週末は、母校(大学)のキャンパスを訪れていた。
駅前の銀杏並木はまだ青々とした佇まいを見せている。記念館まで少しだらだらと上るその道の途中では、学生時代にそこで遭った知人友人との会話まで思い出した。
階段教室の建物は昔とかわらないが、研究室棟は格好よいビルディングに変わっていて圧倒される。
たまり場になっていた倶楽部サークル棟はあとかたもなく消えていた。記憶だけがそこに浮遊していて、不思議な気分だ。
住宅街や理工学部キャンパスを望める見晴らし場のベンチは相変わらずで、宗教活動の勧誘に遭って、ああだこうだと議論したことを思い出した。
快活なる若者ら、碧眼の溌剌の一団、スキャットの練習をする男女グループなどを見るにつけ、いくらでも記憶が蘇ってくる。
帰りがけに駅の反対側に行ってみれば、喫茶『まりも』は健在で、友の名前と絡めてよくそこを選んで待ち合わせていたその彼が、その日も窓の外の僕に本を片手に合図していた(ような気がした)。