シューベルト、二つ目の音盤は、『白鳥の歌』。マティアス・ゲルネという人が歌うもの。アルフレート・ブレンデルが伴奏している贅沢さ。
リートに疎い僕だけど、なんだか心に染み入る優しい歌い方だ。とても端正に尽くされている。
どんな人だろう、とジャケット写真を見遣れば、歌とは裏腹に、スタートレックの映画にでも出てきそうな、まるで別の怖ろしい世界を観てしまったかのような顔だ。
確かにこの曲を書いているころのシューベルトは、梅毒に冒され、死に瀕しているところであり、そんな境地がここに表されているような気がする。
■シューベルト 『白鳥の歌』D957
■ベートーヴェン 『遥かなる恋人に寄す』作品98
マティアス・ゲルネ(バリトン)
アルフレート・ブレンデル(ピアノ)
録音:2003.11.5 & 7, ウイグモア・ホール、ロンドン(ライヴ)
音盤:ユニヴァーサル(デッカ) UCCD1137