先週の朝日新聞土曜版の吉田秀和さんのコラムは、とても優しげな口調だった。ショパンの生誕200年を期しての思い出のかずかず。
初めてパリにいった時に知ったサンソン・フランソワの話しから始まり、なんだか懐かしかった。昔のことを語りながら、これは何かしら?これは私の先入観かしら?彼(ショパン)の心を一番傷つけないのは誰だったかしら?、的な言い表し方が、静かで、ぼくの気持ちに馴染んだ。
これまでの音楽との出会い、音楽家たちとのふれあい、旅先での発見、時の流れを、ゆったりと、ゆっくりと思い出したり、記憶の軌跡をたどってみたり、ふとつぶやいてみたり。逍遥する思考、じつに静かだ。
吉田さん、ショパンの話は、最後はやっぱりアルゲリッチで締めた。
彼は50年あまり前に、「音楽紀行」という旅行記を書いている。つい先頃、時間つぶしがてら立ち寄った東京の繁華街の古本屋で、この本を見つけ買ってあったが、最近の吉田さんのいくつかの回顧談の源泉がここにある。
そろそろ、読み始めようかしらん?