改めて自分の頭を整理して、忘れかけていた抽斗を開け、思いも寄らぬ発見をするかもしれません。”
僕に求められるたいせつな力の数々が、綴られている。章ごとにキーワードがあって読みやすい。
「面白そうに聞く」
「質問の柱は三本」
「あれ?と思ったことを聞く」
「観察を生かす」
「段取りを完全に決めない」
「相手の気持ちを推し測る」
「上っ面な受け答えをしない」
「素朴な質問を大切に」
「なぐさめの言葉は二秒後に」
「安易にわかりますといわない」
「知ったかぶりをしない」
しかし、何が一番ぐさりときたか。次の質問に心を奪われてはならない、ということだ。人の話を聞くということは、「話を素のままに聞き、心が応じる言葉を返すこと」。
阿川さんくらいになれないまでも、そこに向かう努力をしたいな。