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松任谷由実については、その声が苦手で、聞き込むということをしていなかった。友人が『ひこうき雲』が良いとしていて、そしたら聴いているくらいだった。

そんななか、『Destiny』を聴いた。なんだか良い歌詞。不思議なるテンポのメロディ。快活過ぎない。俊敏過ぎない。しかし自分の“さが”を知っているサラブレッドが、世間を気にせずゆったりと周りを見回しながら走ってる、という感じか。

この曲は、妙に頭から離れない。すごい作曲家なのだということを、ようやく気付いた。遅かりし由良之助。
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by k_hankichi | 2011-01-31 07:40 | ポップス | Trackback | Comments(8)
昨晩の友との酒は美味かった。人の生業の話を聞いていると、そのそれぞれが物語であり、見たことも聞いたこともないような世界であり、僕はただただ感心する。そうかといえば、いずれ昔の仲間達で旅行をしようとかいう話にもなり、それがいつ実現するのかは分からないものの、そういう旅があるとすればやはり吉田健一の本を携えなければならないなと一人ふと思ったりする。いろいろな話をしながらの酒は、河岸をかえての梯子酒になる。

そんなだから今日の昼間はまだ梯子の名残が身体中に残っており思考はのろのろゆらゆらとしており、でも晩までには回復せねばと思いながら、とろんとした気持ちに流されている。

いま聴いているのは、この気持ちにぴったり合うようなシベリウスの歌曲集。スウェーデン語の歌詞はどこか哀しげで氷と雪のなかに沁み入るようで、でもどこまでもどこまでも透き通っている。

■シベリウス:
 7つの歌 Op13 
 6つの歌 Op50 
 6つの歌 Op90 
 森の精(1889) 
 ユダヤ人の少女の歌 
 相似 
 ひとつの歌 
 セレナード 
 思い
歌、伴奏:アンネ・ソフィ・フォン・オッター(Ms) ベングト・フォシュベリ(Pf)
録音:1994.4.5/6, 1995.3.30/31、Musikaliska Akademien、ストックホルム
音盤:スウェーデン BIS 300757

シベリウス:歌曲集(3)

オッター(アンネ=ゾフィー・フォン) / キング・インターナショナル

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by k_hankichi | 2011-01-30 14:05 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)
ようやっと朝吹の『きことわ』(新潮社)を読んだ。おさないときの記憶というものが、断片的に浮かび上がり、途切れ、またちがう断片が顔をだす。

25年振りの再会は、まるで昨日からの続きのように、貴子(きこ)と永遠子(とわこ)の会話が始まり、ふと、永遠ということがどういうことなのかが頭をかすめる。

記憶は、自分のなかにしまわれるとともに、自分の解釈が加えられ、思い出していくたびに浄化されていく。夢もおなじなのだろうか?

薄くて上品な味付けの和菓子のような、しかしラザニアのように重なり絡み合う。ひとが大切にしていることを、呼び起こされる記憶を通して、重ね重ねて伝えてくる不思議なる小説だ。

きことわ

朝吹 真理子 / 新潮社

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by k_hankichi | 2011-01-29 16:50 | | Trackback | Comments(0)

寒さを和らげるコツ

今年一番寒い朝のように感じる。素手を服の外に出していられない。暖まるものが必要だ。

暖かいものを想像する。ぜんざい、湯豆腐、鱈ちり鍋、グラタン、生姜湯、トムヤムクン、ボルシチ、のっぺい汁、ボストンクラムチャウダー…。うーん、なかなか身体が暖まらぬ。

日だまりのなかのうたた寝、キャンプファイア、サウナ、温泉での長湯、十キロマラソン、寒稽古…。変わらぬ感じだ。

人との出会いでのインスピレーション、ストーブ前にし酒を飲みながらの語り、「ぼるが」「どん底」での酒、知人との街の彷徨(酒場求めて)…。人との語らいに思いを馳せるほうが、身体が暖まることに気付く。
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by k_hankichi | 2011-01-28 07:54 | 一般 | Trackback | Comments(0)
今朝は所用があって少し早い時間帯の出勤途上。到着するバスには、先客は誰も乗っておらず、幽霊車両のよう。

駅までの間に乗ってくる人たちは、見慣れぬ面々だ。異境(韓国だとか新潟だとか)の人々。知人宅に泊まりそのまま出勤、という感じの人もいる(違うかもしれぬがそう断定した)。バスの後列には網走からこの間帰ってきたヤクザとおぼしき男(これもそう僕が名付けた)。

観たことがない風物、別世界に入り込む不思議なる時間旅行。
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by k_hankichi | 2011-01-27 06:50 | 街角・風物 | Trackback | Comments(0)

理解のために尽くすこと

昨日、仕事のなかのある会議で、「組織の目指す姿」(こう書くとなんだか恥ずかしい言葉だけど)のようなことをメンバーたちが議論した結果を説明していた。

そのなかで、何ヵ月か話し合いながら、ようやっと相互の状況やら、互いが言っていることが理解できてきた、としていた。組織長が示している「目指す姿」の意味についても然り。

互いに気持ちを理解する、ありたい姿を近付ける、ということは、本当に難しい。それを改めて目の当たりにした。

世の中、なかなか考えや気持ちが伝わらないことがある。仕方なく委員長を辞任してしまう人もいる。語り尽くせぬまま。

もっともっと、言葉を、考えを交感する力をつけないと、と思った。涯しない努力とは知りながら。
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by k_hankichi | 2011-01-26 07:52 | 一般 | Trackback | Comments(2)

霜の風景、流れる時間

今朝は湿度が有りながら寒いのだろう、道路、畑、家々の屋根、車のボンネットや窓ガラスなど、白く霜が下りている。遠目でみるときらきらと光る。いつもの街並みが、なんだか北国の風景のように錯覚する。

あと小一時間も経つ前に、陽の光を浴びて消えてしまうだろう、このつかの間の不思議なる景色は、何ともいえぬ。なぜか時間の流れというものを殊更に感じる。

短くとも儚い、しかし美しいもののなかには、時間が逆にゆっくりと流れているのだろうか。
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by k_hankichi | 2011-01-25 07:43 | 街角・風物 | Trackback | Comments(0)

違う感覚の朝

今朝は雪国の気配がした。丹沢の山々の頂きがうっすらと白くなっており、地面もしっとりと濡れている。

歩いていく道々は、だんだんと乾いていくようで、そんな変化が勿体ない感じがする。

雪国の、冬の中日の和らぎといった感じだ。

こんな日があったことは、やがて春が来ると忘れてしまうだろうが、しかし、この、冬の湿り気は、ヨーロッパの、それもフランスあたりのもののような気がする。

偶然の仕業か、今はセザール・フランクのオルガン曲を通勤途上に聴いている。

この空気にぴったりしている。不思議なる音の響きと残響、そして余韻が重なり、そして朝が過ぎ行く。

■セザール・フランク
・英雄的小品 in B minor
・パストラレ in E major Op. 19
・ファンタジー in A major
・コラール第1~3番
・ファイナル in B♭ major Op. 21
・ファンタジー in C major Op. 16
・前奏曲、フーガと変奏 in B minor Op. 18
・カンタビル in B major
・プリエル in C# minor Op. 20
・交響的大曲 in F# minor Op.17
演奏::ジャン・ギユー(オルガン)
録音:1989/6~7月、St. Eustache, パリ
音盤:ブリリアント 92282

フランク:オルガン曲全集(2枚組)

Franck / Brilliant Classics

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by k_hankichi | 2011-01-24 08:12 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)
NHKの特番『宇多田ヒカル~今のわたし~』の再放送(2011.1.22深夜)を録画してあり、今朝、それを観た。これは素晴らしい番組だった。途中はさまれるクリス・ペブラーとの対談も、彼女の素朴な気持ちが聞けて良かった。

宇多田の音楽『Automatic』に初めて触れたときの驚きは、だれもが忘れないだろう(「低い天井の部屋で踊ってる衝撃的なPV」としても有名だった)。低音から高音まで幅広く豊かな、でも、不思議にかすれながら、微妙に揺れ動く音調。普通であれば不安に感じるかもしれない音の揺れ動きが、却って快感になる不可思議さ。この声色の沁み入る美しさは、母親譲りとも言われたが、時がたつにつれ、彼女の音楽は彼女ならではの詞と曲想を加えていき、さらに輝きを増していった。

番組の中では、かつてのMusic Videoも挟み込まれながら、スタジオでの歌と横浜アリーナで行われた最後のライヴが繰り広げられた。

『Show Me Love (Not A Dream)』(スタジオ)
マイクをしっかり握ったまま、直立で歌う彼女とその詞と、バックのロックミュージシャンの対照が不思議な感覚をもたらす。

『First Love』(横浜アリーナ)
この曲は3枚目のシングルだったが、
  "You are always gonna be my love...
   いつか誰かとまた恋に落ちても...
   I'll remember to love...
   You taught me how..."
これを耳にしまた口ずさむたびに、たしかに甘くて切なく、苦い気持ちが沸いてくる。

『Prisoner Of Love』(横浜アリーナ)
僕にとっては、南太平洋の、土着民族の祈りの曲(ちょっとおっかない)に聴こえるのだが、ぎりぎりと搾り出される声を忘れることはできない。

『虹色バス』(横浜アリーナ)
この曲は知らなかったけれども、宇多田の曲想がそこかしこに見え隠れしていて楽しく面白いメロディだ。

『Goodby Happiness』(ミュージックビデオ)
これはYoutubeに公式アップされている。ココ→
http://www.youtube.com/watch?v=cfpX8lkaSdk
一連の音楽活動としての最後の曲だというが、素晴らしい。ミュージックビデオは、彼女のこれまでを振り返るシーンがいくつか織り込まれていて、その切り口でも面白い。

この番組でもって、音楽活動からいったん離れるということになったという彼女。僕らは彼女の純粋で真摯な“こころ”をずっと憶えているだろう。



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by k_hankichi | 2011-01-23 12:02 | ポップス | Trackback | Comments(2)
第144回芥川賞(平成22年度下半期)は、朝吹真理子の『きことわ』と西村賢太の『苦役列車』だったが、西村さんの作品は読んだことがなかった。受賞式でのインタビューは興味深く、いったいどんな小説を書く人なのか、と昨晩『けがれなき酒のへど』と『暗渠の宿』(新潮文庫)を読んだ。後者は2007年の野間文芸新人賞を受賞したとある。

両方とも、自分の日々の暮らしのとそこから噴き出す感情が、生々しく、時にどす黒く吐露されている。この心の量塊は半端ものではない。奔放で直裁なる感覚。そしてそれを表現できる筆致。ただものではない。車谷長吉やアゴタ・クリストフに遭ったときの驚きに近い。

この人の日々の生活のすさまじさ。破天荒ともいえるだろう。飽くことのない欲望というもの、それに突き動かされていくことに抗えない彼の生きざま。この小説は、たしかに人が生きることのまことの姿、太くなまなましく生きることを教えてくれる。そして僕が日々のうのうとして送っていることに対して、そんなことではいけないのだという警鐘を鳴らしている。

暗渠の宿 (新潮文庫)

西村 賢太 / 新潮社

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by k_hankichi | 2011-01-23 10:28 | | Trackback | Comments(0)

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by はんきち