「『戦う自分』をつくる13の成功戦略」

ジョン・C・マクスウェルさんによる意志力の本です。三笠書房。

先月の新聞広告で、”「誰も見ていない時」、あなたは何をやっているか?”という副題つきで見たときには、「う~、会社的には気にはなるけども、近寄りすぎるのもちょっと何かなぁ~」、とそのまま流していました。でも、ある人が読まれたことを知り、それならば、と対抗心?というか、そんな勢いで読了。

注意:週末の休暇モードに読み込むのは心に良くありません(リラックスできぬ)。

この書は、著名な成功者などが実践し残した言葉も上手に引用しながら、リーダーシップ論の大家のマクスウェルさんが13の戦略としてまとめたもの。「New Horizen」のアンチョコのようなところはちょっとあります。(「三笠書房的」ではありますが。)

すべてを実践できるとは思えません。自分が本当に心地よい気持ちで周囲にやくだてること、熱意をもって臨めることは?と置き換えてえらんでいくことがよいのだ、と解釈しました。

僕としては、以下のことが心に残りました。戦略6のなかの哲人の言葉などは、人間なぞというのは、そんなものなのだろうか、とも思いましたが、そういう違和感も含めて心に刻まれました。

・戦略1「信念をもつ」から: 必ず舞い戻って、登頂して見せる。なぜなら、山はこれ以上大きくならないが、私はもっと成長できるからだ。(登山家、エドモンド・ヒラリー)

・戦略2「情熱を燃やす」から: 「心底やりたいこと」を追いかける。(ソクラテスの教えをヒントに)

・戦略3「主体性をもつ」から: 蛇口をひねらなければ水は流れ始めない。(ウエスタン小説作家、ルイス・ラムーア)

・戦略4「集中力をつける」から: “何でも少しづつ”では何もなしえない。(ピーター・ドラッカー)

・戦略5「準備して待つ」から: 晴れている時こそ屋根を修理するべきだ。(ジョン・F・ケネディ)

・戦略6「練習を怠らない」から: 美徳や卓越性があるから正しい行動がとれるのではなく、正しい行動をとるから美徳や卓越性が身につくのだ。繰り返して行う行動が、その人の人となりを表わす。つまり卓越性とは、ひとつの行動ではなく、習慣である。(アリストテレス)

・戦略7「忍耐力をつける」から: 気分のいい日にだけ頑張るのでは、大した成果は期待できない。(元NBA選手、ジュリー・ウエスト)

・戦略8「勇気をもって臨む」から: 指導者は淑女に似ている。自分で周囲にそう言ってまわらなければならないようでは、その人はリーダーでも淑女でもない。(マーガレット・サッチャー)

・戦略9「知的好奇心を持ち続ける」から: 使わないと鉄は錆びる。淀んだ水は汚れていく。気温が下がると水は氷になる。それと同じように、使わないでいると精神も活力を失っていく。(レオナルド・ダ・ビンチ)
素晴らしい絵画や音楽、本に触れずに、漫然と日々を過ごしてはいけない。(ゲーテ)

・戦略10「品格を磨く」から: 臆病者は尋ねる。「それは安全か」。世論は尋ねる。「それは受けがいいか」。品格を備えた人は尋ねる。「それは正しいか」。(マルティン・ルサー・キング)

・戦略11「責任感を持つ」から: 「責任転嫁ゲーム」から抜け出す。(著者)

・戦略12「つき合う人を厳選する」から: 人にしてやれる最大の善行は、自分の富を分けてやることではなく、相手の隠れた才能を引き出してやることだ。(英国首相、ベンジャミン・ディズレーリ)

・戦略13「チームワークの力を活かす」から: 僕には足りないところがある。彼女にもある。でも二人なら足りないものは何もない。(映画主人公、ロッキー・バルボア)

補足:
この本はワタミの代表取締役会長・CEOの渡邉美樹さんが監訳されているのですが、僕はこれを機に彼が教育にたいして非常に熱心な活動をしていることを知り(学校法人・郁文館の経営や神奈川県教育委員会など)、その心底の動機を伺い知ることはできないものの、その意欲については正直すごいと思いました。

「戦う自分」をつくる13の成功戦略

ジョン・C. マクスウェル / 三笠書房


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# by k_hankichi | 2010-01-04 15:00 | | Trackback | Comments(0)

「船に乗れ!」

藤谷 治さんのこの小説(3巻構成)を読み終わりました。ジャイブ社刊。この年をこの小説で始められたことは、ほんとうに運が良いと思いました。

実は、この本は、ぼくが学生時代のクラブの先輩から昨年末に、お薦めとして紹介されていたものです。彼は、『全体になにか「諦念」とか「アイロニー」とも呼ぶべき心情が通底しており』、『ひさしぶりの「後ろ髪引かれる」読後感の小説』としていました。

これは、ある男の、クラシック音楽に没頭した少年時代の回想録の形をとってはいますが、ぼくが一言でいうとすれば、「相手を想う気持ちと傲慢の相克が生みだす過ちを通じて、自分を見出していく、青春の尊く熱い日々の連続の手記」だと思います。その日々は、心の底から震えるほどの愛につつまれた日々でもあり、魂のうち震えを最も深く味わった日々でもあります。

芸術や音の世界について、すべて明晰にわかったような気持ち、そしてさらに進むと世のなかの仕組みが手に取るように見えたと思う気持ち。

そのように才能に輝きがある一方で、人についての理解はぜんぜんできていないこと。相手のことを想っているようで、それを想う自分は、自分中心の世界でしか思考していないということ(相手の気持ちや思考が見えてない)。そういうときには、いともかんたんに冷徹なことを言ってしまってしまうこと。

そうしたことは、やがてほんとうに悲しい結末をもたらします。自分が最愛の女性のことを想いつづけ、そして、相手と心が通じたとき、その人は、自分が思っている以上に、遥かに深く自分のことを想うことになっていた。しかし若き男は、そこに思いやることもできず、自らの一歩を踏み出してしまう。

ぼくにはこの主人公の気持ち、とてもよく分かりました。自分も、おなじように行動してしまっているな、また、そうしてしまうだろうなということが心に深く突き刺さるのです。そして、深く感じ入りました。こういう傲慢と過ちの繰り返しが人生なんだなあ、と。

3巻はそれぞれ、「合奏と協奏」、「独奏」、「合奏協奏曲」と副題がつけられており、ストーリーの展開を暗喩しています。そして次の曲がそれぞれモチーフに使われています。

・メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番
・バッハの無伴奏チェロ組曲第3番
・バッハのブランデンブルグ協奏曲第5番

メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲・・・。ぼくもそのむかし、カザルスのホワイトハウスコンサートのレコードを繰り返し聴いたことを思い出しました。また、これらの曲を、あのときとおなじ透き通るような気持ちで聴きたい。

三が日は、静かに過ぎ行きようしています。

船に乗れ!〈1〉合奏と協奏

藤谷 治 / ジャイブ

船に乗れ!(2) 独奏

藤谷 治 / ジャイブ

船に乗れ! (3)

藤谷 治 / ジャイブ


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# by k_hankichi | 2010-01-03 14:18 | | Trackback | Comments(10)

初売りに目が眩み…

実家に年始挨拶に行く途中、銀座で買い物。

エノテカの福袋に目が眩み、思わず手にとってしまった。

「大吉」の運なので、シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランドが入っているはず。

しかし選んだ中身は、2002のモンテス・アルファのカベルネだった。

きっと、最近のチリワインの実力を試しなさい、ということなのだね、と無理やり納得させ、街を離れたのだった。

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# by k_hankichi | 2010-01-02 12:11 | | Trackback | Comments(0)

願掛け

元旦。

例年と同じく、近くの神社に初詣した。詣でるのは元旦だけなので申し訳ないと思いつつ、列に並びながら何に願かけるか思い巡らす。

・心身の健康(一同や知己の)
・縁とその発展
・良き書物との出会い(今年は内外の古典文学をきちんと読み始めようと考えている)

このお賽銭では望みすぎかな?…いやいや、額には関係ないだろう、と、いつもに増して丁寧に祈願した。ついでに、

・明るい未来
・発見発想創意

についても願かけた。

巫女の前でおみくじを買った。が、その巫女は家人だったので、御利益が減るかしらと、ちらと頭をかすめた。

開けてみると『大吉』。御利益が差し引かれたとしてもまあ大丈夫だろう、と一人合点した。

いま、帰途についている。

年末晦日からのある事象について、光明が射すことを祈っている。
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# by k_hankichi | 2010-01-01 16:57 | 一般 | Trackback | Comments(0)

2009年 マイベスト

今年心に強く残った音楽、酒、本、映像のそれぞれベスト3をここに残します(友人に倣い)。

■音楽
1. ラン・ランさんの演奏(コンサート)
音楽に取り憑かれた人間の演奏、というのを初めて観、聴きました。ピアノは指先だけでなく全身で弾き伝えるのだ、ということをも、身をもって知りました。

2. アンネ・ゾフィー・ムターさんの演奏(CD、DVD)
バッハのバイオリン協奏曲集、モーツアルトのバイオリンソナタ集(以上CD)、モーツアルトのバイオリン協奏曲集(DVD)。ひとつ選ぶとすれば、バッハですが、すべてを通して厚く艶があり、切れがよいです。モーツアルトのバイオリン協奏曲は指揮もしており、目くばせと身体の動きは、えもいえません。

3. オットー・クレンペラーさんの指揮(CD)
友人から紹介・啓発され、一連の指揮(ベートーベン、シューマン、ベルリオーズ、ドボルジャークの交響曲)を聴きました。音楽がここまで純粋に分析され、ひとつひとつの音や旋律、パートが耳に入ってくる指揮をこれまで知らずにいた自分を恥じました。これからは「フィデリオ」を聴き始めますが、どんなものなのでしょうか。

■酒
1. シャンパーニュ「バロン・ド・ロスチャイルド、ブリュット」(Barons de Rothschild, Brut, NV)
コート・デ・ブラン地区、NM。CH 50%, PN+PM 50%。

2. 芋焼酎「赤兎馬」(せきとば)
鹿児島・濱田酒造。白麹、黄金千貫。

3. シャンパーニュ「シャルル・エイドシック、ブリュット・レゼルヴ、NV」(Charles Heidsieck, Brut Reserve, NV)
Reims地区、NM。CH 30%, PN 35%, PM 35%。

酒の味は好みも大きくあると思うので説明は省きます。僕としては、もし機会があれば、之を飲んでみてください、ということだけです。すごいです。

■本
1. 吉田秀和さんの「之を楽しむ者に如かず」
クラシック音楽から久しく遠ざかっていた僕。どの小篇からも、音楽、そして、吉田さんの造詣と感性、そしてやさしい気持ち、生き方と哲学がこぼれおちて、砂地が水を吸うように、自分の身体に入っていくように感じました。この20余年の空白が埋まっていく気もしました。

2. 川上弘美さんの小説群
「風花」、「センセイの鞄」、など、しんみりと、しっとりとした語り口の世界に惚れました。

3. 水村美苗さんの「日本語が亡びるとき」
日本語で物事を考え、表現し、それを後世に受け継いでいくことの大切さを、あらためて思い知ります。ぼくらの感性をきちんと表現できることばはこれしかないのです。

■映像
1. 「不毛地帯」(テレビドラマ)
フジテレビ放映中(10月~2010.3月)。なんといっても、昭和30年代の激動の歴史と男の生きざまと、唐沢さんのかっこよさに、われを忘れて没入しています。数年に一度のすばらしいドラマだと思うのです。このレベルは、遠く15年ほどさかのぼったTBSの「青い鳥」と、30年ほどさかのぼったところのTBSの「冬の花火」。

2. マルタ・アルゲリッチさんの「音楽夜話」(DVD)
DVDですが、アルゲリッチという演奏家の真髄がこの1つのドキュメンタリーで語りつくされているといって、過言ではありません。音楽家としてだけでなく、人間として魅力的で、ほんとうに心に染みます。

3. 「きみがぼくを見つけた日」(映画)
原題:The Time Traveler’s Wife。レイチェル・マクアダムス、エリック・バナ主演、ロベルト・シュヴェンケ監督。今年公開されたものは少々しか(劇場や飛行機のなかで)見ていませんが(※)、ことし一番記憶に残ったのはこの映画になります。

※「天使と悪魔」、「レッドクリフPartⅡ」、「グラン・トリノ」、「路上のソリスト」、「愛を読むひと」、「それでも恋するバルセロナ」、「007慰めの報酬」、「私の中のあなた」、「レボリューショナリーロード」。

だいぶんに私的なサマリーではありますが、これが僕の世界のひとつです。

昨日、今日と、なにも手に付かぬほどあたふたと、とても心落ち着かぬ日々を過ごしており、言葉足りないですが、ご容赦ください。

来年もよろしくお願いします。
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# by k_hankichi | 2009-12-31 18:31 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)

そして今年も暮れゆく

2009年という年が、暮れゆく。

かねてから無いくらい、波乱万丈の年だった。会社での仕事も、そして私としての生活も。

そして、昨日夕方来のことから、思うこと。

世の中の皆、ひとは、それぞれ、個の生き方をしている。それは、その人個人にとっては、そのひとだけの事象のように思えるのかもしれない。でも、われわれは、一人ではなく、繋がっているのだ。別個に動いているかのように見えて、でも、連なっている。平行して、みな、個々の好みで考え、動き、変化しているように見えて、でも、確実に、連なっている。

ぼくたちは、この広い世界の中に、たった一人で生きているのではなく、仲間として生きているのだ。この瞬間、この空間、この地球という上において、同時に「生」を授けられ、共に呼吸し、心臓が動き、脳が動き、そして、いろいろな発見をし、創造をし、アンガージュマンをしているのだ。

だから、いつも、アカルイミライを想像しよう。

「アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。」と実朝に語らせたのは太宰だったが、僕は、明るさは未来への象徴だとしたい。

来年は、自分も周りも、公私ともども、もっともっと明るい、愉しい、素晴らしい、世界になるよう、対話・会話、協調と自己投企をし、新たなものに触れ、いろいろな感性をもさらに磨き、新しいものを創造し、友の輪をも広げていきたい。

世界は広い。とても広い。飽くことなく探求していきたい。
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# by k_hankichi | 2009-12-31 12:41 | 一般 | Trackback | Comments(0)

影響、そして繋がっていることの貴重さ

人と人との間で影響を与えあう、ということの重さを、いま感じている。

今日、夕方、あることがあって、急に心に深くきりきりと入り込んで来ている。

ぼくらは、世の中で決して一人ではない。

人の輪をつくるひとも、また、たとえ利己的なひとであろうとも。

相手を思いやり、いつくしみ、優しく包み込め、良いところを褒め、周りのことをいたわれる人は、なおさらさら、たくさんの人によって、想われている、慕われている。

ぼくらは、どんなひとであろうとも、一人ではない。

だから、そのことを深く思って生きなければならない。

どんなひとも、周りに影響を与えている。善き影響を与えているひとは、さらにさらに周りの人に、人々にとって、とても大切である。

繋がっていることは、本当に貴重なのだ。
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# by k_hankichi | 2009-12-30 20:53 | 一般 | Trackback | Comments(0)

「三文紳士」

吉田健一さんのエッセイを読みました。酒と脱線も含んだ回想がちりばめられていて、とてもじっくりと読んでしまいました。健啖な思索人が、どのように日々を生きてきたのか、というのを知るだけも、なんだかためになります。講談社文芸文庫。

この人の語りには、りきみがない。また、嘘いつわりがない。自慢がない。傲慢もない。洒脱である。そしてまた解説じみていない。かといって斜に構えて世の中を見限っているわけではない。あるがままを受け入れ、あるがままを表している、と思うのです。

吉田茂の息子だなんてことにも一言も触れない。牧野伸顕さんという人の逸話が出てくるが、この人が自分の祖父であり大久保利通の子供であるなんてことも書かない。世の中のおためごかしには一切興味はないし、権威などとというものの力をかりようなんぞは毛頭ない。

なんだかすごいなあ、と思います。

たとえば、次のような言い切りと考察。はははあ~と首をうなだれながら感心するのです。

”友人でも来ない限り、酒は家で飲むものではないのであって、それは家にいてまで酒が飲みたい位、自分を持て余していれば、碌なことはないと思うからである。”(「師走の酒、正月の酒」)

”モク拾いよりも乞食をしたほうが割がいいのではないかと考えて、乞食を始めた”(「乞食時代」)

”氏が人に与える不思議に清潔な印象は、この無駄がないことから来ているとしか思えないのである。(中略)洗練された趣味というのは、この無駄を省くということと同じでない限り、単に気障であって、それ故にこれも省くべき無駄なのである。”(「福田恆存」)

”併しウイスキイというのは、何と言っても、極上のものを除けば野暮な飲みものである。(中略)別に旨くも、まずくもなくて時間をたたせるのに丁度いい飲み物だからなのだろうと思う。二人で面倒な話もせずにこれを飲んでいると、非常に満足する。”(「飲食行」)

この人の境地にたどりつけることを議論することすら恥ずかしいわけですが、やっぱりすごい、かっこよい、と思うのです。自分の言葉につかいたいくらいですが、そんなことはやっぱり、ボロがでるだろうな。

追記:
この文庫、300ページもないのに値段が1400円というのは驚き。でも、しゃあないナ、この素晴らしい内容だから、と自分はうなずきます。

三文紳士 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

吉田 健一 / 講談社


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# by k_hankichi | 2009-12-29 12:29 | | Trackback | Comments(0)

クレンペラーの「幻想」

友人の薦めで早速買い求め、昨晩、聴いた。夜に聴いたのは、うってつけであった。

こんなふうだったっけ、ベルリオーズのこの曲って?というほどの、おどろおどろさ。怖い。音符の一つ一つ、フレーズのひとつひとつ、パートのそれぞれが、音のつぶの連続として、亡霊や幽霊が次々に自分の体にぶつかってくる訴えかけてくる、という感じ。

第1楽章、貴くも儚い夢が、止まりそうなテンポで開始され、喜びと後悔が反復され織り込まれ、安堵とともに終わる。第2楽章、舞踏会で踊りながらも、若き日の想いが浮かび、うつつの気持ちとなる。

第3楽章、マーラーの交響曲のような和声の美しさ。第4楽章、怖ろしい響きの連続。クレンペラーさんほど、打楽器に上手に奏でさせる人はいないのでは、と思う。金管はむごたらしさギリギリの響き(でもとても美しい)。

そして最終楽章、この鐘の怨念のような心えぐるような音は何なのだろう?亡霊が次々に飛んできて襲いかかってくる。

悟りの境地の哲人がもつ「人生の幻想」が、音として湧き出てきているとしかいいようがない。彼の指揮のもと、こんなにも奥深い演奏に参画できた、実体験できたオーケストラメンバーはさぞかし嬉しかったろう。うらやましい。

宇野(巧芳)さんがCDの解説に次のようなことを書かれていた。

クレンペラーさんは、24歳のころ、ハンブルグ市立歌劇場で指揮をとっていたが、新婚早々のエリザベート・シューマンと恋に落ち、ローエングリンの公演が終わるやいなや駆け落ちしてしまった、ということ。

若い時は公私ともどもに激情のスタイルであったらしい。・・・彼の若き日々のその熱情は幻想だったのだろうか?

人間は、どういう契機で、悟りの境地にたどりつけるのだろうか?

ベルリオーズ:幻想交響曲

クレンペラー(オットー) / EMIミュージック・ジャパン


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# by k_hankichi | 2009-12-29 11:05 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)

買い出し記

昨日は、家の用事で買い出しに。アメ横の雑踏の中にもまれているうちに、思考が麻痺していく。

慾目がはじめで訪れているわけだが、あちこちの呼び込みとたたき売りのダミ声を耳にし、乱暴に積まれた美味そうな色合いの物に見とれているうちに、だんだん自らの口も半開き状態になり、いつしか握りしめたお札がどんどん失せていき、気付いたときには、両手いっぱいの買い物をしていた。

魔術にかかってしまった。

帰りばな、日本橋の百貨店をちょいと覗いてみたものの、横丁の気持ちで充満した僕にはそのフロアは異次元にしかみえず(ああ綺麗だ~)、早々に退散することに相成った。

物の売り方の両極を目の当たりにした気がする。

でも、いまもって、横丁の買い物のほうが、たとえ魔術を使われたとしても、なんだか納得がいくようにもおもう。

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# by k_hankichi | 2009-12-28 09:48 | 街角・風物 | Trackback | Comments(0)


音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です


by はんきち

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