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今朝の夢は、非常な現実感があった。

慣れ親しんだ部署からの異動に際し、メンバーの各々に挨拶する。あたたかな拍手と眼差しとともに送り出される僕。

会社からいったん外に出て、街を歩き始めたところで忘れものに気がつき、一緒に歩いていたAとともに、職場に戻る。みなまだ忙しそうに仕事をしている。

僕も仕事のメールを送らねばならないことを思い出し、夕方まで使っていた机(上は綺麗にかたづいている)に座って、パソコンを開いて打ちはじめる。目の前を同僚が通りかかったので、「やあxxさん、これからも宜しくね、また呑みに行こうね。」と声をかけるが、何の返事もない。

一緒に戻ったAは、職場の仲間につかまり幾つかの話や指示をしている。ちらと僕の方を見てくれたがちょっと哀しげな顔つきをしている。どうしてかなと思った。メールを打ち終わり席を立って、仲間にまた声をまたかけてみるが、依然反応がない。おかしいなあ、と思いながら、Aと一緒に職場をあとにする。

道すがらAに、「僕が声をかけても、みな何も返事をしないよ、どうしてだろう」と尋ねると、「あたりまえさ、もう彼らからは君のことは見えないんだよ、君の存在は見えなくなってしまったのさ、忘れ去られたわけではないのだけどもね。だってもう、ここの一員ではないだろ。」、と応える。

異動するということはそういうことなのか、僕の存在は見えなくなるということなのか、では新しい職場ではどのように見られるのだろう。そういう焦りとともに眠りから目覚めた。

夢なのか現実なのかわからないままのぼうっとした朝。現実感覚がないまま、廊下から外を見やると、晴れ渡った空。しかし家全体を揺さぶるような激しい風が吹きすさんでいることに気づく。雲も見当たらないのに、風に混じってワーグナーの音楽のように雨が窓に打ちつけている。

おかしいなあと思って外に出てみると、黒澤明の映画のような驟雨になった。
  
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by k_hankichi | 2012-03-31 18:22 | 夢物語 | Trackback | Comments(2)
10年単位で迎える会社員生活の区切りも、これで三度目になる。そして今年はさらに新たな転機が加わった。

来週からは、故あって長年慣れ親しんだ職場から、全く経験したことがない職場に移ることになった。

今の仕事は大変充実していて、いろいろな懸案事項はあるものの、皆で力を合わせて進めて行くある種のダイナミズムがあるから、後ろ髪を引かれる思いと、何とも云えぬさみしさが交錯する。

新年度からは毎日がチャレンジだ。技術も、業務プロセスや仕組み、そして皆とのコミュニケーションの取り方ひとつに於いても。

領域によっては、いちから立ち上げることも有るかもしれない。しかしそれはそれでよい。新しい枠組みをつくることだと念じて頑張るのみだ。
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by k_hankichi | 2012-03-30 07:21 | 一般 | Trackback | Comments(2)
今朝はスカルラッティのソナタを聴きながら通勤。ウォークマンの設定はアルバム順ではなく曲目順にしてあり、ポゴレリチとミケランジェリの演奏が入れ代わり立ちかわ流れてきて面白い。

キーボードソナタ・ハ短調K11は、初めて聴いたのがミケランジェリによるもので、それもテレビ局のスタジオ演奏の録画DVDだった。幽霊がいまにも出てきそうな演奏だったから、今もこの曲を聴くと不安でおっかない気持ちになる。

「亡くなった、たましいの、細い琴線が、そらのうえで、わななく、あかんぼうの、泣きごえも、とおく」というような。

二短調K9、は哀愁と侘びという言葉がよく似合う。これから何をして生きていようと、それぞれ良いのだ、ということが腑に落ちるような趣きだ。
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by k_hankichi | 2012-03-29 06:40 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)

視線を見る視線

昨日、ある人の行状を眺めていた。というか凝視してしまっていたようだ。ある種の驚きがあったからだ。

そんな僕の視線について、僕が知らぬ間に気付いて見ていた人がいた。

その人から、××に気付いたか、と尋ねられ、曖昧な答えをしていたら、あとから、注視を知っていましたよ、と言われてしまった。

視線を見る視線がある。つねに自分の振る舞いには気を付けないとなあ、と自覚を新たにしたのだった。
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by k_hankichi | 2012-03-28 07:40 | 一般 | Trackback | Comments(2)
谷川さんの随筆集を読み続けている。

フォード財団からジャパンソサエティに出された金で欧米を旅行したさいの記憶をもとにした随筆は素晴らしい。

“だが今こうして地図を広げたり、絵葉書をとりだしたりして旅を追体験している私のほうが、現実に旅行していた私たちよりもずっとほんとうに旅をしていると感ずることがある。限られたものでしかない私のいろいろな国の社会や歴史についての知識、短い滞在での皮相な観察、それらに今も変わりないのだが、それでもなお私の内部にふと起こる一種の感動がある。知らぬ間に旅の前とは変わった自分の気づくことがある。”
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by k_hankichi | 2012-03-27 23:48 | | Trackback | Comments(0)
谷川俊太郎の随筆集『一時停止』(草思社文庫)が出ていて読み始めた。

読みすすめながら、うなる。

“青年は人間である必要はないのだ。彼は自分の夢を喰つて生きるくらいの非人間的な強さをもつていなければならぬ。(中略)…青年という獣は、その非人間性によつて、かえつてコスモスの中の人間の位置を正しくすると僕は思う。”(『青年という獣』より)

そういえば『二十億光年の孤独』を読んでいたころ、ぼくはこういう感じだったかもしれない。

今は自分は何なのだろうか。まさに一時停止してしばし考えなけりゃあいけない。この随筆集は大切に読まなければと思った。

文庫 一時停止 自選散文1955-2010 (草思社文庫)

谷川俊太郎 / 草思社

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by k_hankichi | 2012-03-26 07:33 | | Trackback | Comments(2)
友人が紹介していた『戦友の恋』(大島真寿美、角川文庫)を読了。表題作から始まる連作だ。

人が生きてきたなかでの大切な時間が、しみじみと語られてゆく、そしてそうすることで何が一番意味があったのかに気付いてゆく、そんな小説だった。

「戦友の恋」は戦争の友ではなく掛け替えのない友が重ねる恋。友同士はラム酒をともに煽る仲。レモンが似合う。

「夜中の焼き肉」は気兼ねなく差しで食う男と女。豪快に快活に。ここもレモンを垂らしたくなる。

「かわいい娘」は、風呂屋の美和ちゃんの話。丸善に積んである本のうえに檸檬をおくように、下駄箱の上にそれを置きたくなる。

「遥か」は、長らく音信が不通だった男とようやく連絡がつき、“ようやく繋がった、ようやく見つけたこの細い線を手放してはならないのではないか”(本文から)、という気持ちで彼を訪ね、田舎の美しい海を見渡す山に登る。僕にはそこに黄色く輝く檸檬の実が沢山なっているような気がした。

互いに大切な存在だったと気付くまでには時間がかかり、大変な回り道をしたとしても、いったんそれに気付いたらばそういうものを失ってはならないのだ、ということだなあと思った。

戦友の恋 (角川文庫)

大島 真寿美 / 角川書店(角川グループパブリッシング)

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by k_hankichi | 2012-03-25 17:37 | | Trackback | Comments(2)

ポトマック河畔の桜

家人のひとりが2週間ほどのホームステイを終えて帰ってきた。高校1年といえば僕は卓球部の春練習の合間に、秋葉原の石丸電気のレコード売り場をうろついていたぐらいだから、米国の見も知らぬ家に泊まりに出かけられる、度胸というか怖いもの知らずには感心する。そのご家庭の子とべったり行動は共にしていたそうだが、その子が出席する高校の授業にもすべて出ていたらしいので、それにもなお驚く。

なにも畏れぬことがいちばんなのかもしれないなあと思いながら、家人が見てきたというポトマック河畔のソメイヨシノの桜並木の写真を眺め、ひとあし早い花見気分に浸った。

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by k_hankichi | 2012-03-25 09:20 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)
ネット配信で『ブラブラバンバン』(2008年、ポニーキャニオン)という映画が放映されていた。中学時代の想い出がふとこみ上げて観てしまった。

出だしからラヴェルの『ボレロ』だ。それもホルンのソロのところからである。なんとも艶やかで美しい音楽。そして『ダフニスとクロエ』。音楽が感情を高揚させ、周囲を愛する気持ちがほとばしり昇華するようになる、という、そういう感覚はわかる。映画のなかではそれが誇張されて描かれてはいるものの、音楽がひとを狂わせるほどになるということは、痛いほど伝わってくる映画だった。

芹生百合子役を安良城 紅(あらしろ べに)という若い女優が演じていて、それがまことに美しく、ただ春の夜の夢のごとし。

後記:この女優はこの当時からすでに歌手として名を馳せていたそうで、のちにBENIと改名した。映画のなかでも、彼女は指揮をしながら「ダッタン人の踊り」(ボロディンの『イーゴリ公』の第2幕から)を歌うのだが、それは胸の奥からどくどくと流れてくるような力があった。

動画はこちらへ

ブラブラバンバン [DVD]

ポニーキャニオン

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by k_hankichi | 2012-03-24 23:53 | 映画 | Trackback | Comments(2)
ついさきごろ、珍しいジンを飲む機会があった。だいぶんと飲んだあとに訪れた店でカウンターに飾られていたものだ。

日本に輸入が始まったばかりのものだということで、ジン好きの僕は飛び付いた。ジントニックで試してみた。前者は植物学者が監督吟味し開発・商品化したもので、20種類以上の香草を使っているもの。意外にあっさりしたしかし上品な味わい。後者については、タンカレー系のような記憶だがもはや定かでない。

珍しかったこともあり、ネットで酒の詳細を調べていたら、僕と同じ日に、同じ二種類のジンを飲んだ人がいることがわかった。しかも同じような飲み方だ。

てっきり同じ店で呑まれたのかと思っていたが、勇気をだして問い合わせてみると、全く違う場所で飲んでいたことがわかった。

世の中には同じことをしている人が必ず居るのだということをつくづく実感した。まあ人類は朝起きてから、夜眠るまで、同じようにしていて、その合間に呑んでいるようなものだから不思議ではないのだなあ。

そうはいえどもやはり、なにかの思し召しのような気もする。こういうものは、予感、直感としてやはり大切なのではないかなあと思うのだった。
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by k_hankichi | 2012-03-23 23:10 | | Trackback | Comments(2)

音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です


by はんきち