音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です

by はんきち

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ビジネス創生。その言葉ほど、なんだか格好良く聞こえて、しかし何かしら胡散臭いものが漂うものはない。

新製品創生。という語感とは異なるのだ。

しかし、そのビジネス創生、の会合に臨んでいる。

窓の外は真っ青なカリフォルニアの空が拡がる。

あまりにも美しくて、何だかなおさら恥ずかしい気持ちになった。

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by k_hankichi | 2015-10-31 10:56 | 街角・風物 | Trackback | Comments(0)

雲の上を超えて

夜半過ぎに飛行機に乗って旅立てるようになったのは、いつからだろうか。仕事を終えてからそうすることが出来て、それはとても便利なのだけれど、空の上はすぐに朝になり、それはずっと明るくて、しかし到着するころには夕暮れになっている。

到着して間もなく、出発したときと同じ時間になるから、自分はいったいどこに居るのだろうかと不安になるほどで、身体だけはそちらの空気に馴染み始めている。

間もなく夜も明ける。

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by k_hankichi | 2015-10-30 20:44 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)
中学時代からの友人が、神田神保町で古書店を営んでいる。彼に、「インターネットの購入サイトで新刊本を買う量が半端ではないけれど、そこには古本も候補に出てきて、だから時折そこから買うんだ」、と伝えたら、「何を考えてるんだ!?」と呆れられた。

古本は、たとえば東京都古書籍商業協同組合が営む「日本の古本屋」で買うほうが断然適切な値段になってるぞ、というのだ。

なになにい!?、っということになり、さっそくそのサイトを案内してもらった。

https://www.kosho.or.jp/

日本全国の古書店から約600万件の検索ができるようになっていて、自分が欲しい作家や本を検索欄に入れると、出るわ出るわ、こりゃ、びっくりぽんだ。

米国資本のインターネットの商魂に乗せられてきた僕の浅はかさを思い知った。そして、日本の古書業界の奥の深さに感銘した。

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by k_hankichi | 2015-10-29 00:15 | | Trackback | Comments(2)

『紀子』のこと

この世界に憑りつかれた男が繰り返し説く執念のような書だった。『紀子 小津安二郎の戦後』(黒田博、文藝春秋企画出版部)。

映画の台詞からの抜粋がこれほど潤沢なる書はこれまで読んだことはなく、これは台本なの?と思うほどなのだけれど、しかしそのなかに散りばめられた著者の想いの強さは自分にも通じるものがある。だからこれは僕らの代弁者なのだと思った。

“戦後の小津安二郎は芸術的メソッドとして反復とずれを徹底的に追及し、反復に退屈に見える平和な日々の生活を託し、反復する日常のわずかなずれに人生の残酷な真実を描いた。その時、Aの不在の顛末を直接描かないではいられないハリウッド流の叙事的語法に反して、小津は不在の波紋が生み出すドラマこそ意味があると考え、事件を直接描かないで主題を反復させ変奏させることで事後の風景を抒情的に描き、観客にもおこったことの意味を考えることを求めた。”「『麦秋』ー風にそよぐ麦の穂波」より)
“小津は「『騙されていた』と言う一語の持つ便利な効果に溺れて、一切の責任から解放された気で居る多くの人々の安易きわまる態度を見る時、私は日本国民の将来に対して暗澹たる不安を感じざるを得ない」と言い切った伊丹万作と同じ立ち位置から、その危うさを乗り越えてゆくのは、現状をずるいと認識できる者であると考えたに違いない。・・・(中略)・・・戦死者を忘却し器用に生きることを「猾い」と頑なに思いつつ、不安定ながらも生きてゆこうとする洋服姿の新しい女・紀子に期待を込めて託されることになった。」”(「『東京物語』ー時と場の交響曲」より)
“「周」とは閉じた曲線、つまり元の位置に戻ってくること、「紀」とはすじみちのことであった。いま、「紀子三部作」とは、生き残ってしまった元皇軍兵士・小津安二郎が混乱した政治的空間のなかで、「元の位置にすじみちをたてて戻ること」を思い描き、主人公に「紀子」と「周吉」と名付けた作品群だったと思う。”(「夢のように」から)

紀子三部作に出演させた後には、原節子には紀子を名乗らせなかった、という小津の秘めたる想いがようやくわかってきた気がする。

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紀子 小津安二郎の戦後 (文藝春秋企画出版)

黒田 博 / 文藝春秋

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by k_hankichi | 2015-10-28 00:38 | | Trackback | Comments(4)

過ぎ行く10月

近ごろ日時が経るのが早く感じる。稲刈りが終わってしまっていることに気付いたかと思えば、はや運動会シーズンの盛りにあり、いつの間にか柿が実をなし、目を離しているうちにその枝からは全てが切り取られて隣近所に配られている。

毎週のように東京やら、みちのくに足を運び、たくさんの人と言葉を交わしながら、ふとこれは映画のフィルムの早送りのよう、と感じる。

今日は朝に多摩川の鉄橋を渡るところで、ああ確かこの川崎の丘を登ったあたりに西脇順三郎の詩碑があったよなあ、友と訪れたのはいつだったかなあと思う。

それは早35年は昔のことだったとわかり、回っていたフィルムが鈍速化したかと思ったらゆっくりと逆回転し始めるような感覚に陥る。

考えてみれば生きるというのは、フィルムが回ったり逆回転したり、行きつ戻りつするようなこんなことなのかもしれないなあ。

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by k_hankichi | 2015-10-27 07:35 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)
昨日は木枯らしも吹いた。木々も色づき始め、自然のうつろいとともに生きていることを殊更に感じる。

柿も出回り、小振りの蜜柑が手に入り始め、豆腐が一段と旨くなる。芋焼酎はお湯割りが合うと思うようになる。

暮れ行く時間も早くなったなぁと気づくころ、秋はもうすでに深まっていて、年の瀬に向けての予定を確かめるようになって始めて、今年も間もないことを知る。

そんないま聴き始めたのは、アンネ=ゾフィー・フォン・オッターによるバロック歌曲集『Sogno Barocco』。サンドリーヌ・ピオーとの協演だ。

ヨオロッパと東亜の秋が繋がる。

■曲目
1. モンテヴェルディ: 苦しみはかくも甘き
2. カヴァッリ: 歌劇「ヘレナの誘拐」より器楽曲 (*)
3. モンテヴェルディ?/フェラーリ?/カヴァッリ?: 歌劇「ポッペアの戴冠」より二重唱「ただあなたを見つめ」(陛下を見つめ)
4. プロヴァンツァーレ: 明け方に輝くかすかな光
5. モンテヴェルディ: 歌劇「ポッペアの戴冠」より二重唱「陛下、私は今日生まれ変わり」
6. カヴァッリ: 歌劇「ヘレナの誘拐」より器楽曲 (*)
7. ロッシ: スウェーデン女王のラメント
8. カヴァッリ: 歌劇「ラ・カリスト」より「あなたのために私は生きる」
9. カヴァッリ: 歌劇「ラ・カリスト」より二重唱 「甘い口づけ」
10. カヴァッリ: 歌劇「ヘレナの誘拐」より シンフォニア (*)
11. 歌劇「ドリクレーア」より「ドリクレーアのラメント」
12. モンテヴェルディ:歌劇「ウリッセの故郷への帰還」より「哀れな女王の苦しみは終わることがない」
■演奏
アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms)
3,5,9: サンドリーヌ・ピオー(S)
12: スザンナ・サンドバーグ(A)
レオナルド・ガルシア・アラルコン(指揮)
アンサンブル・カペラ・メディテラネア
■収録: 2012年1月 スウェーデン
■音盤: Naive V5286

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モンテヴェルディ 他: バロック・オペラ歌曲集 (Sogno Barocco / Anne Sofie Von Otter, Sandrine Piau) [輸入盤]

アンネ・ゾフィー・フォン・オッター / Naive

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by k_hankichi | 2015-10-26 07:31 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(3)

秋真っ盛りの大山路

久しぶりに大山の阿夫利神社下社まで足を運ぶ。山といっても実質的に歩くのは駐車場からケーブルカー乗り場までの20分程度。それでも十分に観光気分が味わえる。

神社で願をかけ、名物の蕎麦を食して、真っ盛りの秋の昼下がりを満喫。もうしばらくすれば紅葉も楽しめるだろう。

この穏やかなる風景が永遠であることを祈った。

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by k_hankichi | 2015-10-25 17:57 | 街角・風物 | Trackback | Comments(4)
今日は昼から御茶ノ水に。音盤を買い求めたあと、女坂を経て神保町に歩む。目指すは、神田古書まつり。中学生時代以来、歩きなれている路地なれども、ああこんな路地があったのか、と改めて驚くこともある。

毎年足を運んでいるけれど、たのしみは尽きない。

今年は、ダンテの『新曲』の大型版の三冊組が最大の収穫だった。秋から冬の夜が楽しみだ。

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by k_hankichi | 2015-10-24 23:51 | 街角・風物 | Trackback | Comments(4)
数年前、仕事で訪れたオーストリアで、かの地の人たち(スイス人も混じっていた)と食事をしていた際、音楽の話になった。どんな作曲家や音楽家が好きかということになってとても盛り上がったのだけれど、先方の人たちが異口同音にMitsuko Uchida、と言っていたことを思い出した。

そんな彼女が、今年の高松宮殿下記念世界文化賞の音楽部門を受賞した。合同記者会見に出席できず、ビデオメッセージを寄せてくれたという。それがテレビで少し放送されていて気になって調べてみたら、それは産経新聞Web版にも掲載されていた。ああなんと素晴らしいことなのかと思った。

“1回しかない命で何をやりたいか、といわれたら、絶対にこれ以外やりたくないことっていうのは、私にとって音楽なんです。音楽だけを、ただ自分なりに突き詰めて、自分で本当に「毎日、これほど面白いことをやって生きていてよろしいのか」と思いながら生きている人間です。”

内田光子さんが、モーツアルトのピアノ協奏曲を演奏しながら指揮もするシーンを見たときがある。ああこの人は音楽のなかに溶け込んでいる、そこから心を発信している、と思った。

内田光子を一段と聴きこむときが来た気がする。

http://www.sankei.com/life/news/151020/lif1510200022-n1.html

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by k_hankichi | 2015-10-23 07:10 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(4)
友人から紹介してもらったデンマークのジャズボーカル、シーネ・エイのアルバム『フェイス・ザ・ミュージック』を朝から聴いている。眠気が残る頭は鎮まりかえり、心地よい気だるさに変わる。ビリー・ホリディの「月光のいたずら」だ。

このまま、新潟の寄居浜まで電車に乗り続けたくなるほど。

「ザ・ベスト・アイ・エヴァー・ハッド」は、君は今のままでよい、これでよいのだ、と言い聞かせてくれる揺りかごだ。

眠り眠るあさぼらけの夢の中を列車は疾走する。

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by k_hankichi | 2015-10-22 06:54 | ポップス | Trackback | Comments(0)