バッハのピアノとの出会い

ピアノの歴史についての本を読んだ。作曲家にしてピアニストの野平一郎さんの本だ。『作曲家からみたピアノ進化論』(音楽之友社)。

野平さんはベートーヴェン弾きとしても有名。しかし著作を読んでいるとドビュッシーとフォーレの音の革命児ぶりに惹かれているように思った。バッハがもうすこし早くピアノという楽器に出遭っていれば、ということにも言及して悔いている。

いまや誰の家にもあって楽しめる楽器の一つがそのようになるべく生まれ育まれていった軌跡を辿っていくことで、僕らがこの世に生を授かって生きているその場にこれがあることの奇遇な幸せを実感する。

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# by k_hankichi | 2018-01-11 06:25 | | Trackback | Comments(3)

嗚呼、これを超越しないと抜きん出ない・・・『5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人』

これを新年に読みながら、卓越していると言われた我々日本人の自意識が、波打ち際に立って足の裏の砂がどんどんと掬われていくような感じに陥った。『5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人』(熊谷徹、SB新書)。

“「1日10時間を超える労働は禁止」という法律の規定を破ることは、いかなる状況であっても許されないのだ。論理より情緒的な関係性を重視する日本人には、ドイツ人の態度は“柔軟性に欠ける”と映るだろう。しかし、ドイツでは、労働生産性の低下を防ぎ、労働時間の上限規制を守ることが重視される。1日10時間に限られる労働時間を効率よく使わなくてはならないドイツ人は、そのことを常に念頭に置いて仕事をしているのだ。”([第5章 過剰なサービスを減らして時短を実現」より)

ドイツでは過労自殺が問題になっていない。
絶好調のドイツ経済。
時短と休暇がもたらす心身の余裕。
1年のうち41%は働かないのに経済好調。
気分転換には最低2週間が必要。
社内メールは少なければ少ないほどいい。
「お客様は神様」の過剰サービス。
ドイツ人のサービス期待度は低い。
余裕があってこそ良質な仕事ができる。
“木を見ず森を見る”ドイツ人。

そういう事柄を次々と知って、嗚呼、われわれ極東はやはり極東の異端だ、と思う。

少し前、ヨーロッパの会社と共同で仕事をしていたとき、皆の仕事時間の少なさに、ああ、これだからダメなんだよ、と思っていたあの働き方が、実は労働生産性という点で我々を凌駕する結果をもたらしていたことに、いまようやっと気づく。

なんとかせんと、いかんぜよ。

西郷どんの嘆きが聞こえてくるような気がする。

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# by k_hankichi | 2018-01-10 07:11 | | Trackback | Comments(3)

しっかりと考える契機・・・『戦争と平和』

特攻隊の本を読んでからにしよう、と思って読んだのが『戦争と平和』(百田尚樹、新潮選書)だった。バイアスが掛かった本なのかと構えていたのだけれども、いやいやどうしてしっかりと考えを伝えていて、改めて考える契機になった。

日本人は戦争に向いていないということも、漸く分かってくる。これはその社会だけでなく、日本のあらゆる組織が抱えた課題なのだとも思った。このことをどこか薄々悟っていたのだけれど、それがどうしてなのかということを直截的に伝えてくれて、ああ自分はずっとこのことを遠ざけて暮らしていたなと思う。

予科練の生き残りの自分の父親がどのように感じ考えてきたのかも、朧気ながら少しづつ分かって来た。僕自身はどのように行動すべきなのかも。

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# by k_hankichi | 2018-01-09 00:23 | | Trackback | Comments(0)

生きる咆哮と生の讃歌・・・ロジェストヴェンスキーによるシベリウス

あまり馴染んでいなかった指揮者とオーケストラだったのだけれど、まさに度肝を抜かれて、これまで僕がもっていたこ作曲家の曲に対する認識を根底から覆された。

ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮、モスクワ放送交響楽団によるシベリウスの交響曲全集は、これまで接してきてそう思いこんていた静かなる北の大地の透徹な精神世界とは全く隔絶した、生きる咆哮と凄まじき歓喜の歌だった。

凡ゆる音魂は叫び、弦も管も打も、それぞれが迸る律動と脈動に唸りを上げている。

北の地の曲を寒い国の人たちが奏でているのだけれど、何がこれほどまでに心を熱くさせ、嬉しくて堪らない気持ちにさせるのか。

実はちょっと苦手だったこれらの曲たちは、この世知辛い世の中を歩む僕の、これからの絶大な応援伴走者になってくれるということを悟った。誰から教えられなくても。

あまりにも素晴らしいので、この作曲家が好きな友人に知らせたのだけれど、如何に感じただろうか。

■録音
1969〜1974年
■音盤
露メロディア MEL CD 10 01669

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# by k_hankichi | 2018-01-08 00:07 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(4)

宣伝に騙された『ジャコメッティ 最後の肖像』

学生時代からこの画家のことが好きで、矢内原伊作の評論なども良く読んでいたから、新聞で映画評(朝日新 2018.1.5[金]夕刊)が出ていただけで心を後押しされた。そして騙されたことを知ったのはもちろん観終えてからだった。それにしても、これだけつまらない映画をどうして「癖ある画家 軽やかに見守る」などとして太鼓持ちできるのだろうか。『ジャコメッティ 最後の肖像』。

映画評論というのは難しいとは思うのだけれど、本当に感じたことは、誤魔化さずにしっかりと素直に記述してもらいたい。そう思うことしきりだった。

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■仕方なく手持ちの写真集・画集で心を鎮める
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# by k_hankichi | 2018-01-07 00:17 | 映画 | Trackback | Comments(2)


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