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2016年のベスト3(小説、音楽、映画、テレビ番組)

年の瀬恒例の、今年のベストをまとめた。

■小説
今年はクラシック音楽にまつわる素晴らしい長編の輩出年だった。
1. 恩田陸『蜜蜂と遠雷』http://hankichi.exblog.jp/26186700
2. 平野啓一郎『マチネの終わりに』http://hankichi.exblog.jp/25602255
3. 須賀しのぶ『革命前夜』http://hankichi.exblog.jp/25322816
次点. 角田光代『笹の舟で海をわたる』http://hankichi.exblog.jp/25662565
次々点. 宮下奈都『羊と鋼の森』http://hankichi.exblog.jp/25522938

■音楽
振り返るとバッハとスカルラッティに集約するのだと分かり、吐息が出た。
1. 聖トーマス教会少年合唱団とライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるバッハ『マタイ受難曲』 http://hankichi.exblog.jp/25403907
2. ミハイル・プレトニョフによるスカルラッティのピアノソナタ集http://hankichi.exblog.jp/25657520
3. セルゲイ・ソコロフによるバッハ『フーガの技法』 http://hankichi.exblog.jp/26225780
次点. 五嶋みどりによるバッハ『無伴奏ヴァイオリンソナタ & パルティータ全集』
http://hankichi.exblog.jp/26035164
次々点. ニコラウス・アーノンクールによるバッハ『マタイ受難曲』http://hankichi.exblog.jp/25167316

■映画
ドキュメンタリー系は良かった。ただし、“いつまでも心に残る”、という部類の作品は少なかった。
1. 『アイヒマン・ショー』http://hankichi.exblog.jp/25543543
2. 『驟雨』http://hankichi.exblog.jp/25989006
3. 『シーモアさんと、大人のための人生入門』 http://hankichi.exblog.jp/26198995/
次点. 『湾生回家』http://hankichi.exblog.jp/26144904
次々点.『イングリッド・バーグマン 愛に生きた女優』http://hankichi.exblog.jp/26164937

■TVドラマ
ドラマが豊作だった年だと思う。横綱に位置すべきは『あさが来た』だろうが、素晴らしかったのは何だったのかと考えたら、終盤の消化不良はあれども、やっぱり『いつ恋』だった。
1. 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ)http://hankichi.exblog.jp/25335642
2. 『あさが来た』(NHK)http://hankichi.exblog.jp/25166505
3. 『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)http://hankichi.exblog.jp/26173069
次点. 『ゆとりですがなにか』(日本テレビ)http://hankichi.exblog.jp/25606897
次々点. 『はじめまして、愛しています。』(テレビ朝日)http://hankichi.exblog.jp/25872184
 
今年一年ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。
 
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by k_hankichi | 2016-12-31 11:37 | | Trackback | Comments(6)

武骨と繊細が合わさった「皇帝」を聴く晦日

ベートーヴェンのピアノ協奏曲集(第3,5番)を買い求めてあり、幾度か聴いてきたがなかなか心に入り込んでこなかった。ヴァレリー・アファナシエフによる音盤である。

しかし今日、久々にゆっくりと落ち着いて聴いていたら、ピアニストの気持ち、作曲家がスッと入ってきた。

「皇帝」とは武骨なのだ。周囲から崇められているようで、しかし影では煙たがれたりもしている。えっへん、でもな、ほんとうはそんな威厳を保つのに疲れているのさ。

「皇帝」とはさみしい存在でもある。だれも本音を打ち明けてくれない。だからほんとうは皆から優しく触れてもらいたいんだ。

「皇帝」の心は繊細に出来ている。躊躇いがちに新しい旋律を試したり。これで良いのだと自信を得れば、あとは自分が中心。でも本当に皆は付いてきてくれてるのか。不安はいつもそこにあるのだ。

■曲目
1. ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番ハ長調作品37
2. 同 ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73
■演奏
ヴァレリー・アファナシエフ、指揮:ユベール・スダーン/ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団
■収録
2001.12.12-13(第3番)、2002.6.10-11(第5番)、グローサーザール、ザルツブルグ・モーツァルテウム
■音盤
OEHMS Classics OC311

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ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番, 第5番(Beethoven: Piano Concertos Nos. 3 and 5)

アファナシエフ / Oehms

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by k_hankichi | 2016-12-30 10:54 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)

西に東にの仕事納め

昨日が仕事納め。朝から東海道新幹線で京滋に向かう。読了した小説『昭和の犬』は、まさにその地域が舞台で、妙な親近感を覚える。

この地方にはあまたの歴史が詰まっていて、だからそこで働く人たちとの言葉遣いや姿勢をどのようにしたらよいかなあ、京言葉も使えないしなあ、と思いあぐねていた。

その地方で生まれ育った友人に訊ねたら、「君は素のままでいいんだよ、関東言葉でもいいんだよ」というアドバイス。

安心した。

新幹線から見た富士山のことを思い出した。

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by k_hankichi | 2016-12-29 12:49 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)

犬とともにある自叙小説・・・『昭和の犬』

昭和続きの小説を読む。姫野カオルコが直木賞(第150回、2014年)を得た『昭和の犬』(幻冬舎文庫)。昭和30年代から平成に至る時代を生きる女の、犬と共にある自叙伝的な作品だった。

強父論さながらに強い父親のもと育てられた主人公イクは、怒る親のそばを離れるために、小川を見てくる、と請う。そのときの彼女の気持ちの中の描写が愉快だ。

“(ベツレヘムに旅出とう)
心が縺れたとき、イクはいつも遠い所に旅立つ。杖を持てば、滋賀県香良市の田んぼの広がる一帯はすぐに塩の海やガリラヤの海に変わり、自分は杖もち旅する、とうほうの博士になる。空想のパレスチナの道を杖をついて歩いていく。穂の刈り取りの終わった田んぼを何反も何反も縦横無人に歩く。”(「宇宙家族ロビンソン」より)

イクは大型犬が好きだ。だから小型犬に敵意を持つほどになっている。その気持ちは僕も同じで、読みながらまさに有頂天になってしまった。

“自問自答した。とどのつまりイクは小型犬が好きではないのである。犬好きは猫を好かず、猫好きは犬を好かぬことがよくあるが、イクは両方とも好きである。が、小型犬は「ならば猫を飼えばよいではないか」と感じられるのである。清香が抱いていたのがよくなかったのかもしれない。「体が悪いわけでもないのだから自分で歩かんか」とつい思ってしまう。(親の庇護のもとにあるくせに、いっぱしの能書きをたれる渋谷のセンター街にいる中高生のような犬め)”(「ペチコート作戦」より)

「ツ、イ、ラ、ク」の名恋愛小説家がこのような気持ちを持っていたなんて。しかしその犬への熱い愛情と思いに溢れた佳作だった。

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昭和の犬 (幻冬舎文庫)

姫野 カオルコ / 幻冬舎

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by k_hankichi | 2016-12-28 10:10 | | Trackback | Comments(3)

モーニングという幸せの誘惑

朝早くから東京に出ていたので久しぶりに老舗喫茶店に入った。京浜急行線・青物横丁駅にある、「カフェ・ムジカ」である。→http://www.cafe-musica.jp/index.html

過去一度だけ訪れたことがあり、その趣の昭和感に、張りつめていた気が思わず緩まったことを覚えていたが、今日もまさにそういう空気のなかに浸った。

注文したのは今日のブレンド(モカ)とモーニングのセット。いろいろと盛りだくさんに載っているさまに、僕はそれだけれ嬉しくなってしまった。

コーヒーが旨いことはもちろんのことだけれども、バターロールのサンドイッチもそれに輪をかけて旨い。サラダとデザートもあって恐れ入った。わずか150円のプラスでこの仕様であれば毎日でも訪れたいなあ。

慌ただしい年の瀬にも、月日の流れがしずかにそこにある、ということを味わった。

※付記
このお店には、トスカニーニ・ブレンドというものがあるそうで、次にはそれを味わうとともにその由来を知りたいと思った。

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■Toscanini Blend →https://youtu.be/4THoG_xD8C8
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by k_hankichi | 2016-12-27 20:45 | 食べ物 | Trackback | Comments(2)

自分自身が在る意味を振り返らせる・・『罪の声』

その表紙の絵※がおっかなくて、何回も手に取りながら買わすにやりすごしていた。しかし週末に書店に赴いたとき、1980年代前半の慌ただしく流れていた時代に何が起きていたのか、ということについてどうしても知りたいという欲望に駆られた。

『罪の声』(塩田武士、講談社)は、心臓の鼓動が聞こえてくるほど緊張を強いられるミステリーで、これが小説なのだと分かってはいても、どこかでこれが事実であるとすれば、大変なことだ、と半ば興奮状態になっている自分がいた。

“二両目にいたキツネ目の男は、先頭車両でバッグを抱えて座る捜査員を見続けていた。(中略)どう考えても犯人一味としか思えない男の行動に、現場の特殊班捜査員は二度、職務質問の許可を要請した。だが、焼き肉店での逮捕未遂劇以降警察庁が主導権を握り、「一網打尽」を唱える捜査本部はこれを却下。(中略)京都駅では突然逆行したり、振り返って周囲を見渡したりするなど尾行を警戒し、改札を出てから人ごみに紛れて消えた。”(「第三章」)

そんなことがあったのか・・・。

僕はあのころ、社会人駆け出しのころで、毎日の仕事に忙殺され、このようなことも含めて社会事情の何事についても記憶に残っていない。いったい自分はあのころ、何をしてきたのか。どのような毎日を送っていたのか。

小説はもちろん読み手のことは配慮しない。しかし、あの事件のみならずその前後の社会情勢、経済情勢や事件の数々が描かれていくことで、驚くべきことに読み手の(すなわち僕の)30年前以上前の私的な事柄の数々が、すこしづつ蘇り始めた。自分自身の身辺に起こっていたさまざまな喜怒哀楽の記憶までもが。そして思った。あの時代を経たからこそ、今の自分がいるのだ、ということを。

この作品は、あの時代に焦点を当て、過去から現在に至るまでの謎を辿り、事件を浮き上がらせていくことを通じて、自分自身がいま在るということの意味について振り返らせるものだった。

※表紙絵:中村 弥「幼い記憶」(2005年)

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罪の声

塩田 武士 / 講談社

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by k_hankichi | 2016-12-26 09:01 | | Trackback | Comments(4)

ムール貝抜きのパエリアも又旨し

年賀状に一日中掛かりっきりになったあと、晩酌を始める。特製ジンフィズ(3倍ほど濃い)だ。つまみは、がんもどきの含め煮。程よくクリスマス・イヴ気分になったころ、家人の作ったパエリアなどが出される。

米粒と少量のスープを合せて炒るようにして作り始めたものは、途中で野菜、魚介類が加えられ、半ば蒸されるようにして仕上がっていた。ムール貝は手に入らなかった代わりに、アサリと生きのよいイカと海老が、パプリカなど野菜とともに混ぜ込まれている。

地中海を囲んだ国々の人たちは、こういうものをキリストが生まれた時代から食べ続けてきたのかなと思いながら、その旨さをじっくりと噛みしめていた。

2016年目の祝い日に向かう夜が過ぎていった。

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by k_hankichi | 2016-12-25 12:03 | 食べ物 | Trackback | Comments(2)

軽快なるモネへのいざない

モネに関する講演をまとめたものだということを、巻末になってようやく知った。『モネのあしあと 私の印象派鑑賞術』(原田マハ、幻冬舎新書)。足跡をたどっていくその過程で、当時の美術界の状況ということも知ることができる。

原田さんが書いた小説『ジヴェルニーの食卓』についての背景についても触れたり、そしてまた、「マハによるモネのあしあと案内」という章があったりで、愛敬が有ってよい。

専門的ではないので、物足りなさは残るけれども、手軽に読める美術案内だった。

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モネのあしあと 私の印象派鑑賞術 (幻冬舎新書)

原田 マハ / 幻冬舎

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by k_hankichi | 2016-12-24 00:25 | | Trackback | Comments(2)

大使の友情にじーんとする

保護主義的な利己的な国家になってゆくのか、と危惧をしているなかで、クリスマスシーズンにとっておきの動画が大使館から投稿された。

これは日本でいま流行っている「恋ダンス」を大使自らも加わって踊っているもので、観ているうちに、大使館、領事館の人たちが日本に注ぐ気持ちが伝わってくる。この友情にはじーんとする。

まだ棄てたものではない、と思い直した。

■恋ダンス【アメリカ大使館・領事館バージョン】 →https://youtu.be/7xuXlpvWw1I
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by k_hankichi | 2016-12-23 08:15 | 社会 | Trackback | Comments(2)

埼京線音頭を詠む


時折、所用で新宿から大宮に向かう。湘南新宿ラインに乗られれば良いのだが、埼京線の各駅停車になるときがある。

各駅かあ・・・と他の路線であれば落胆するのが常なのだけれど、埼京線は違っている。なかなかマニアックな駅の並びだからだ。駅名で人を唸らせる、とでも云をうか。

そして何かしらの川柳でも詠みたくなる。

行けよおふくろ池袋
板さん握ってそりゃ板橋
この部屋は四畳半?いいえ十条
年末の募金はやっぱり赤(い)羽
ほいきたそれきた北赤羽
大平の波の間に間に浮間舟渡
そりゃ大変、とんだことだよ戸田公園
公園が無ければそれは只の戸田
北側に線路走ればやはり北戸田
武蔵野のここは端なの武蔵浦和、字余り有れど風情楽しむ
正真で正銘なのよ此処、中浦和
世の常で南に在るから南与野
遠足の小学生徒有頂天に、大手ふりふり与野本町通る
単純が一番良いのよ、ねえあなた、だからここの地北与野なのね
あれここに大きな神宮あったのか、そうや漸く着いた大宮

お粗末様でした。

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From https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9833484
 
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by k_hankichi | 2016-12-22 07:35 | 街角・風物 | Trackback | Comments(7)


音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です


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