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頭の中での葛藤会議の現実・・・『脳内ポイズンベリー』

先週、機内で見たもうひとつの映画のことをメモしておく。『脳内ポイズンベリー』(http://nou-poi.com/)。主人公の桜井いちこという30歳の女の子を真木よう子が演じていて、出張帰り早々に目を通した新聞では、彼女のプライベートの出来事について掲載されていたから、実に複雑な気分だった。

実際、映画も、この年齢の女子が抱えるさまざまな葛藤について描こうとしたもので、それも脳の中で繰り広げられる出来事が、実際の言動や行動につながっていく世界なのだった(監督:佐藤祐市、2015年、東宝)。

脳中会議メンバーは、西島秀俊(理性/議長役)、吉田羊(ネガティブ役)、桜田ひより(衝動役)、神木隆之介(ポジティブ役)、浅野和之(記憶役)。いちこのひとつひとつの言動や行動は、この会議で決められ、そしてそれが現実に移されていく。脳の中には、こういったさまざまな派閥があり、それらが互いに拮抗しバトルをしながら結果をだしていく。

これは、僕らの脳のなかでも同じなのだ。ああでもない、こうでもない、ああしたい、こうしたい、ああすればよかった、こうすればよかった、と悩みながら僕らは生きているのだ。

西島が決定打として言い放つ言葉、「大事なのは誰が好きかではない、誰といる自分が好きかということだ。」というものが、とても大切に感じた。

人は誰かのために生きている。その人(たち)とともに交感し刺激を受けながら居ることが、生きるということなのだ。

■映画トレイラー →https://youtu.be/kxY0ilf-isQ

  
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by k_hankichi | 2015-09-30 07:00 | 映画 | Trackback | Comments(2)

『私のジャン・コクトー』・・・ジャン・マレーを通じて知る小津的なもの

件の『国際シンポジウム 小津安二郎 生誕100年記念「OZU2003」の記録』の本のなかで、ジャン・コクトーの言葉が引用されていて、コクトーのことが気になっていた。『私のジャン・コクトー 想像を絶する詩人の肖像』(ジャン・マレー、東京創元社)を読むとすこしそれが分かってきた。

ジャン・マレーは、ジャン・コクトーに24歳の時に出会い、そのときに自分は生まれた、と信じている。その彼がコクトーを見習って身に着けた演技の方策というものが、実はマレーが若い時から従っていた自分の信念と同じだったのだということが書かれている。

“ずっと昔からのことだが、私はある奇妙な能力に恵まれている、意に反する状況、私を憤慨させる状況、あるいはただたんに迷惑な状況におかれると、私は自分の肉体から抜け出ることができるのだ。そして肉体のほうは、人生のさまざまな命令に服従しつづけ、日々の仕事や戦争のドラマさえ生きつづける。私はこうしてさまざまなレセプションや愚かしさからの逃げだすことができる。”

小津の映画のなかでの俳優の姿もそういうものなのだということが、フランスの詩人や俳優の言葉からも知ることができた。

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私のジャン・コクトー―想像を絶する詩人の肖像

ジャン マレー / 東京創元社

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by k_hankichi | 2015-09-29 06:36 | | Trackback | Comments(2)

『さいはてにて』・・・佐々木希にポーッとしていれば良い世界

出張中の機内で『さいはてにて』(→http://www.saihatenite.com/)を観た。台湾の女性監督・チアン・ショウチョン(中国語: 姜秀瓊 )の作品である。永作博美、佐々木希主演(東映、2015年)。

主人公の吉田岬(永作博美が演じる)は、母親と離婚した父のことが忘れられなかった。その父が8年前に海に出たきり帰ってこないという知らせが来て、死亡認定が下りた。石川県の海岸沿いに残されたぼろぼろの船小屋を引き継ぐことになり、彼女はコーヒー焙煎店として自分の手でそこを立て直すことにする。

その店の前には、営業していない民宿があり、そこには二人の子供(有紗、翔太)をかかえた若い母親・山崎絵理子(佐々木希が演じる)が暮らしている。この彼女の登場シーンが凄い。「美しすぎるヤンキー姉ちゃん」のような出で立ちで出てくるのだ。そして気だるそうに布団で寝起きするシーンが続いていく。ポーッとすると同時に、どこか覚醒するような気分に襲われる。美しいのだけれど裏ぶれている、という風情は、却って美しさを増す。

若い母親には定職がなく、週の半分は金沢まで水商売の仕事をしに出かけて不在がちである。そんな荒んだ暮らしをする子供たちのことを、岬は支えていく。子供たちは岬になついていき、やがて絵里子も心打ち解けていくようになる。

そんななんか、失踪した船に乗っていた父親の同僚たちのご家族を民宿に招くことになる。仲睦まじく食事したり音楽に興じながら昔を懐かしがるシーンがあって、それはまるで夢物語のよう。

宮沢賢治の『よだかの星』の朗読が挿入されていたり、ピアノとギターが基調になった音楽も、とても心地よかった。

■映画予告編 →https://youtu.be/vGDW2Fl3qr8

  
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by k_hankichi | 2015-09-28 00:23 | 映画 | Trackback | Comments(2)

ノエル・シムソロによる小津・・・映像を彫刻する作家

古書店で買い求めた『国際シンポジウム 小津安二郎 生誕100年記念「OZU2003」の記録』(蓮實重彦ほか編著、朝日選書)を出張中の機内で読了。

12年前の、蓮實さんによる周到かつ徹底的に緻密な構成のシンポジウムの記録で、ひとつひとつ噛みしめるように読み、あまりの粘着度に気疲れが増したけれど、なるほどなあという記載に溢れていた。

特に、ノエル・シムソロという評論家の言葉とそこで引用しされた文章が心に残った。

“脚本は、俳優と技術者が綿密に演奏しなけばならない楽譜なのです。わずかでも脚本から離れたり表現過剰になったりすることは、そこでは許されません。・・・(中略)・・・コクトーはこう付け加えています。「罠としてわ私が俳優に差し出すあの偽りの単純さほどに正確さを要求するものは何もない」。・・・(中略)・・・撮影の装置が動いて意味を生み出すのを待つミニマリストであるどころか、彼は偶然やその時々のインスピレーションを全く信頼せず、素材の一つ一つを自分の好みと美意識に合わせて操作し、形と色の均衡という意図に基づいて撮影される空間を満たしていました。編集は撮影よりも遥か以前の段階で、すでにカット割りに完全に書き込まれていて、編集のあとにショット同士が作るリズムを、各映像の内容と同じ程度に準備していました。そうすると、すべてがスタッフにとっては拘束だったことが理解できるでしょう。なぜならば、結果の自然さと単純さが、小津があらかじめ考えたものと正確に合っていなければならなかったからです。この人は何よりもまず、映像を彫刻する作家でした。”(「世界の評論家が見た小津安二郎」より)

「小早川家の秋」でのなかで、森繁久彌の演技がどうしてあんなにも浮いてしまって違和感があるのか、ということがよく分かった。

国際シンポジウム 小津安二郎 生誕100年「OZU 2003 」の記録 (朝日選書)

朝日新聞社

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by k_hankichi | 2015-09-27 08:52 | | Trackback | Comments(4)

反戦の歌だった・・・独仏語によるバルバラの「ゲッティンゲン」

バルバラが書いた歌「ゲッティンゲン」をアンネ・ゾフィー・フォン・オッターが素晴らしく歌っていて、その哀しくしかし力強い魂の底にあるものを知らないでいた。それは反戦の歌だった。

ユダヤ人のバルバラが、1964年にゲッティンゲン大学の劇場に招かれ、そこで歌った作品だったという。

意味も分からずに聴いていてしかしそこにある力強くにじり出てくるような情念の源に、二度と悲惨な戦いをしない、という誓いと祈りがあったのだということを、ようやっと知った。

独仏語それぞれの「ゲッティンゲン」に耳を傾けているだけで、平和な世界の大切さが沁み入ってくる。

■「ゲッティンゲン Göttingen」
   (作詞作曲・歌 バルバラ Barbara)

もちろん、ここにあるのはセーヌ川でもないし
ヴァンセンヌの森でもない
だけど、それでもとっても美しい
ここゲッティンゲンは
Bien sur, ce n'est pas la Seine,
Ce n'est pas le bois de Vincennes,
Mais c'est bien joli tout de meme,
A Gottingen, a Gottingen.

逢い引きのための埠頭もないし
聞き古された嘆きの流行歌も流れない
だけど、それでも恋は花咲く
ここゲッティンゲンでも
Pas de quais et pas de rengaines
Qui se lamentent et qui se trainent,
Mais l'amour y fleurit quand meme,
A Gottingen, a Gottingen.

たぶん、このドイツの子たちは私たちフランス人よりも
フランスの王様の歴史をよく知っている
ヘルマンも、ペーターも、ヘルガも、ハンスも
ここゲッティンゲンでは
Ils savent mieux que nous, je pense,
L'histoire de nos rois de France,
Herman, Peter, Helga et Hans,
A Gottingen.

誰にも気を悪くしてほしくはないけれど
私たちの子ども時代のお伽話は
「むかしむかしあるところに」と始まる
ここゲッティンゲンでも
Et que personne ne s'offense,
Mais les contes de notre enfance,
"Il etait une fois" commence
A Gottingen.

もちろん、私たちのフランスにはセーヌ川がある
それから、ヴァンセンヌの森もある
だけど、なんてことでしょう、バラはここでも美しく咲いている
ここゲッティンゲンでも
Bien sur nous, nous avons la Seine
Et puis notre bois de Vincennes,
Mais Dieu que les roses sont belles
A Gottingen, a Gottingen.

私たちフランス人には陰気な朝があり
ヴェルレーヌの灰色の魂もある
でも、あのドイツ人の子たちにもメランコリーがある
ここゲッティンゲンでも
Nous, nous avons nos matins blemes
Et l'ame grise de Verlaine,
Eux c'est la melancolie meme,
A Gottingen, a Gottingen.

あのドイツ人の子たちは私たちフランス人に何も話せない
あの子たちはただそこにいて、私たちに向かって微笑むだけ
だけど、あの子たちの言いたいことはわかる
ゲッティンゲンのブロンドの子たちの気持ちがわかる
Quand ils ne savent rien nous dire,
Ils restent la a nous sourire
Mais nous les comprenons quand meme,
Les enfants blonds de Gottingen.

私がこう言ったからと驚く人は驚けばいい
だけど、そうでない人は私を許してほしい
子どもたちはどこでも同じなのだから
パリであってもゲッティンゲンであっても
Et tant pis pour ceux qui s'etonnent
Et que les autres me pardonnent,
Mais les enfants ce sont les memes,
A Paris ou a Gottingen.

流血と憎悪の時代に
二度と決して戻りませんように
あそこには私の好きな人たちがいるのだから
あそこ、ゲッティンゲンには
O faites que jamais ne revienne
Le temps du sang et de la haine
Car il y a des gens que j'aime,
A Gottingen, a Gottingen.

戦闘の警報が鳴る時がきて
もしも再び武器をとらなければならなくなったとしたら
私の心は一粒の涙を流すでしょう
ゲッティンゲンのために、ゲッティンゲンのために
Et lorsque sonnerait l'alarme,
S'il fallait reprendre les armes,
Mon c? Ur verserait une larme
Pour Gottingen, pour Gottingen.

だけど、それでもとっても美しい
ここゲッティンゲンでは
Mais c'est bien joli tout de meme,
A Gottingen, a Gottingen.

戦闘の警報が鳴る時がきて
もしも再び武器をとらなければならなくなったとしたら
私の心は一粒の涙を流すでしょう
ゲッティンゲンのために、ゲッティンゲンのために
Et lorsque sonnerait l'alarme,
S'il fallait reprendre les armes,
Mon coeur verserait une larme
Pour Gottingen, pour Gottingen.

■バルバラ「ゲッティンゲン」(ドイツ語)→https://youtu.be/C8sVd3cmNQ4

■バルバラ「ゲッティンゲン」(フランス語)→https://youtu.be/uXhTyhdbWMU

■バルバラ「ゲッティンゲン」(フランス語とドイツ語による)→https://youtu.be/Z2TDacy7MIY

 
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by k_hankichi | 2015-09-26 16:30 | ポップス | Trackback | Comments(4)

デンジャラスなるカロリーの縁を歩くミネソタ

イベントの前にちょっと軽く夕食を取ろうと言うことになった。立ち寄った店でメニューを見れば、そこにはあまり選択肢はなく、ここで無理をしてはならぬと心の警鐘が鳴る。結果、一番カロリーが低そうなものを選ぶことが出来た。

牛焼肉入りフラワートルティーヤの玉ねぎたっぷり野菜炒めと青唐辛子添え、野菜サルサとサワークリームたっぷり掛け、というもの。

出てきたものは三枚のトルティーヤに溢れるほどの肉が載っている。この下にはタコスチップが敷き詰められている。

おお~と面食らったものの、一口食べ始めれば、芳醇なる肉汁がトルティーヤにまとわりついて、サワークリームが味を引き立て、青唐辛子が刺激を与える。ぐいぐいと手が動き、いつのまにか三枚が胃のなかに収まってしまっている。

指先が汚れていない方の手の先は、タコスチップを掴んでいて、それを肉汁やサワークリームに浸したり潜らせている。四枚、五枚、六枚と、数えているうちは良かったが、気づいたら全てが綺麗さっぱり片付いていて、貪欲な眼は同僚の皿を物色し始めている。

あっ、あぷない。もうこの勢いの弾みが止められないかもしれない。デンジャラスなデンジャラスなカロリーの縁に早々と到達してしまった。

このさきあと一歩を踏み出せば、元に戻ることが出来まい。今宵のミネソタの夜のしじまは、脳内バトルフィールドとともに更けてゆく。

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by k_hankichi | 2015-09-25 20:16 | 食べ物 | Trackback | Comments(4)

セント・ポールの夜のしじま

急きょ米国北部の街に出張に出向いている。仕事をし歓談をしたあと、雨に濡れながら夜のしじまを一人歩いた。

ミシシッピ川というものを初めて眺め、それが幾千年を経て土地を削り、この地に崖を残したのだということを理解した。鉄橋はさみしくて、何故かバルバラの歌「ゲッティンゲン」が頭の中に流れる。

あてどなく歩いていくと、いつの間にか目の前にシアターが現れた。夢なかの出来事のよう。聴いてもいない音が頭の中でこだまする。

そして公園がある。だれも見ずとも噴水が銅像を濡らしていて、それはたまらなくさみしくて、しかし美しかった。ミネソタのセント・ポールの夜は更けてゆく。

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by k_hankichi | 2015-09-24 19:50 | 街角・風物 | Trackback | Comments(3)

アンネ・ゾフィー・フォン・オッターによる歌曲とシャンソン

先週、新宿の中古CDショップで見つけるや否や抱えて離さなかったのが、この音盤で、そのシックなデザインのジャケットに内包された音楽は、案の定、凄いものだった。アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms)によるフランス歌曲とシャンソンのカップリング盤「Douce France(優しきフランス)」。

聴いたことがあまりなかったレイナルド・アーンの歌曲や、フォーレの「三つの歌」、ドビュッシーのビリティスの3つの歌は珠玉。そして、それに引けもとらない素晴しさは、バルバラの「ゲッティンゲン」、「なんて美しい季節(9月)」。

ジョセフ・コスマの「枯葉」は極めて枯淡の味わいがあり、レオ・フェレの「ミラボー橋」やジャン・ルノワールの「聞かせてよ愛の言葉を」は秋にまさしく相応しい。

初秋の夜が更け行くとき、心の底に静かに重なる愛があった。

■曲目
<CD1> 歌曲
(1)アーン: 『灰色の歌』より いみじき時
(2)アーン: 最も美しき今
(3)サン=サーンス: 月の光
(4)サン=サーンス: 私に何も言うことがないのなら
(5)サン=サーンス: 行け、行け、船よ
(6)アーン: 離れ家に閉じ込められたとき
(7)アーン: 私は口づけをしたから
(8)アーン: 田舎の墓地
(9)フォーレ: 『3つの歌』より 秘密op.23-3
(10)ラヴェル: 『クレマン・マロの2 つの風物詩』より スピネットを歌うアンヌへの
(11)ラヴェル: 愛に死せる女王のためのバラード
(12)ドビュッシー: ビリティスの3つの歌(全3曲)
(13)レフナー: 『4つの詩』よりop.5 ひびの入った鐘
(14)レフナー: セレナード
(15)サン=サーンス: 死の舞踏
<CD2> シャンソン
(1)バルバラ: ゲッティンゲン
(2)グランツベルク: パダム・パダム
(3)フェレ: サン=ジェルマン=デ=プレ
(4)バルバラ: なんて美しい季節(9月)
(5)ルマルク: パリで
(6)ハジダキス: 若い郵便屋
(7)ルグラン: 双子姉妹の歌
(8)ルグラン: 君なしで生きていく
(9)コスマ: 枯葉
(10)ショーリアック/トレネ: 優しきフランス
(11)トレネ: ブン!
(12)フェレ: ミラボー橋
(13)ムスタキ: タンドル国の地図
(14)アーン: 秋の歌
(15)ルイギ/モノ: バラ色の人生
(16)ショーリアック/トレネ: 残されし恋には
(17)ルノワール: 聞かせてよ愛の言葉を
■録音
<CD1> 2013年2月、ベルヴァルドホール(ストックホルム)
<CD2> 2013年5月、アトランティス・スタジオ(ストックホルム)
■音盤:Naive V5343

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■珠玉の歌バルバラの「ゲッティンゲン」を歌うオッター →https://youtu.be/Z-v3fW9kQuI

■同じくバルバラの「なんて美しい季節(9月)」を歌うオッター(写真が美しい) →https://youtu.be/Og8z__fSvK8
■音盤のトレイラー →https://youtu.be/WpwErMyDAdM

 

優しきフランス ~ フランス歌曲集 (Douce France / Anne Sofie Von Otter) (2CD) [輸入盤]

アンネ・ゾフィー・フォン・オッター / Naive

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by k_hankichi | 2015-09-23 00:44 | ポップス | Trackback | Comments(4)

シベリウス生誕150年を祝う秋の昼下がりの美酒

今年ほど、シベリウスに近づいた年はなかった。次点はいつかといえば、中学1年生のころだ。あの夏休みの暑い日に、学校に出て練習をしていたのが『フィンランディア』で、来る日も来る日もこの曲だった。あの日、窓の外の手が届きそうなところにあるホテルグランドパレスから、韓国の政治家・金大中が誘拐されていたことをあとから知って、子供ながらに驚いたことを鮮明に覚えている。

だから無性になつかしかった。シルバーウィークと呼ばれる今週、酒屋で見つけるや否や、すぐに買い求めたのは、この酒「Finlandia」(→http://www.finlandia.com/en)だった。

クリスタルのように透明なボトルに収められたこの酒は、凍土のなかから生まれた一縷の鋭敏な結晶のようであり、これを昼間から飲み始めていると、かの地の風土と、そこに静かに、しかしその内部では血潮熱く暮らす人たちの心が伝わってくる。

150年の歳月が一挙に縮まった感がある、昼下がりだった。

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■FINLANDIA presents: 1000 YEARS of less ordinary wisdom →https://youtu.be/uZRX3vwkEIQ

 
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by k_hankichi | 2015-09-22 00:23 | | Trackback | Comments(2)

環三千世のこと

映画『小早川家の秋』の冒頭で出てくる、銀座のバアのホステスのことが気になっていた。環三千世(たまき みちよ)という名前の女優だ。

新珠三千代の一人二役か、と思うほどに、ちょっと雰囲気が似ているのだけれど、よく見たらどちらも宝塚出身。環のほうが、三歳ほど若い。

引力というものに弱い僕だけれど、どちらの引力にそうなるのかと言われれば、環三千世だと言って憚らない。大阪弁ではない、神戸弁だからこそに、惹かれるのかもしれない。

ここにこの映画からの写真がアップされていた。 →http://blog-imgs-31-origin.fc2.com/2/n/d/2ndkyotoism/WS000026_R.jpg


※環三千世・・・コトバンクには以下のようにあった。40歳という若いときに亡くなられていた女優だった。
生年昭和8(1933)年8月16日
没年昭和48(1973)年
出生地兵庫県神戸市
本名喜多村 通江
旧姓(旧名)青木
学歴〔年〕成安女子高〔昭和27年〕卒,宝塚音楽学校〔昭和29年〕卒
経歴昭和29年宝塚歌劇団に41期生として入団。宝塚の舞台に立つ一方、宝塚映画に扇千景らと出演するようになり、30年嵐寛主演の「石門捕物帳・献上博多人形」に端役で出演。31年宝塚映画と専属契約、かたわら東宝や東京映画にも出演、32年「美貌の都」で不良少女を好演して認められる。明るいルックスとやや舌たらずの発声の甘い大阪弁に魅力があった。36年松竹に移り、38年「古都」などに出演。同年「女弥次喜多・タッチ旅行」を最後に芸能界を引退。
 
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by k_hankichi | 2015-09-21 06:37 | 映画 | Trackback | Comments(0)


音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です


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