音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です

by はんきち

<   2011年 11月 ( 31 )   > この月の画像一覧

飛行機における謎

飛行機に乗った際の音響設備(機内オーディオ)に閉口していることを友人が記していた。ぼくは飛行機に乗った際の自分の謎を記してみたい。

■飛行機のトイレに入ると扉を閉めながら用を足す前に必ず身体を一回転させてしまう。

■飲み物が配られると、次のひとに配る前に一気飲みしてしまい、もう一杯欲しくなるが言いだせない。

■ちょっと変わった飲み物メニューがあると試してみて必ず失敗する。

■フライトアテンダントの真正面の席に座ると、することがなくまじまじと見つめてしまう。

■オーディオや照明機器スイッチを一通り試してみて、口笛をふくような格好で、あ~そう、と小さく頷いてしまう。

■フライトアテンダントの頭の髪を束ねた中身は何なのか探ってみたくなる。

■隣に座った人に話かけてみたくなり、ときおり話してみるがなかなかうまく話しが続かない。

■コックピットの手前の壁にある音楽配信システムを操作してみたくなり何気なくツマミに触れてみたりする。
[PR]
by k_hankichi | 2011-11-30 07:34 | 一般 | Trackback | Comments(2)
バラードとボサノバのカップリングのポップスを朝から聴いている。30年ほど前にデビューし、いまでも第一線で活躍しているその歌手の歌声を聴いていると、そのひとがこれまで生きてきた軌跡と重なるかのようで、ひときわじんとくる。

このひとの声色は、なにか恥じらいが泡立つような印象がある。幾つ齢を重ねても、である。

気負わずでよいのよ、そのままでよいのよ、と語られているような気がする。

この音盤はリピートモードで聴くのがよい。とくにバラードを。

聴けば聴くほど、どんどん想いが胸の奥に染み入る。
[PR]
by k_hankichi | 2011-11-29 07:31 | ポップス | Trackback | Comments(4)
友人が薦めていたアルボムッレ・スマナサーラ僧による書『小さな「悟り」を積み重ねる』(集英社新書)を読んだ。これはたいへん重要なことを伝えようとしている。うまくいかないとすぐに人のせいや境遇(と持っている力)を言い訳にしてしまう自分のことが、だいぶん恥ずかしくなった。友人も文言を引用していたが、僕も以下に記して、記しながら噛みしめて肝に入れたいと思った。なむ~。

・人の生きることの悩み、不安、迷いのすべては、この世を錯覚して見るから起こるものです。
・「自我は幻覚である」と納得できれば、どんな逆境にも負けない強者になれるのです。
・「人生を紙コップだと思ってください」…いったん使われると、それで終わり。
・私たちにできることは、自分がやらなくてはいけないことを、精一杯、努力することです。失敗か、成功か、という先のことを気にして、人生にブレーキをかけてはならないのです。
・仏教でいう中道とは、両極端にあるAとBを超越した道なのです。単純に真ん中にある中間の道ではなく、超越の道なのです。(→注。プログレッシブ・シンキングということを唱えている。)
・人の悩みの多くは、他人と比べて自分の能力やモノやお金や名誉が「足りない」と思うことから起こるものです。
・迷ったときの選択はどちらに行ってもかまわない。…「生きる」という根本から見れば、どちらの人生も実はさほど差がないのです。
・「自分すら頼りにならない」と思っていれば、自分をがんじがらめにしている固定観念から解放されて柔軟な対応ができます。そうなると失敗も当然少なくなります。
・自分のものにしたい、欲しいという感情を私たちは愛と言い換えているにすぎません。
・仏教の修行は、自由のない人生そのものから脱却することを、解脱という最終のゴールとしてめざすものです。…解脱するまでの間にどれだけの小さな達成感を重ねられるかが、「人生の値打ち」を決めるのです。
・逆境という壁はその人本来の力をもってすれば解決できるものなのです。

小さな「悟り」を積み重ねる (集英社新書)

アルボムッレ・スマナサーラ / 集英社

スコア:


[PR]
by k_hankichi | 2011-11-28 21:00 | | Trackback | Comments(2)
沼田まほかるの『ユリゴコロ』(双葉社)を昨夕、東京との行き帰りで読了した。

主人公はユリゴコロが無いとされた女の子であり、彼女が育っていくなかで出会っていくさまざまな生き物に対して、むごい所作を繰り返していく。

怖いおぞましいことをしでかした人間を描いているのに、何故かその彼女に感情移入し、遣る瀬なさと共感を抱いていた。

何故なんだろう。

それは彼女の告白手記にあると思った。自分が何故外の世界との間に違和感を感じていたか、なにが苦手でどんな世界にいたいのかなどを、とつとつと表してゆく。

そしてぼくは彼女の心の、深い井戸の冷たい底をさらにさらに覗いてみたくなる。なにか酷いことがありそうな予感がするのにもかかわらず、である。

これは疎外感から脱却しようとし墜ちつくした人間の苦渋と愛情の手記だ。

ユリゴコロ

沼田 まほかる / 双葉社

スコア:


[PR]
by k_hankichi | 2011-11-27 10:08 | | Trackback | Comments(0)
今宵は、ずいぶんと昔に世話になった人の、年齢の節目の祝いの会だった。とるものとりあえず馳せ参じ、旧き知人同僚たちとも酒を酌み交わした。

二次会はスナックパブで、ぼくはなぜかいつものようにいつもの歌をリクエストして陶酔する。

“さよならは 別れの ことばぢゃなくて ふたたび あうまでの とおいやくそく♪”

確かにそうかもしれない。

しかしぼくもこんなに歳を経た。何時間でも、何日でも、何月でも、もう時間が惜しい、とても大切だというきもちでいっぱいだ。

世話になった気持ち、感謝の気持ち、そして楽しき時間の記憶にあふれているのに、帰路の僕のなかには、さみしい感情がおおきくなっていく。なぜかな。どうしてかな。
[PR]
by k_hankichi | 2011-11-26 00:31 | 一般 | Trackback | Comments(2)
メンデルスゾーンのピアノトリオ第一番は、カザルストリオやムター&リン・ハレル&プレヴィンによる演奏を聴いてきた。それぞれ、枯淡派と濃厚派の代表格だ。

そんななか、スティープン・イサリス(Vc)、ジョシュア・ベル(Vn)、デネス・ヴァヨン(Pf)による演奏を聴いた。BBC Music Magazine誌の12月号のCDだ。

出だしは柔らかい。遠くの森の奥の冬木立のあいだからだんだんと近づいてくるかんじ。しかしいつのまにか、ぐいぐいと心の真ん中に若々しい情熱が入り組んでくる。

フォーレのピアノトリオか?と思うほどの軽やかな響きと自在なテンポの揺動だ。そしていきなりの思わぬ荒々しさに何故か身体を任せたくなる。

第二楽章の優しさにはほろりと気持ちをほだされる。

最終楽章の、もう仕組まれたとしか思えぬほどの音の筋書きのなかに僕はのめり込み、逆巻く旋律のなかにもてあそばれながらも、魂は爽快なる輝きに包まれる。

溌剌な息吹に包まれた音楽。思わず藤谷治さんの小説『船に乗れ!』のシーンが目にうかんだ。
[PR]
by k_hankichi | 2011-11-25 07:58 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)
ずっと以前、雑誌『酒とつまみ』があまりに面白かったので、友人に持っていって紹介したら、「読んだことある」といわれて驚いたことがあった。

うぬぬしまった、おぬし知っておったか、あなどれぬなあ、とスゴスゴと引き下がった。

その友人は更にその後、銀座のハイボールが旨いバーで話し込んでいたら、バーテンダーの店長が黙ってその雑誌の最新号を差し出してくれ頂いて帰ってきたと言っていた。

なぜくれたのかは分からず謎だというが、僕は羨ましくてならなかった。

しかしその謎が解けた。嬉しくてその友人に自慢したい気分だ。

答えは『酒呑まれ』(大竹聡、ちくま文庫)のなかにある。大竹さんは、いわずもがな、その『酒とつまみ』の編集長だ。

このなかに「コリドー街、二時五十分」(第36章)という章があり、コリドー街の脇で午後3時に開店する店のことが書かれている。

更に読みすすめると、名作『ホッピーマラソン』の取材紀行の話がでてくる(220ページ)。そのマラソン取材に全部同行した人が、謎解きの答えに繋がる。

酒呑まれ (ちくま文庫)

大竹 聡 / 筑摩書房

スコア:


[PR]
by k_hankichi | 2011-11-24 00:10 | | Trackback | Comments(4)

嬉しい酒呑みの本

出張の帰りに、酒飲みのエッセイを読了した。ははんこれは同類だあと分かり嬉しくなる。

たとえば次のようだ。

“若い頃に飲んだトリスに限って言うと、いつもストレートだった。今も、ウイスキーはストレートで飲むのがもっともうまいと思う。

ただ、それだと一、二時間で完全に出来上がってしまうから、香りが立ち、飲み口もいいソーダ割りを好んで飲んでいるのだが、二軒、三軒とハシゴ酒をした挙句に、ストレートのウイスキーを飲みたくなることは、わりに多い。

たっぷりの水を横に置いてストレートのウイスキーを啜る。すでに酔っていて味覚も嗅覚もまったく当てにならないような状態にあっても、その最初のひと口のうまさは変わらないように思う。”

『酒呑まれ』(大竹聡、ちくま文庫)

酒呑まれ (ちくま文庫)

大竹 聡 / 筑摩書房

スコア:


[PR]
by k_hankichi | 2011-11-24 00:09 | | Trackback | Comments(0)
出張で乗った飛行機のなかで読みながら、不覚にも涙がこぼれ落ちた。ひそかに指で拭ったが、まつ毛に残ったものが美しい結晶になってそれがまた記憶の奥底に染み込んで行くような気がした。

『ささやかな永遠のはじまり』(盛田隆二、角川文庫)。女性誌の編集部に務める花織と、編集長の白石の間に芽生える信頼と敬愛の気持ちの行くすえは実に自然な純愛に変わっていく。職場の仲間には気付かれることもなく、ふたりの気持ちは、躊躇と大胆を繰り返しながら深まりゆく。

盛田さんの描く物語では、男と女がそれぞれに生きる規範と葛藤し悩みながら、かろうじて自らの道を選んでいくさまが実に純粋でそして自然だ。ふたりの心の軌跡はやがて重なりあって一つになっていくが、その振幅が同じになるさまが、ゆっくりと自分に伝わってきて、いつしか自分の音叉と共鳴してくる。

この小説は、社会と家庭と自分のあいだにある矛盾をどうにか克服し折り合いをつけながら自分の気持ちに真摯に生きようとする、そして崖っ縁でも誠実に自らを賭けていこうとする大人の小説だ。

ささやかな永遠のはじまり (角川文庫)

盛田 隆二 / 角川書店(角川グループパブリッシング)

スコア:


[PR]
by k_hankichi | 2011-11-23 06:45 | | Trackback | Comments(4)

初バスの爽やかさ

初バスで駅に向かっている。まだ日が昇らぬ空のすそは灰青色から橙色にかけてのグラディエーションがかかっていて美しい。

朝焼けのうた~、という感じで叫びたくなる。まだ見ぬ領域へ挑戦していく力が今一度わきあがるような、そんな予感がある。

あきらめず、落ち込まず、前に進まないといけない。毎日この爽やかな朝が待っているのだから。

いきとしいけるものの恩恵と宿命。
[PR]
by k_hankichi | 2011-11-22 06:05 | 一般 | Trackback | Comments(2)