先月末の寒さが、記憶の彼方に遠く消え去るように、今朝には初夏の力が満ちている。
中学生時代、夏服への衣替えは、六月一日から、と決められていた頃のことを思い出した。詰襟から、開襟シャツと薄手のズボンに変わることを、今か今かと待ちわびていた。
その日には、電車の駅からだらだらと坂を上っていく通学路に、校庭に、廊下に、教室に、どこもかしこも白、白、白。はしゃぎ回る仲間たち。解放感が心身の躍動につながる。空から眺めたら、何事かが起きた、と見えただろう。
胸につけた、蜜蜂の校章ときらきらした夏の日々を、思い出す、今日、初夏の風。