この五月連休。やろうとおもっていたことは、半分くらい出来たのだが、いろいろ雑事も出てきたり、終盤は暑さに疲労が出てしまったり。今日を振り返ってみると、とても混濁していたなあ、ということが分かる。最終日の焦りなのか。
朝、起きてから、友人に触発されて、グレン・グールドの弾く、バッハのゴルトベルク変奏曲を聴く。1954年盤と、1955年盤の二つ。この短期間にこれほどに変化するのか、と思った。どちらがどう、ということはできない。どちらも、グレン・グールドが感じたバッハなのだ(両方とも演奏しながら唸る声が聞こえる)。
午前中の最後は、大学でデザインを専攻されて、東京の百貨店で商品開発をされてきた方のブログ(今は定年退職されている方なのだろうか)を読み進める。「デザインとは形を作ることでなく、生活を豊かにすることだ。」という、この方の言葉に感銘する。
午後一番は、今月、会社の勉強会で使用する資料の準備(といっても、フリーディスカスの題材にするDVDの作成)。
昼下がりからは、うだるような暑さに、ビールを飲みたくなり、その言い訳のために、思い立って、いきなり縁側でバーベキュの火起こし。これがまた暑くて暑くて。いらだちをカバーするのは、そう、そのビールであり、時間を埋めるのはウォークマン。Every Little Thingのバラード集、14 Messageを通しで聴く。思考が溶け切る。新型ウォークマン(Aシリーズ)の「歌詞ピタ」機能は凄い。一度知ってしまったら、もはや切り離せぬ。一人カラオケになり家人の迷惑になるが、こちらはお構いしない。
ソーセージ、鶏肉手羽、烏賊、スペアリブ、鶏肉串刺し、玉ねぎホイル包み、冷凍たこ焼きなど、家にあるものを、どんどん焼く。焼く。焼く。続くBGMは、引き続き、アリス=沙良・オットさんによる、リストの超絶技巧練習曲集。焼き物と暑さとリストの戦いやあ。結果は・・・・アリスさんの勝ち!!
一通り職人仕事を終えた後は、夕方の明るいうちから、ひと風呂を浴び、DVD試聴。4月末に神保町で手に入れた、オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団によるベートーベンの第九。こんな暑い日に歓喜の歌!?という声も、家の中で聞こえたような。春の歓喜だ、良いではないか。
クレンペラーさん、杖をつきながら登場。指揮者台とオーケストラの間に設けられた椅子に腰かけ、低い位置から、オーケストラを十全に操っている。動画映像で見るのは、初めてだったが、数ある写真に残っている表情そのままであり、気難しく厳粛で、哲人的な崇高さだった。ロンドンのロイヤル・アルバートホールというのは、重厚なマホガニー調の装飾に溢れる、なんとも格好良く古式ゆかしいホールなのだということも、初めて知った。いつか訪れたい。
夜になった。五月の強い陽光と、炭の熱のほてりと、音楽の残響が、まだ、からだじゅうに残っている。