水戸黄門ドラマのような『酒場放浪記』(吉田類)
2011年 09月 06日飲み屋、酒場を訪れるシナリオはこうだ。
①駅前に降り立ちカメラに歩み寄る。「こんにちは、吉田類です」。とてもさわやかなオジサンだ。たいてい陽がまだ高いうちからのようだ。
②街の印象をひとところぶつ。
③早速酒場を見いだす。見つけ方はいろいろ。予め調査手配してあったり(これが大半のようだが)、ぶらり立ち寄ったり。
④お勧めを飲みはじめ、食べはじめる。隣の人と乾杯。ものの五分で呂律が怪しくなりはじめる。
⑤若い衆や特に美しい女性がいると割り入る。お~お~、人柄がそうさせるのか単なる強引なのかはまだ分からない。こちら、いいな~と羨ましいがる。
⑥さらに飲む。呂律は失われる。
⑦暖簾を後にし、別の店に寄りますと言いつつ後ろ手にして川柳一句とともに路地の闇に消える。
毎度これだけなのだが、思わず魅入られるのは、水戸黄門のドラマのように筋書きが決まっている安堵感からなのか、単に疑似体験したいからなのか。
いずれにせよ、酒飲みには堪らない通俗番組である。愛してやまないことになってしまった。