フレディー・ケンプによるゴルトベルク変奏曲

フレディ・ケンプというピアニストを知ってはいたが、聴いたことはなかった。しかしBBC Music Magazine誌の今年8月号で、彼によるゴルトベルク変奏曲に触れてから(付録CD)、ときどき無性にその演奏に触れたくなり、なんどもなんども繰り返して聴いている。

きわめて控えめに静かに始まり、しかし演奏の途中で感情の流れに押されるように、どんどんとテンポが変わっていく。恣意的ではなくて、自然なるままの流動。そして優しい。肌を撫でられるような感じがする。この曲が旋律の変奏だけでなく、感情の変奏であり随意なるままに弾いて良いものなのだということが、理論は度外視してわかる。

ケンプのゴルトベルクは、グールドの崇高なる宇宙観とは異なり、草原の爽やかなる息吹、そこに流れるそよ風と牧草の香り、そしてそこに自然に自らの気持ちを委ね、そこからのインスピレーションで旋律を奏でていくという感じだ。

フレディはウイルヘルム・ケンプを親戚にもつ家系で母親は日本人。その静かなるまなざしの端正な風貌にもなにか親しみを感じるものがある。1998年にチャイコフスキーコンクールで3位となったとき、会場は騒然となり審査員のロシア人への偏向ぶりが非難されたという。

このBBC Music Magazine Collectionのフレディのゴルトベルクについて、Youtubeにアップしてくれている人がいるので、聴いてみてほしい。特に第30変奏と終曲を。

第30変奏:http://youtu.be/Zy9rQqt2pCs


終曲:http://youtu.be/8NoEBdQuxrk

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Commented by maru33340 at 2011-09-11 10:37
あの僕の大好きな祖父のようなケンプの息子さんですな。こりゃあ良さそうである。
Commented by k_hankichi at 2011-09-11 14:37
ううん、ヴィルヘルムの息子さんではないのですが、親戚筋とのことです。ケンプもバッハが好きだったそうですがフレディも素晴らしいよ。
by k_hankichi | 2011-09-11 10:29 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)