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1月も終わり

もう1月も終わりである。疾風のように過ぎ去り、空っ風が依然舞う。

2012という年は、災害を経たあとの再生の年だというが、いろいろなことはなかなか思うようには進まない。

政治は、貝のような寡黙者と、はしゃいだ饒舌者とディレッタントの混沌で、税や年金の仕組み作りは牛歩である。

あらたなものを生み出すしか残る途はないから、企業人は頑張るのみだ。感動や文化まで生み出すことを夢見て邁進するのみ。道は険しくても焦らずしかし様々に試し進むのみだ。
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by k_hankichi | 2012-01-31 07:29 | 社会 | Trackback | Comments(2)

村治佳織の妙なるギター『パストラル』

ぼくは弦楽器が弾けない。だから高校生のころに友人が井上陽水だとかを弾き語る姿がうらやましくて仕方がなかった。

しかし、まあフォークは情にながれた熱く語る輩の音楽だからな、と負け惜しみのように諦めていた。

そんななか、庄村清志というギタリストの弾くロドリーゴに接し、それはアランフェス協奏曲ばかりだったがそれでもたいそう感心した。曲には飽きてもギターの音色は良いなあ、と思った。

その後はずっとクラシックギターの音色に接することはなかったが、近ごろふとまた聴くことになった。村治佳織の『パストラル』という音盤で、パリのエコール・ノルマルに留学する前に録音した(97年8月)、ロドリーゴの作品集だ。

庄村さんの血潮あふれるギターと違い、なんと軽やかなことだろう。しんみりした曲趣のばあいにも温かさと優しさがある。

一番好きなのは『ソナタ・ジョコーサ』という曲。留学のまえにこのレベルにあるという彼女の音楽は、なにかその先の果てしない拡がりを予感させる。音盤名の『パストラル』ももちろん珠玉だ。

パストラル

村治佳織 / ビクターエンタテインメント

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by k_hankichi | 2012-01-30 21:25 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)

久々のビル・エヴァンス

ビル・エヴァンスのCD『ポートレイト・イン・ジャズ』、『ニュー・ジャズ・コンセプションズ』、『エヴリバディ・ディグス・ピル・エヴァンス』が新譜廉価盤(3枚組1250円)で発売されていて、迷わず買った。

LPレコードの時代に大分買い集めていたがCDに買い替えておらず、だからこれらの音盤を聴くのはかれこれ30年ぶりだ。

ピアノとベース、そしてドラムスの音色は、あの年月が甦るようで、聴けば聴くほど気恥ずかしくなってくる。

しかし月日は経つのは早い。これから30年経てから又聴く、などと云うことを想像したら、そのころに生きているかはわからないと気付き、なおさらこの音楽をしっかりと聴いておかなければ、と思った。

■Bill Evans Sharp Notes
[CD 1] Portrait In Jazz
[CD 2] New Jazz Conceptions
[CD 3] Everybody Digs Bill Evans
音盤:Not Now Mu, B004IWP6KK

Sharp Notes

Bill Evans / Not Now Mu

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Sharp Notes
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by k_hankichi | 2012-01-29 19:04 | ポップス | Trackback | Comments(4)

カオリャン酒の透明さ

昨晩は歓送迎会があり、カオリャン酒を飲んだ。中国の、コーリャンから造る蒸留酒だ。あちらの言葉でバイチューともいう。アルコール度数は53度だ。

これは中国では小さめのグラスで一気にあおるのが普通だが、ビールグラスで飲んでしまった。

喉が焼けるように、ではなくて焼ける。熱い状態が暫く続く。新たな人がきて杯を交わす。喉を通過し焼ける感覚が戻る。また新たな人と交わす。焼ける感覚が鈍化していく。

胃のなかの奥の奥までこの酒で浄化されてゆく感じで、それと共にさまざまな人と杯と話を重ねていた。

朝起きたら、重いあたまの奥底から微かな記憶がすこしずつ蘇ってくる。ああ、あんなことを言っていたかもしれない、こんなことになっていたかもしれない。映画『ハングオーバー!』シリーズ(トッド・フィリップス監督)のような世界だ。

カオリャン。それは僕を幽界に連れていく。しかし次もまたそれがあれば頼むだろう。魔弾の射手のようなこの酒が好きだ。
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by k_hankichi | 2012-01-28 11:10 | | Trackback | Comments(2)

ハイボールを仕掛けた人たち

僕の学生時代はお酒といえばビールだった。そのあとにブランデーかオールドウイスキーをショットグラスやそれに近い小さめのグラスでストレートでのむようだった。大原麗子を思った。

会社に入ってもそれは同じでしかし先輩と一緒のときは日本酒の熱燗がそれに加わった。

90年代に入ると日本酒の冷や酒が流行ってきたが僕らには受け入れがたく、酒の飲み方は昔と同じ。

00年を迎えるころになると「空前の焼酎ブーム」というものが現れ、それは確かに珍しさもあって、ただの芋や麦をもとに蒸留した酒なのに一喜一憂した。

これらの合間に時折カクテルブームや酎ハイブームが挟まれたものの、飲み会でウイスキーというのはあまり見掛けなかった。

しかし、である。今や飲み会でウイスキーのハイボールをジョッキで最初から飲む時代になっている。そしてそんな各人の頭のなかには一人一人に小雪が居る。小雪と乾杯している自分の自分の姿にうっとりする。

そのバックにはゴスペラーズの「ウイスキーは、お好きでしょ」が流れていてだから宴席の男たちの心の声を拡声したらその輪唱になっている。

ハイボールは昔は邪道の飲み方だったから、これがここまで旨いと思わせる域に達したのはサントリーによる周到な企画力があったからで、それを知っていたとしても今宵はハイボールのそのジョッキやらグラスを傾け、現実と空想の合間を漂う余韻に浸るだろう。

ハイボールを仕掛けた人たちに、敬服するこの冬である。
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by k_hankichi | 2012-01-27 07:32 | | Trackback | Comments(2)

切れるような空気のなかで

昨日、今日と、切れるような寒い空気。夜はひんやりとした見えない空間の向こうにさらなる漆黒が拡がる。朝はそこで鋭さを増したものが僕らに挑んでくる。陽の光はただそれをカモフラージュしているだけだ。

テオ・アンゲロプロスがバイクにはねられて死んだ。寒さのなかに哀しさが倍加する。

あの長い長い映画のなかの一瞬のシーンのように舞台から去ってゆく。
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by k_hankichi | 2012-01-26 07:23 | 映画 | Trackback | Comments(2)

『めぐらし屋』(堀江敏幸)に心地よい気持ち巡らす

堀江敏幸さんの『めぐらし屋』(新潮文庫)を読了。

静かで、さわやかな気持ちになる小説だった。あることをきっかけに、過去の想い出、たいせつにしていた気持ちが蘇ってゆく。そういう過程にぼくたちは触れることができる。

そしてその結果、「ここにあるいま」、「時をかみしめる」、「時間のながれを感じる」ということの大切さを気付かせてくれる。単にそのときそのときが楽しければ良い、ということではなく、「記憶に深く留めるほどに味わう」というようなことだ。

解説のページに、堀江さんの次のような言葉が紹介されていた。

゛日常は、地震計のように跳ねる大きな振幅ではなく、遠くから見ると直線に見えるほどの小さな浮き沈みで成り立っている。それは退屈に見えるかもしれないが、僕には退屈ではない゛

まさにこのようなことを感じさせてくれる作品だった。

めぐらし屋 (新潮文庫)

堀江 敏幸 / 新潮社

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by k_hankichi | 2012-01-25 01:01 | | Trackback | Comments(2)

『運命の人』から滴る軌跡

TBSドラマ『運命の人』は、さまざまな想いが重なるドラマだ。あのころ(沖縄返還の前の)僕は、世の中の動きなどまったく知らぬものだったから、自分が生きてきた軌跡の不足を補っていくような感がある。

音楽も良い。ヴィヴァルディの『四季』のような音感でしるされてゆくBGMは、ドラマのちょっとクラシカルな雰囲気にちょうど良く合っている。

「あなたも、わたしも、なにも変えられて無いじゃないですか」

弓成亮太(演じる本木雅弘)の妻のことを強く意識しながら支えている女、三木昭子(真木よう子)の言葉は、しみじみとこころに響いてくる。彼女がふと見せる陰欝な表情に心動かされる。

その瞬間、ぼくは彼女と「私的時間の共有」ができている。そう思ってやまない。
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by k_hankichi | 2012-01-24 01:23 | テレビ番組 | Trackback | Comments(2)

昭和の航空写真

映画『ALWAYS 三丁目の夕日'64』のサイトをつらつら眺めていたら、Gooが昭和の東京の航空写真の表示機能を提供していることを知った。ココ→http://map.goo.ne.jp/history/showa_index.html

昭和22年と昭和38年である。これは凄く便利だ。昭和38年は東京五輪がある前の年で、首都高速が建設途上の様相がまざまざと分かる。日本では現在の西銀座コリドー街があるところが一番最初の高速道路だが、そこはだいぶん出来上がっている。

このほかにも江戸時代、明治時代の古地図も見ることができ、重ねる機能もあるから、門外漢のひとでも実に楽しめるようになっている。

僕はこれまで、『江戸~東京重ね地図』(エーピーピーカンパニー製)というソフトを使って街角探検を楽しんでいたのだが、このWebの航空写真機能と併せて眺めることで、さらに面白みが増してきた。 

昭和30年代。僕らは何を変えて何を変革したつもりになっていたのか。その軌跡を追うことがまだつづきそうだ。
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by k_hankichi | 2012-01-23 00:28 | 街角・風物 | Trackback | Comments(0)

『Tango: Zero Hour』(アストル・ピアソラ)…喧噪、静寂、回帰

“これは紛れもなく、私がこれまでの人生で作り得た最高のレコードである。我々はこのレコードに魂を捧げた。”…ライナー・ノーツにアストル・ピアソラの言葉がそうしるされている。

その『Tango: Zero Hour』を聴き始めた。凄い演奏の連続だ。音も良い。過去/未来から分節された現在という概念を音楽で表現しようとした彼の世界。そういうものがすこしづつ伝わってくる。

「Tanguedia III」…音楽が始まる前に混沌と喧噪のざわめき。はじめ何が起こっているのかわからなくなる。その不安をかき消すかのように音楽が始まるのだ。

「Concierto Para Quinteto」…これまでやってきたことは何なんだったのか、という問いかけをされているような、そういう心境におちいる。

「Contrabajissimo」…ベートーヴェンの第九交響曲の第4楽章へのオマージュなのか。音や自らの存在への問いかけから始めようとしているとしか考えられない。僕はこの曲をタンゴ版「歓喜の歌」と名付けたい。

「Mumuki」…なになのだ。これも、此れまで自分が生きてきたことはどういうことだったか、という感覚が底流から沁み出してくる。おそらく聴くたびに、さまざまなシーンが浮かび上がってくるのではないだろうか。

いま、という時の貴重さ。それはたいせつな過ぎ去り時のあとにあるということだけでなく、未来との境界になるということ。この曲集は聴いているだけで心が踊らされ、また静かに落ち着き、時に涙がじんわり湧いてくる。

■曲目
1.タンゲーディア3 (Tanguedia III)
2.天使のミロンガ (Milonga Del Angel)
3.キンテートのためのコンチェルト (Concierto Para Quinteto)
4.ミロンガ・ロカ (Milonga Loca)
5.ミケランジェロ ‘70 (Michelangelo '70)
6.コントラバヒシモ (Contrabajissimo)
7.ムムキ (Mumuki)
■演奏:ピアソラ五重奏団(アストル・ピアソラ、フェルナンド・スアレス・パス(Vn)、パブロ・シーグレル(Pf)、オラシオ・マルビチーノ(Gr)、エクトル・コンソーレ(Bs)
■録音:1986年5月、サウンド・アイディアズ・スタジオ、ニューヨーク
■音盤:American Clave、EWBAC 1013

Tango:Zero Hour

アストル・ピアソラ / american clavé

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by k_hankichi | 2012-01-22 19:54 | ポップス | Trackback | Comments(4)


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