ブラームス・ピアノ四重奏曲・・・フォーレピアノカルテットの峻厳
ブラームスが音楽の恩人と崇めていたシューマンは、1854年にライン川に投身自殺を図った。このことにショックを受け、三曲のピアノ四重奏曲を書き始めた。三曲を並行に。
構築性に富むこの室内楽は、聴いているとなんだか交響曲に思えてくる。いろいろな音が聞こえてくる。四重奏曲第三番は、特に交響曲第四番であるとか第一番の雰囲気が流れている。
音盤の演奏は
フォーレ四重奏団。1995年にドイツのカールスルーエ音楽大卒の4人により結成されたピアノカルテットだ。この人たちによるこのブラームスは、「峻厳」という言葉がふさわしい。悲痛な気持ち、そして祈るような気持ちが曲全体から伝わってくる。CDアルバムの写真にある、快活そうな四人組の様相とはまったく異なる。
カールスルーエというと、ドイツ最古の工科大学がこの地にあり、僕にはそちらのほうが親しみがあった。調べてみたらカールス(カールの;karls)とルーエ(休息所;ruhe)という名の通り、その地の伯爵の名前をとって、18世紀初頭に森林地帯に城がつくられ、そこを中心に道路網が放射状に伸びた計画都市だそうだ。マンハイムと並ぶバロック都市。訪れてみたい場所のひとつに加わりそうだ。
つぎのような名台詞があった。
「フォーレ・カルテットを聞いたら、誰でも、もう一度聴きたくなる」 -マルタ・アルゲリッチ
ブラームス:ピアノ四重奏曲第一番ト短調 作品25、第三番ハ短調 作品60
CD:独グラモフォン 00289 476 6323
演奏:エリカ・ゲルトゼッツァー(ヴァイオリン)、サーシャ・フレンブリング(ヴィオラ)、コンスタンティン・ハイドリッヒ(チェロ)、ディルク・モメルツ(ピアノ)
録音:2007.8.22-25 Siemensvilla, ベルリン
■カールスルーエ城(Source:
German Wikipedia http://de.wikipedia.org/wiki/Datei:Schloss-Karlsruhe.jpg)