友人の薦めで、百田尚樹の『永遠の0』(講談社文庫)と、宮部みゆきの『蒲生邸事件』(毎日新聞社)を、この週末に読んだ。
どちらも、僕には(恥ずかしながら)初めての作家だった。そして、どちらも、太平洋戦争中やその直前の時代が舞台だった。それを現在の若者が、あることをきっかけにだんだんと、解き明かしていくもの。
『永遠の0』が、良い作品だった。ラバウルの青い海と珊瑚礁の果てにある水平線、巡航する、零式艦上戦闘機。大空に散っていった人々の姿が、目の奥に焼き付いた。
その頃の日本海軍や帝国陸軍の指揮命令やマネジメントが、どのようなものだったか、そしてその結果が何をもたらしたかを、現代の会社組織運営になそららえて、記しているところも、なるほどなあ、と思わず唸る。
次のような部分にもじんときた。
「軍隊や一部の官僚のことを知ると暗い気持ちになるけど、名もない人たちはいつも一所懸命に頑張っている。この国はそんな人たちで支えられているんだと思う。あの戦争も、兵や下士官は本当によく戦ったと思う。戦争でよく戦うことがいいことなのかは別にして、彼らは自分の任務を全うした」
僕自身の父親の若い頃(海軍予科練習生)の心境も、少しながら分かってきたような気がする。彼も、この小説の登場人物たちと同じように、戦争中のことは語ろうとはしない。でも、その奥底には、ぼくらには到底わかりえない、信念や葛藤や、尊厳や挫折があるのだと思う。
特攻隊のことは、ここには書くまい。それはあまりにも悲しすぎるから。
宮部みゆきの小説について、書き忘れた。こういうSFは、心温まる。