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夜に豹の群れと疾走する夢

夜、車で、郊外の土地を走っていた。家ひとつない荒野のなか、道はずっとうねうねと続いていて、街灯もないその先を照らすものは自分の車のヘッドランプだけだった。

そんななか突然、豹の群れに出くわした。10数頭のその豹は、行く先を知っているかのように、あるものは前に、あるものは横に、あるものは後ろに、車を囲んでわき目も振らずに疾走している。窓を開けて手を出したら、食いちぎられてしまうかもしれない。僕はだから、彼らと目を合わせないようにしながら、ただひたすらその場所を目指して車を走らせた。

僕らの相棒たちは、空からその街の上空に差し掛かっていた。我々は自力で飛ぶ力も備えているのだ。空から見下ろす目線の先に郊外型の大型マンションが見えてきた。中層階にプールもあるようなその建物を横目に睨みつつ、隣接する煤けた焼き鳥屋との間の狭い路地に着地した。

相棒たちも暗闇を走り始める。よく見れば、地面すれすれを滑空するような形だ。

僕と相棒たち。それぞれ同じ場所を目指して深い闇のなかを疾走しつづける。ある一点に向けて、疾走をつづける。

ここで夢から目覚めた。その先を知りたかった。目指す場所と、その先の物語を。
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by k_hankichi | 2012-09-30 08:22 | 夢物語 | Trackback | Comments(0)

有馬稲子の出色は満島ひかりに受け継がれたような・・・『東京暮色』

東京の美術館に向かっていたが、途中、神保町シアターで小津が掛かっていることを知り、予定変更。『東京暮色』(1957年、松竹)を観た。

裕福な家に育ちながら、学生との恋に落ち、つれなくされ不幸に陥る女・明子(有馬稲子)。その姉・孝子も翻訳家の理屈っぽい冷たい夫から離れて、父・宗吉(笠智衆)がひとり住む実家に戻っている。世の中の裏、男女の裏、家庭の裏を描いた、戦後の小津作品群では異色の作品だった。

特に有馬稲子の暗さが秀逸で、小津に何か有ったのかと思うほどの演技だ。男にうつつを抜かしてしまったことに、自分でも嫌気がさしている気持ちと虚脱感が、何ともいえぬ雰囲気を醸し出している。母親役は山田五十鈴だが、男と駆け落ちして家を出ていった負い目が滲みでていて、かつて美しかったろう母の顔を実に安っぽく映し出している。

有馬の顔をみているうちに、この雰囲気は満島ひかりに有るなあ、と思った。

なにかが心を押して、現実と向かい合ってしまった小津の、複雑な心を感じる秀作だった。



東京暮色 [DVD]

松竹ホームビデオ

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by k_hankichi | 2012-09-29 18:35 | 映画 | Trackback | Comments(0)

関東ギャグは「ボケとツッコミ」の足元にも及ばない

『噂のケンミンショー』といったか、昨晩、関西人(特に大阪人)のボケとツッコミについて放映していた。

街頭で、「うちわです」と言いながらフライパンを渡すと、老若男女を問わず顔やら周りを扇ぐ。そして「これちゃうやないか」と言う。スルメを渡しても、「あ~ええ香りやわあ」と言う。

クアハウスの売店で、生ビールと言ってアイロンを渡すと、どの男もゴクゴク飲む真似をしたあと、「ビールとちゃうやないか」と言う。

この心理構造は関西出身の友人は、解説してくれるだろうが、僕にはよくわからない。

相手の心境を理解してのこととは想えないし(僕が知ってる大抵の大阪人は人の話がおわる前に自分の話や意見で被せてくる)。

東京人は、そういう掛け合いの意味が分からないし、そのタイミングで何か言えといわれても反応できない。

東京人にとっての楽しみは一人ギャグである。

「この車は肩がコルト」
「チキンラーメンはキチンと食べなきゃね」

相手が居なくても、ひとり呟いてみて、嬉しがったりもする。

この東西の差はどうなってるんだろう。その境界はどこなんだろう。関ケ原?

関西のボケとツッコミには永遠に足元にも及ばないと思う。
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by k_hankichi | 2012-09-28 06:53 | 一般 | Trackback | Comments(3)

ケーゲルによるショスタコービッチ(交響曲第5番)

ヘルベルト・ケーゲルとライプツィヒ放送交響楽団による、ショスタコービッチの交響曲第5番を聴いている。

諦観にみちた、とてもあっさりした序奏から始まる。邪念のない、ふっきれた潔さは、僕がこれまで聴いてきたバーンスタインやゲルギエフによるものとは、ずいぶん違う。

世の中を見定めたかのようなこの演奏、いまの僕の気持ちになにか呼応する感じがする。

しばらく聴き込んでいこう。

ショスタコーヴィチ:交響曲第4、5、6、9、11、14、15番 (Shostakovich: Symphonies)

WEITBLICK

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by k_hankichi | 2012-09-27 07:17 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)

あたりまえのことをしかし真面目に取り組む・・・『ダイアローグ 対話する組織』

あたりまえの内容を、如何に再認識してもらうか。これは人の育成や、よりよき組織への変革に大切なことだ。これで本といえるのかと感じるほど、シンプルに同じことを言い続けたものを読んだ。『ダイアローグ 対話する組織』(中原淳、長岡健、ダイヤモンド社)。

本のカバーの見返しや奥付のところに著者たちのスマートな出で立ちの写真があって、気鋭さを暗諭させる。ただし中身はそういうことではなく、あくまでも愚直に題名通りのことを繰り返し説く。

そんななか、「ビジネスの現場を支配する導管型コミュニケーション」という概念は、トピックスだった。問いかけに対して対話せず、「課長、それはメールで昨日送ってあり、そのなかに書いてあるます」、のような、情報の移動だけで伝わっていないようなことが頻発しているというもの。

コミュニケーションのなかで、ときおり自他共にしでかす事柄だ。うーむ、慢心はいけない。

ダイアローグ 対話する組織

中原 淳 / ダイヤモンド社

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by k_hankichi | 2012-09-26 07:01 | | Trackback | Comments(2)

静謐から解放にむけた爽やかな意志・・・シベリウス交響曲第7番

交響曲の出だしが、このあくまでも清き静謐なるアダージョとは・・・。シベリウスの第7番を聴いて驚いた。サー・ジョン・バルビローリ指揮、ハレ交響楽団。

ベートーヴェンの9番の第三楽章にいるような気持ちを覚えた。現にこのオーボエの響き方は第9の歓喜の歌を調べを誘いだそうとする問いかけに似ている。

なにも邪念のないところから新たに沸き上がろうとする、しっかりと芯がある意志。確信に満ちた、静かなる清らかさ。

第二楽章はそんななか、過去の甘美なひとときを振り返り、改悛の念がちらと頭をかすめる。音楽は第三楽章で、少しの迷いや躊躇いに回り込みながらも、再び前向きな明るい意志へと回帰してゆく。

第四楽章は、より高い精神の極みを目指す、その孤高を目指す自己との対話だ。決意と自信に満ちた気持ちで、ゆっくりと清麗なる空気を吸い込み、はるかかなたを見つめる姿で終わる。

なんと清い気持ちになる交響曲なのか。バルビローリの演奏を紹介してくれた友に感謝。

シベリウス:交響曲第2番、第7番

バルビローリ(ジョン) / EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)

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by k_hankichi | 2012-09-25 07:24 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)

もはや日本古来の学問芸術であり宗教である・・・『下町酒場巡礼』

週末に友人と呑んでいるさなかに、これ、と何の説明もなく渡された本の一冊は、『下町酒場巡礼』だった。大川渉、平岡海人、宮前栄著、ちくま文庫。

解説を種村季弘が書いていて、その最後を読んで、ははあ~っと感心した。

“最後に申し上げたい。酒場案内なら他にも腐るほどあるので、これを読んでその足で下町酒場に駈けつけるのは邪道、この本そのものを下町酒場的にたのしむのが正道、なのであります。”

酒場というものは、たんなるイタ飯やフレンチのグルメ巡りとは違う。さまざまな流派のありかたをそれぞれ是と捉えながら、酒場道に反するものは概念としても精神としても、見極めるちからを持っている必要があるのだ。

もはや下町古来の学問芸術、いや宗教に達している。ゆえに巡礼。

いやはや、大したものに、のめり込んでしまったものだ。友人の無言さがわかった。

下町酒場巡礼 (ちくま文庫)

大川 渉 / 筑摩書房

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by k_hankichi | 2012-09-24 07:00 | | Trackback | Comments(2)

雨の日は 大の字で浴びよ しぐれ露 太古のけものの こころわかるよ

今朝は、昨晩のアルコールを抜けさせようと、近くにある露天風呂を訪れた。そのときの気持ち。

『雨の日は 大の字で浴びよ しぐれ露 太古のけものの こころわかるよ』

横たわって見上げれば、灰色と乳色が混じった空から、雨粒がどんどん自分の顔やその近くに振ってくる。それは、刺さるという感覚ではなくて、降臨する、という感じだ。雨粒の大きさはおおよそに揃っていて、それは現れたかとおもうとすぐにこちらに届いている。

その合間を縫って、湯煙が空に高く高く昇ってゆく。

降りてくるしぐれと、昇ってゆく湯気。どちらも水滴なのに、片方は落ち、もう一方は、あがってゆく。この摩訶不思議さよ。

露天風呂は、雨の日に訪れて、大の字に横たわって空を見上げることを、万人にお薦めする。
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by k_hankichi | 2012-09-23 19:44 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)

『洋酒天国』に、天国でも愉しく飲める予感がした

昨夕は神保町の『洋酒天国』(旧名『ラテン地区』)にて友人の激励会。店長のAさんの取り計らいでお休みのところを開けてもらって感謝。

店長自慢のラタトゥーユはひたすら大地の恵みで、欧州のパンはこういうものなのだろうというようなパンに絡めると実に旨い。鰯の香草焼きも絶品。そしてパテの三種盛りは舌の上でとろける。タコのマリネはパリの下町の惣菜屋が作っているような親しさだ。ポテトを薄切りにしてほくほくにオーブン焼きしたブルターニュ風(だったか)のプレートもまだ口のなかに余韻が残っている。どれもが店長のお手製というから、もう脱帽するしかない。

そしてこれらの料理に合うシャンパン、白ワイン。場を読んだ店長の絶妙なるチョイスのボトルを次々と空にし、そして彼の手によるハイボールの世界に入ってゆく。時は夢幻に過ぎ去ってゆく。

旧友との飲みは、ただただ楽しい。いろいろな話に飛びううり、昔話も咲き乱れる。いくつかのの後日談も披露され、また驚いたり。我々それぞれが抱えている事情のむつかしさというものも、深い感慨がある。

友人は、これから東海地域の企業美術館などを担当するという。素晴らしい企画や展開があると思う。

『洋酒天国』の時間を過ごすと、同じメンバーで天国でも愉しく飲める予感がした。
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by k_hankichi | 2012-09-23 10:20 | | Trackback | Comments(2)

やっぱりサスペンスは、苦手だ・・・『墜ちる』(林由美子)

昨晩の飲み会で、友人から「こわいぞ」と預けられた小説を、東京に向かう電車のなかで一気に読んだ。『墜ちる』(林由美子、宝島社文庫)。

淋しさとストレスを抱えた夫。家庭の倦怠に飽いた妻。父母の冷めた関係に敏感に反応する小学生の娘。

夫は犯罪まがいの行為に走り、妻はそれに感づき、子供のため、と言い訳しながらショッピングに走る。金が無くなり悪徳商法に走りさらに身を持ち崩す。

夫を庇ったつもりで重大な犯罪をおかし、しかし逃れられなくなった妻は・・・。

もう、おっかなくて仕方がない。そして自分の周りを悪の誘惑がぐるぐる回る。邪な心が芽生えてきそうだ。

この作家は『化粧坂』という作品で第三回日本ラブストーリー大賞審査員特別賞を得たという。読みたいのは、そういう切り口のものだなあ。

やっぱりサスペンスは苦手だ。

堕ちる (宝島社文庫 『日本ラブストーリー』大賞シリーズ)

林 由美子 / 宝島社

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by k_hankichi | 2012-09-22 15:41 | | Trackback | Comments(0)


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