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オリンピックに甲子園

オリンピックのさまざまな競技の放映がされている。一喜一憂、はらはらどきどきと人間ドラマの応酬だ。審判が覆るようなことが二度三度起きる。人間、万能ではないのだということも知る。

そんななか、ふと寂しく思うのは、日本選手中心の報道であること。僕は、相手の選手がどんな人なのか、気になってしかたがない。

日本選手については、その生い立ちから競技人生、そして私生活までかなりの割合で出回っている。しかし、相手はどんなひとなのだ。世界のどんなところに生まれ、どのように歩み、いまここに辿りついているのはどのような経緯からなのか。

人の歴史や、その生まれ故郷、かつての恩師、学び舎、家族。そういうものを知りたい。

高校野球の甲子園大会であれば、NHKの放映で、相手の高校やそこでの生活の一こまが映像で流れ、ふるさとのありさままで知ることができる。

情報ネットワーク、取材ネットワークの発展している現在。試合相手のそういったひとこま、ひとときでも、紹介してくれれば、われわれ地球に生きるなかまの、横のつながりをつくる一助になると思うのだ。

ああ、このジュリア・クインタバレ選手(イタリア)は、もしかするとジェルソミーナのような生活をしていて、その横にザンパノが居たのか、とか、コリナ・カプリイオリウ(ルーマニア)の家系は、実は、ディヌ・リパッティの親戚だったのだ、とか、そういう奇遇に接してみたい。
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by k_hankichi | 2012-07-31 22:44 | 社会 | Trackback | Comments(6)

いつからカモメはスズメになった、スイカなのさ

残暑見舞いの続編。『かもめーる』を求めて営業時間外の郵便局にも三ヶ所ほど訪れてみたけれど、以前は確か有ったはずの局前の自動販売機(切手や葉書用)がどこにも無く、これには参った。

コンビニに行けども、三軒ほどは、「かもめーる」と言うと、スズメの図柄の通常葉書を出してくる。あの、かもめーるなんですが、というと、この鳥、カモメじゃないの?とまで言われてしまう。

面倒で、諦めて何も言わずに退散するが、背中ごしに、「あら確かに。いやだわ、これカモメじゃないわね、何かしら?」という声までが聞こえる。

今年のかもめーるは、スイカなんだよ。
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by k_hankichi | 2012-07-30 21:24 | 街角・風物 | Trackback | Comments(4)

『ローマの休日 ワイラーとヘプバーン』(吉村英夫)

ウィリアム・ワイラー論から『ローマの休日』を語る人は少ない。いたとしても、マッカーシズムとの関係から説くくらいだろう。

しかしこの本は違っている。『ローマの休日 ワイラーとヘプバーン』(吉村英夫、朝日新聞社)。

ウィリアム・ワイラーが監督してきたそれまでの数々の作品における彼の撮りかたから始まり、『ローマの休日』が、いかにワイラーの休日だったかを解き明かしていく。

この著者は、当時、三重県立津東高等学校教諭だという。二足のわらじだ。しかし玄人を超えた着眼点と解析力、洞察力にはただ頭がさがる。

ワイラーの素晴らしさと同時に、二足のわらじをはくこの著者に感服した。

ローマの休日―ワイラーとヘプバーン

吉村 英夫 / 朝日新聞社

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by k_hankichi | 2012-07-30 06:51 | | Trackback | Comments(2)

風と影が生まれた「忘れられた本の墓場」に繋がる・・・『天使のゲーム』

本国スペインでは2008年に上梓されていたもので、日本のサフォンマニアが今か今かと待ち望んでいた翻訳が、今月ようやく刊行された。初版から文庫によるものだが、実に充実したものだった。『天使のゲーム』(カルロス・ルイス・サフォン、集英社文庫)。世界40ヶ国で700万部突破、という触れ込み付きだ。

出版社のHPにも力が入っている。

バルセロナの新聞社でアシスタントとして働いていたダビッド・マルティンが、その文才を認められ作家としてデビューしていくさまから始まる。偽名で著作するミステリーが世間から高い評判を呼ぶが、やがて本名で執筆したくなり、しかしその一作目の『天国の足音』は、非常なる不評にさらされる。彼は落胆しそれを「忘れられた本の墓場」のなかに埋葬する。前作『風の影』の舞台のひとつだ。思わずうれしくなる。

愛する人への気持ちを打ち明けられないまま、彼は自分の家「塔の館」にこもって、パリの謎の編集者の依頼による執筆にのめり込んでいく。しかし「塔の館」はエニグマだ。その場所にまつわる過去の愛憎に巻き込まれ、その輪廻は、自分の将来をも巻き込んでゆく。彼にはもう抗えぬ状況がそこにはあり、新著の原稿を、また「忘れられた本の墓場」にしまいこみ、すべての過去に別れを告げる。

次作、次々作へと展開される予感がそこにはあり、胸の鼓動が高まってゆく。

天使のゲーム (上) (集英社文庫)

カルロス・ルイス・サフォン / 集英社

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天使のゲーム (下) (集英社文庫)

カルロス・ルイス・サフォン / 集英社

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by k_hankichi | 2012-07-29 20:07 | | Trackback | Comments(2)

真夏の昼のたゆたう音楽・・・大島莉紗ヴァイオリンコンサート

飯田橋から大曲までの道を、汗だくになりながら向かったブランチタイムコンサートは、心たゆたう時間だった。

大島莉紗~パリ・オペラ座からの便り~第2回
《無伴奏~「過去」と「今」の洗練された音を聴く》

■プログラム
1.G.P. テレマン:無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジア 第1番 変ロ長調 TWV 40:14(Georg Philipp Telemann: Fantasia for Solo Violin I in B-flat major ~12 Fantasies for Solo)
2.B.A.ツィンマーマン:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ[1951](Bernd Alois Zimmermann:Sonata for Violin-Solo
)
3. J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004(Johann Sebastian Bach:Partita for Violin Solo No.2 in D minor, BWV1004)
■2012.7.28、トッパン・ホール

テレマンとバッハは、バロック弓とガット弦。ツィンマーマンは、現代弓とスチール弦。そういう楽器を使っての演目と演奏は、コントラストが利いたもの。

B.A.ツィンマーマンの無伴奏ソナタは、初めて聴いたのだが、古典のソナタの構成を深く分析した、爽やかなる現代ソナタだった。その斬新なる現代の和声と構築性のなかに、バッハへのオマージュ隠されている。新しきを聴きながら古きを知る、というような感覚につつまれる。鋼の弦からは、怜悧なる理性が響きわたる。

バッハの無伴奏は、情感豊かなる纏綿とした音感だ。心の限りを尽くしたシャコンヌは中でも抜きんでていた。このすこし物悲しい旋律は、人に昔のことを思い出させる。それは遥かとおい北ドイツであったり、もっと最近の、このホールが開館したころのことであったり。透徹な、しかし、たゆたうような響きを聴いているうちに、僕は、時の流れの意味やそのたいせつさというようなことを感じていた。

大島さんは、渾身の演奏を終えると、都度、ちょっと困惑したような、そしてはにかんだような笑みを浮かべ会釈をされる。消え入るように袖に向かう彼女の姿は、なにか天女のようだった。

コンサートホールの外はむせかえるように暑く、じりじりとした陽をあびながら、筑土八幡を経て神楽坂に上っていると、僕は昭和50年代に向かっているような感覚に包まれた。
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by k_hankichi | 2012-07-28 23:17 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)

『かもめーる』は何処にいった・・・コンビニエンスではない世界

残暑見舞いを書こうと思って、『かもめーる』の葉書を買い求めに行った。

会社の行き帰りにしか時間がないから、コンビニエンスストアや駅前の売店などを10軒くらい当たったが、全て取り扱っていない。

ひどいところは、「かも…、かもめーる、ってなんですか?」、尋ねられてしまう。

「あ…、暑中見舞いとか、残暑見舞いとかの…」、と言うと、あ~っ、とそそくさと奥に取りにゆき戻ってくるが、彼が手にもつのは普通葉書か喪中葉書。ひどいときは往復葉書ならばありますが、と言う。

もはや暑中見舞いなど死語に近いということが、ようやくわかった、「こぞの夏」である。

いやはやコンビニエンスでない世界になったものだ。
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by k_hankichi | 2012-07-27 06:55 | 社会 | Trackback | Comments(2)

真夏の夜のぬるく遠い記憶

会社から帰る道すがらの、夜の空気はぬるく、遠いむかしの記憶がよみがえる。

蚊帳が吊られた部屋の畳部屋で、屋外の虫の音に聞き耳をたてながら、なかなか寝付けぬ夜の記憶が。

蚊取り線香の煙は、鼻腔の奥底にまで、まとわりつき、額の汗と混じって湿度を増す。

あのころ、夜はひたすらに静かで、騒いではならず、やかんに入った麦茶を飲みに台所に行くのも億劫なくらいだった。

いや、億劫というのではなく、おっかなかった。鬼の面が暗闇に浮かび上がってくると信じて疑わなかった頃だ。

静かにじっとして、まんじりともせずにいるうちに、いつしか記憶は遠くなり、気付いたときは、ひんやりとした空気が流れ来る朝になっていた。あのころの朝は、ことさらに爽やかなる朝だった。
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by k_hankichi | 2012-07-26 22:44 | 街角・風物 | Trackback | Comments(0)

暗渠となった河川をたどる夢

河川跡の緑道を辿ったからなのか、今朝の夢はそれと同類のものだった。

大雨で地下から水が溢れだし、道路が川のように化している。何故だ何故だと皆は騒ぐが、僕はその理由を知っている。

二つの川の合流があったものを、無理やり地下洞化、暗渠化して水流を変更したことが原因だ。たいていのことは人に起因している。人災なのだ。

ぼくは、自治会長にその仕組みを説明し、住民が避難する経路を安全な方向に導いた。

行き先は標高が少しだけ高い場所だが、巨大なサウナ風呂だった。避難民とお湯で溢れかえっている。先に入居している人たちのなかに割り込むかたちで、肩身がせまい。トイレも融通があまり利かず、見張られている。

そこもそういった人間関係の濁流のなかにいるようで、しかし戸外は、冷たい本当の川の濁流が渦巻いており、まあこの世はこんなもんだからなあ、と諦観につつまれた。

混沌と喧騒のなかで嵐の夜は更けていった。
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by k_hankichi | 2012-07-25 07:22 | 夢物語 | Trackback | Comments(4)

私の耳は 貝の殻 海の響きを懐かしむ

こんな詩があった。

『貝殻の耳』

私の耳は 貝の殻 
海の響を懐かしむ    

(ジャン・コクトー、堀口大学訳)

それに似た感覚に覆われる雰囲気の飲み屋があり、その街に行くと、知らぬうちに立ち寄ってしまう。

そこにいると時が経るのを忘れ、自分がいつしか、いまの現実に息づいているのではなくて、少し過去の、あるいは、もうすでに遠い過去の時と場所に、その身を置いているような錯覚にさえおちいる。

むかし人からもらった巻き貝の貝がらのことをも思い出し、しかしそれはどうしてか自分の手元から無くなっていて(あるいは見失っていて)、そのことに気付くと、僕はまた、むしょうに侘しい気持ちに捉われてしまった。

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by k_hankichi | 2012-07-24 00:20 | | Trackback | Comments(0)

官庁との珍しき見解の一致・・・北沢川緑道のMy Best Shot

友人と昨日歩いた北沢川緑道のことを調べていたら、感銘して写真を撮影したところが、世田谷区のHPに掲載されている箇所と、まったく同じだということが分かった。なにか、狐につままれたような気がする。

さすれば、そのあと、隠れ家のような和風割烹で旨い肴と酒を楽しんだり、河岸を変えて南方系の酒をあおったりしたその場所まで、どこかで載っているのでは、とまで思うほどだった。

この世のなかの連関性を想うほどに、なにか、ぞくっとするものがあり、しかしてやがて、ほっと安堵の念にかわる。

下記:世田谷区HPから→http://www.city.setagaya.tokyo.jp/030/d00014287.html

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by k_hankichi | 2012-07-23 23:16 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)


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