自動的に買い求めて途中で放り投げる

自動的に買い求めて途中で放り投げた。『京都ぎらい 官能篇』(井上章一、朝日選書)。

洛外に生まれ育った心境を、逆手に取る書きざまは健在で、なるほどといちいち頷いてしまう。しかしそれは一本調子なので直ぐに飽きる。

洛中に生まれ育った人との対話形式か、章分け対決方式にすることをお奨めしたい。

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# by k_hankichi | 2017-12-27 19:48 | | Trackback | Comments(2)

なんだか訳が分からなくなってきました

ひとつの話題で新書一冊が書けることに驚いた。そしてそのなかにある真髄というものが如何に根深いのかということを垣間見た。『京都ぎらい』(井上章一、朝日新書)。

ポイントは洛内に生まれ育ったか否かということ。何となく想像してはいたけれど、その中華思想は最早深淵とでも言わざるを得ない。

東京でもある程度似たようなことはあるけれども、千代田区でなければ東京人ではない、或いは山手線の内側でなければ東京人ではない、とまでは言われない。

「宇治のくせに、京都と言うな」「山科なんかにいったら、東山が西に見えてしまう」・・・。そんなことを言ったら、何でも言えてしまえるような気がする。

おお怖っ。

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# by k_hankichi | 2017-12-26 21:45 | | Trackback | Comments(3)

活字が物語を形作り語りはじめるということ

読み終えて、何と感受性の豊かな人なのだろう、と思った。そして、幾ばくかは僕も著者が言わんとしているところが分かって、分かるばかりか同じ感覚をそれらの本から受けていたことを悟った。

『文字と楽園』(正木香子、本の雑誌社)。精興社書体についての本だ。

次のような出だしで始まる。

“「ぼく」という一人称がすきだ。
普段は「私」でくらしている。もちろん困らない。「ぼく」のことは、だから大抵忘れている。
でも、ときどき、「ぼく」に思い焦がれることがある。それはどんなときかというと、精興社書体でかかれた、荒川洋治のエッセイを読んでいるときだ。
(略)
ふと読み返すとき、いつも理由はない。だからそのたびに思いだす。「ぼく」の文字を、丹念に目で味わっている自分に気づく。しあわせで、しあわせで、忘れていたのが信じられない気持ちになる。
(略)
精興社書体で書かれた「ぼく」には、滞るような、わずかに窪みに滴がたまるような、小さいすきまがある。
私はその空間に響く音色がすきだ。文字とことばが重なりあって生まれる、鼓動のようなリズムがすきだ。”

確かにこの書体の特にひらがなのふくよかさと精緻さが入り混じったものが活字としてページをおおっているだけで、妙に気持ちが落ち着き思考はゆっくりと確実に回り始める。

みすず書房の全てと、多くの岩波しょてんのしよせき、そして新潮文庫などに採用されてきたこの活字が、そういう名前の書体だということを初めて知った。

これが僕たちの心を鋭敏にさせ、感性を豊かにさせ、そして、時間の流れと同期して活字が示している世界を自分の心の中に再現していくのだとようやっと分かった。

活字は文体のひとつでさえある。

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# by k_hankichi | 2017-12-25 16:51 | | Trackback | Comments(4)

聖体拝領の祈りのパンを買い求めて

聖体拝領の祈りのパンを買いに出かけた。松戸・北小金にある、バックストゥーベ・ツォップ(Backstube Zopf)。Backstubeはパン焼き小屋の意味。Zopfはスイスの編んだパンの種類。

ここは日本一のパン屋さんとして殿堂入りしているそうで、駐車場が40台分もあるのだけれど大変な混み具合に驚く。

それでも訪れて良かった。実に美味そうなパンばかり。選り取りみどり。ほくほくした気持ちで帰宅した。

さて、あとは美味い酒さえあれば良い。

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# by k_hankichi | 2017-12-24 15:41 | 食べ物 | Trackback | Comments(4)

夢のなかに出てくるような不思議な短篇集

穂村さんの「これから泳ぎにいきませんか」のなかの一篇に、川上弘美の短篇小説集の解説が入っていた。読みながらどんなふうに興奮して、一つづつ読み終えるごとに友人に電話していくさまが実況中継的に描かれてそれが書評なのだ。

それは表現的語感的には、“先端で、さすわさされるわそらええわ” 的な、あるいは、海辺の砂浜越しに寝そべって遠くから潮騒が聞こえてくるような心地よさだった。

『物語が、始まる』(中公文庫)がそれで、読み終えてから嗚呼これが短篇小説の醍醐味なのだ、と深い吐息とともに頷く。

不思議な展開の話ばかりなのだけれど、おどろおどろしてはいなくて、それじゃあ何だつまらないのじゃないかと言われそうだけれど、それがまた随分と面白い。

怪談とかホラーとかではなく、もしかすると僕らも夢のなかで出会っている世界がそこにあり、自分の卑近なところにもあるように感じてしまう。他人ごととは思えないから、尚更溜め息が深くなる。

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# by k_hankichi | 2017-12-23 09:06 | | Trackback | Comments(6)


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