<   2010年 01月 ( 38 )   > この月の画像一覧

心を癒す音楽

この週末は、或ることで心ここにあらず、しょんぼりとし焦燥し、如何ともしがたい時だった。誰にもそういう心折れたときはあるだろうが、皆はどのようにされるのだろうか?

僕はこの隙間を、音で埋めようとした。でも、なかなか癒しの歌、振り返りつつも前に進む歌というのが手元にあるわけではない。しかたはなしに、いろいろと聴き続けた。

■シャルル・アズナブール 「帰り来ぬ青春」
「・・・僕はたくさん計画を立てたけど いい加減なものだった たくさん希望を抱いたけど 過ぎ去ってしまった そして 行くあてもなく途方に暮れる 僕のまなざしは空を追い求めても 心は地に埋もれている」

■Mr. Children 「HANABI」
「決して捕まえることの出来ない 花火のような光としたって もう一回もう一回 もう一回もう一回」
このフレーズで盛り上がるこのあとのサビの部分は、2ndフレーズ、3rdフレーズと繰り返されるとともに、さらに素晴らしく純粋なものに昇華されていく。

Superfly 「Oh My Precious Day」
パンチある例の曲群ではなく、Superflyさんとしては異なる趣向のもの。でもとても心に染み入った。快活な人とともにあるグループサウンズ的な70年代的に素晴らしい響き。心が洗われ透き通る。

■メンデルスゾーン 「ピアノ三重奏曲第1番」
例のムターさんの演奏なのだが、実はこれがもっとも癒された。そんななかにも発見(驚き)もあった。データを見ていたら、ピアノを弾いているアンドレ・プレビンさんとは2006年8月に離婚されているということ。この録音は2008年だから、そのような経緯があろうとも共演してCDやDVDまで出しているのだ。 なおさらムターさんには恐れ入った。凄い芸術家魂だ。




ベスト・ソングス&ライヴ

シャルル・アズナブール / EMIミュージック・ジャパン

スコア:


[PR]
by k_hankichi | 2010-01-31 22:50 | ポップス | Trackback | Comments(0)

書ききる能力

ブログとはなんだろう、という自問を何回かしてきた。でも、ときどきそういう自問をしてきたことも忘れてしまい、ブログ自身がなよなよとした記載になることもある。そういうとき、友人は間髪いれず「こうである」という答えを突きつけてくる。然らずんばxxを、というものである。

自分が感受したものを言葉として昇華させ、それを伝え、気付いていなかった素晴らしいことがらに呼応させたり、人の感情や心に共鳴をもたらすこと、決して自己満足であってはならない、ということ、だいぶん分かってきた。

そしてまた良識とともにきちんと書きつくす、書き分ける能力、書ききる能力をつけるべく進めていくこと。表現の技術の修行をすること。それをもう一度肝に命じてすすめよう。

おもしろいか、おもしろくないか。
ためになるか、ためにならないか。
いみがあるのか、いみがないのか。
啓発できるか、ただの無駄口か。
建設か、愚痴か。

その境目は、誰からも明らかなのだろう。
[PR]
by k_hankichi | 2010-01-30 22:19 | 一般 | Trackback | Comments(4)

「横道世之介」

吉田修一さん著、毎日新聞社行。今週、会社の往き帰りで読んできたが、世間の評判とは裏腹に、すこし物足りなかった。

描かれているエピソードは、新聞小説だからなのか抑えられた表現になっていて、まあ、このていどのことは普通にやってきたよなあ、と思うのである。なまの実情の姿はもっともっと深く、抉り出せる余裕があるように感じた。

でも良かったところはある。小説の構成だ。登場人物がいくつかの章にわかれて描かれていくが、時間や時代をじょうずに前後させながら、世之介やその恋人、友人らの行動、心情が描かれている。横道世之介は、どんなにか時間を経ても、素敵で素晴らしかった人、として、皆から回想されたり、思い出が軌跡のようにぐるぐると描かれたりする。最終的には、彼の人柄の純朴さということが余韻にのこる。ああ、彼は本当に素晴らしいやつだった、と。こういうふうに描く手腕はすごい。

毎日新聞で2008年4月初から2009年3月末まで連載されていたそうで、吉田さんは書いているうちに興が乗ってきたなか、時間切れで紙面を割けなかったのだろうかな(それがちょっと物足りないところにもつながっていると思う)。

※新聞社のWeb「世之介広場(よのすけひろば)」には、著者へのインタビュー記事があり参考になる。
[PR]
by k_hankichi | 2010-01-30 21:35 | | Trackback | Comments(0)
先週土曜日に訪れた神保町の酒場で、BGMにかかっていたペルゴレージの「スターバト・マーテル」に非常に感銘し、クラウディオ・アバド/ロンドン交響楽団員のCDを買い求めていたが、なんだか声楽も演奏も違うなあと思っていた (1983年11月のロンドンのキングスウエイ・ホール[クレンペラー/フィルハーモニアが良く使った]での録音、1985年のレコード・アカデミー賞声楽部門を受賞) 。

友人の示唆で、最新の録音があることを知り、昨日会社帰りに買い求めた。クラウディオ・アバド/モーツアルト管弦楽団。あのBGMはこの演奏だった。こちらのほうが遥かに遥かに素晴らしい。柔らかで優しくそして空に響き溶け入るような、神さまに語りかけるような感じだ。オケもとてもきびきびしており明るくそして透明だ。古楽器も使用していて趣きがいいなあ。ソプラノ(ラヘル・ハルニッシュさん)も透き通るようで、そして滑らかで優しい声だ。アルトのサラ・ミンガルドさんもチョコレートのような濃厚な声だ。そしてホールの響きも録音も良い。2007年11月のボローニャでのライヴ演奏だそうである。DGのE-Playerというサイトでこの演奏に繋がる。http://www2.deutschegrammophon.com/eplayer/eplayer.htms?ID=abbado-pergolesi

これは音楽として1983年の演奏とはまったく異質のものだ。崇高さという域に達している。2009年のレコード・アカデミー賞声楽部門を受賞したそう(そりゃそうだ、と僕もうなづく)。アバドさん、おなじ曲で2度も受賞するとは、そして、演奏・指揮の進歩・変革がこれほどまでに顕著にあるとは。

クラシック音楽からぼくは久しく離れていたので、恥ずかしながらモーツアルト管弦楽団http://www.orchestramozart.com/ という楽団を知らなかった。確認したところ、イタリアのボローニャのフィルハーモニック・アカデミー(なんと1666年創設)の後押しで2004年の11月にデビューしたものだそう。メンバーは18歳から26歳という若い世代に限り、欧州各国(Italy, Spain, France, Germany, Austria, Holland, Norway, Finland, Hungary and Russia)から集まっているとのこと。クラウディオ・アバドが音楽芸術監督を務める。チャレンジングな仕組みをどんどん作る創造の人、仕掛け人でもあるのだなあ、と思った。

ペルゴレージ:スターバト・マーテル

アバド(クラウディオ) / ユニバーサル ミュージック クラシック

スコア:


[PR]
by k_hankichi | 2010-01-29 00:35 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)

日常の行き来のなかで

先々週、先週は、名古屋に日帰り出張だったが、今週は、神奈川の会社での会議と、東京での会議の往復の繰り返し。明日も夕方まで東京である。

移動中は新幹線やロマンスカーでもない限り仕事にならず、効率は悪い。家に仕事を持ち帰ることにもなる。だが、それを押しても僕にとっては、ありがたいことがある。音楽に集中できる至福の時があること。

いまは久しぶりにポリーニによるバッハの平均律。この演奏を聴いていると透明無垢になる。オディロン・ルドン「花」が瞼の裏に浮かぶ。

DGのE-Playerのサイトでこの演奏に繋がる。http://www2.deutschegrammophon.com/eplayer/eplayer.htms?ID=pollini-bach
[PR]
by k_hankichi | 2010-01-28 18:29 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)
メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」をクレンペラー/フィルハーモニー管弦楽団で聴きはじめた。ソプラノ:へザー・ハーパー、メゾソプラノ:ジャネット・ベイカー。これまた奇天烈な夜の夢。

・序曲。おどろおどろしく、何が起こるのか不安になる。ゆっくりしたテムポだが、クレンペラーの両手のあいだで、自分がもてあそばれる感じ。一歩一歩、劇中に引き込まれる。
・スケルツォ。ああ、またなんて遅いのだ。だが次々と化け物が出てくる。顔を撫でる。
・妖精のマーチ。この妖精らは、悪だくみしているの?
・舌先裂けたまだら蛇。優しい蛇?なんでも願いを叶えてくれる蛇?おやすみ。
・間奏曲。大波小波、えっちらおっちら。小人が丸太を運んでる。
・ノクチュルヌ。ホルンの何と悠々自適としていることか。夜の天空を旋回する。下界を見下ろす。弦楽は広野の草原を撫でる。
・結婚行進曲。ああ~、なんてぜいたくな。
・葬送行進曲。ティムパニがおどろおどろしい。
・道化師の踊り。ごてすかごてすか、わては、道化やて。
・フィナーレ。爽やかなる歌声とともに、いくつものシーンが心に沈降していく。静かに、静かにおわりゆく。

あんまり何回も聴いてると、精神に影響がでそうな演奏だ。

クレンペラーのこの演奏がYou Tubeにあったのでご参照。「舌先裂けたまだら蛇」。


メンデルスゾーン:劇音楽「真夏の夜の夢」全曲

フィルハーモニア管弦楽団 / EMIミュージック・ジャパン

スコア:


[PR]
by k_hankichi | 2010-01-28 08:25 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)
シューマン生誕200年、200年…、とCDショップで棚をあちこち物色していたら、生誕200年メンデルスゾーンと記された盤を見つけた。昨年がそうだったらしい。

ん?…メンチャイのメン?…と戻そうとしたが、例の人魚姫のムターさんだった(青い人魚)。コンチェルトとピアノ三重奏曲第一番、そしてピアノソナタ。同じカップリングのDVDまで付いている。いと嬉し。思わずふらふらと買ってしまった。

コンチェルトは艶やかだった。フレーズの繰り返しの場では絶妙に弾き分ける。演歌的、お涙頂戴的にはならず、作曲家の本髄に迫ろうと挑んでいる感じ。ライプツィヒゲバントハウスのオケも粗削りで質実剛健。東の息吹きがまだ残る感じ。聴けば聴くほど、凄みを感じてくる。熱いムターさんの息吹がすごい。

さてピアノ三重奏曲。カザルスで聴き込んで以来だが、「船に乗れ!」のシーンを想いながら聴き始める。ピアノはアンドレ・プレビンさん、チェロはリン・ハレルさん。ムターさん以外はお年を召されていてちょっと大丈夫か?と出だし思ったが、いえいえなんのその、ガンガン弾くこむ三人だ。優しさ柔らかさというよりは、たがいに挑みあう。メンデルスゾーン君、そうだったのかい?と、何か分かりかけた感じ。

最後はバイオリンソナタ。初めて聴く曲だが、粘着気質だけではなく、素朴な叙情がある。

書き忘れそうになった。DVDについて。素晴らしい、の一言。身を乗り出しながらうっとりと観入っていた。家人の怪訝な眼差しが矢継ぎ早に飛んできたのは言うまでもない。



メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲(DVD付)

ムター(アンネ=ゾフィー) / ユニバーサル ミュージック クラシック

スコア:


[PR]
by k_hankichi | 2010-01-27 08:27 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)

限りある、ということ

今朝、寝起きがた、考えていた。何日あるのだろう?、と。あと30年生きるとして、大雑把にいえば10000日くらいだ。数えられる。

毎日、本は読み終えないから、これから読める本にも限りがある。音楽も同様だ。あと1000曲、1000演奏くらいかもしれない。

先日、友人と飲んだときに、彼がポツリと漏らしていた。「寸暇を惜しんで本を読んでいる、深夜、明け方も使って。」

人生は無限、とはいえず、本当に有限なのだ。

会社生活をする日数も数えてみた。愕然とした。もっともっと少ない日数なのだ。さらに、会社に行く日、ということに限定して数えれば、平日だけだから少ない。驚くほどの数字だ。人との出逢える数も、数字としては更に少ない数字になる。深い対話ができる人の数など、希少である。

大事にすべきことが何なのか、わかった。
[PR]
by k_hankichi | 2010-01-26 07:56 | 一般 | Trackback | Comments(2)

いろいろなことが走馬灯

今朝は清々しく目覚めた。しばらくベッドの上で、つらつらしていた。いろいろなことが次々と走馬灯のように浮かんできた。

ウィリアム・トレヴァーさんの小説、今聴いているペルゴレージのスターバト・マーテル、きちんと判断しながら生きること、甲斐のない反省をしない行動選択、昔のこと、本のこと、今日のプレゼン資料のこと、先週の良き酒場のこと、共に飲みに行きたい友のこと、体を鍛えること、食べ過ぎないようにすること。

乱雑な脳内だけど、気持ちは清々しい朝だ。

以下は、CDとは異なるが、クラディオ・アバドがスカラ座合奏団を振った演奏。ソプラノ:カーティア・リッチャレッリ、コントラルト:ルチア・ヴァレンティーニ・テッラーニ。1979年。


ペルゴレージ : スターバト・マーテル

アバド(クラウディオ) / ポリドール

スコア:


[PR]
by k_hankichi | 2010-01-25 08:23 | 一般 | Trackback | Comments(0)

「密会」

友人にウィリアム・トレヴァーさんの「密会」を薦められた。新潮クレスト・ブックス刊。12の短篇集で、その最後の1篇が表題の作品だ。

あるバランスのうえに成り立っているふたりの関係。それぞれが抱えている制約を乗り超えて繋がっている。でも、そうであっても、くりかえし続く毎日は、密やかに、濃密な豊かな時に浄化されていく。朝も、昼も、そして夕べにも。豊かな心の連帯感。

ずっとそれが続くように感じられていた二人だった。それなのに、その制約条件の一方が取り払われたとき、バランスも微妙に崩れていく。ケーキの土台が崩れてしまうかごとくに。

ほんとうは、その制約自体が二人を繋げるひとつ固化剤だった。ふたりとも、そのことを心の底のどこかで、勘付いていた。でも、それを表せないし、おそらく言葉にしようともしなかった。

その境界をいじってしまったときに初めて、それがもたらすことを始めから分かっていたことに改めて気づく。

すこし苦い感覚の余韻が残る。せつない。でもとても良い。

密会 (新潮クレスト・ブックス)

ウィリアム トレヴァー / 新潮社

スコア:


[PR]
by k_hankichi | 2010-01-24 19:37 | | Trackback | Comments(0)

音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です


by はんきち