大切な軌跡は幾層にも記憶の奥底に積み重なっていて、ときおりそれらはふわりと浮かんでくるだけだ。そして先週末、漂ってきた一つが大泉学園と、その地の酒場『あつけし』だった。
さて、昨晩いつものようにTBSテレビ『吉田類の酒場放浪記』を観はじめたら、旅先はいきなり大泉学園で、しかも訪問先は件の『あつけし』だった。キツネにつままれたような気分。記憶に浮上してきた矢先の具現化である。なんとも戸惑う状況。
番組で観る大泉学園は記憶とは違っていて、駅前は高架になっているなにかしらハイカラな様相。ロータリーも広く、むかしの鄙びた風景とは大分違う。
ああ、あのさきに友人たちが暮らしていた二階家があって、あそこで、いろんな語らいをしたり、ちょっとしたエピソードがあったり(これは伝え聞く話だからここには書けない)、とますます記憶が蘇ってくる。
『酒蔵厚岸』は店の入り口の佇まいが異なる。以前はビルのテナントの一つで、ちょっと狭めの洞窟のような入り口だった記憶だが、番組ではきちんとした一軒の店だ。
しかし店先の看板には『あっけし』とある。ああやっぱりここだ。昔は確か『あつけし』だったようにも思う。
店のママさんが番組で語ることによると32年前に開店したということ。すると僕らは開店早々からあの店に出入りしていたことになる。詳細の事象はあの街に住んでいた、田宮二郎と露口茂(それぞれ自称他称)に尋ねてみなければならない。
とにもかくにも懐かしさに溢れ、あのころのひとときがさらに思い出されていった。
『あっけし』はココ→
http://w3.bs-tbs.co.jp/sakaba/shop/473.html