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2009年 マイベスト

今年心に強く残った音楽、酒、本、映像のそれぞれベスト3をここに残します(友人に倣い)。

■音楽
1. ラン・ランさんの演奏(コンサート)
音楽に取り憑かれた人間の演奏、というのを初めて観、聴きました。ピアノは指先だけでなく全身で弾き伝えるのだ、ということをも、身をもって知りました。

2. アンネ・ゾフィー・ムターさんの演奏(CD、DVD)
バッハのバイオリン協奏曲集、モーツアルトのバイオリンソナタ集(以上CD)、モーツアルトのバイオリン協奏曲集(DVD)。ひとつ選ぶとすれば、バッハですが、すべてを通して厚く艶があり、切れがよいです。モーツアルトのバイオリン協奏曲は指揮もしており、目くばせと身体の動きは、えもいえません。

3. オットー・クレンペラーさんの指揮(CD)
友人から紹介・啓発され、一連の指揮(ベートーベン、シューマン、ベルリオーズ、ドボルジャークの交響曲)を聴きました。音楽がここまで純粋に分析され、ひとつひとつの音や旋律、パートが耳に入ってくる指揮をこれまで知らずにいた自分を恥じました。これからは「フィデリオ」を聴き始めますが、どんなものなのでしょうか。

■酒
1. シャンパーニュ「バロン・ド・ロスチャイルド、ブリュット」(Barons de Rothschild, Brut, NV)
コート・デ・ブラン地区、NM。CH 50%, PN+PM 50%。

2. 芋焼酎「赤兎馬」(せきとば)
鹿児島・濱田酒造。白麹、黄金千貫。

3. シャンパーニュ「シャルル・エイドシック、ブリュット・レゼルヴ、NV」(Charles Heidsieck, Brut Reserve, NV)
Reims地区、NM。CH 30%, PN 35%, PM 35%。

酒の味は好みも大きくあると思うので説明は省きます。僕としては、もし機会があれば、之を飲んでみてください、ということだけです。すごいです。

■本
1. 吉田秀和さんの「之を楽しむ者に如かず」
クラシック音楽から久しく遠ざかっていた僕。どの小篇からも、音楽、そして、吉田さんの造詣と感性、そしてやさしい気持ち、生き方と哲学がこぼれおちて、砂地が水を吸うように、自分の身体に入っていくように感じました。この20余年の空白が埋まっていく気もしました。

2. 川上弘美さんの小説群
「風花」、「センセイの鞄」、など、しんみりと、しっとりとした語り口の世界に惚れました。

3. 水村美苗さんの「日本語が亡びるとき」
日本語で物事を考え、表現し、それを後世に受け継いでいくことの大切さを、あらためて思い知ります。ぼくらの感性をきちんと表現できることばはこれしかないのです。

■映像
1. 「不毛地帯」(テレビドラマ)
フジテレビ放映中(10月~2010.3月)。なんといっても、昭和30年代の激動の歴史と男の生きざまと、唐沢さんのかっこよさに、われを忘れて没入しています。数年に一度のすばらしいドラマだと思うのです。このレベルは、遠く15年ほどさかのぼったTBSの「青い鳥」と、30年ほどさかのぼったところのTBSの「冬の花火」。

2. マルタ・アルゲリッチさんの「音楽夜話」(DVD)
DVDですが、アルゲリッチという演奏家の真髄がこの1つのドキュメンタリーで語りつくされているといって、過言ではありません。音楽家としてだけでなく、人間として魅力的で、ほんとうに心に染みます。

3. 「きみがぼくを見つけた日」(映画)
原題:The Time Traveler’s Wife。レイチェル・マクアダムス、エリック・バナ主演、ロベルト・シュヴェンケ監督。今年公開されたものは少々しか(劇場や飛行機のなかで)見ていませんが(※)、ことし一番記憶に残ったのはこの映画になります。

※「天使と悪魔」、「レッドクリフPartⅡ」、「グラン・トリノ」、「路上のソリスト」、「愛を読むひと」、「それでも恋するバルセロナ」、「007慰めの報酬」、「私の中のあなた」、「レボリューショナリーロード」。

だいぶんに私的なサマリーではありますが、これが僕の世界のひとつです。

昨日、今日と、なにも手に付かぬほどあたふたと、とても心落ち着かぬ日々を過ごしており、言葉足りないですが、ご容赦ください。

来年もよろしくお願いします。
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by k_hankichi | 2009-12-31 18:31 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)

そして今年も暮れゆく

2009年という年が、暮れゆく。

かねてから無いくらい、波乱万丈の年だった。会社での仕事も、そして私としての生活も。

そして、昨日夕方来のことから、思うこと。

世の中の皆、ひとは、それぞれ、個の生き方をしている。それは、その人個人にとっては、そのひとだけの事象のように思えるのかもしれない。でも、われわれは、一人ではなく、繋がっているのだ。別個に動いているかのように見えて、でも、連なっている。平行して、みな、個々の好みで考え、動き、変化しているように見えて、でも、確実に、連なっている。

ぼくたちは、この広い世界の中に、たった一人で生きているのではなく、仲間として生きているのだ。この瞬間、この空間、この地球という上において、同時に「生」を授けられ、共に呼吸し、心臓が動き、脳が動き、そして、いろいろな発見をし、創造をし、アンガージュマンをしているのだ。

だから、いつも、アカルイミライを想像しよう。

「アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。」と実朝に語らせたのは太宰だったが、僕は、明るさは未来への象徴だとしたい。

来年は、自分も周りも、公私ともども、もっともっと明るい、愉しい、素晴らしい、世界になるよう、対話・会話、協調と自己投企をし、新たなものに触れ、いろいろな感性をもさらに磨き、新しいものを創造し、友の輪をも広げていきたい。

世界は広い。とても広い。飽くことなく探求していきたい。
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by k_hankichi | 2009-12-31 12:41 | 一般 | Trackback | Comments(0)

影響、そして繋がっていることの貴重さ

人と人との間で影響を与えあう、ということの重さを、いま感じている。

今日、夕方、あることがあって、急に心に深くきりきりと入り込んで来ている。

ぼくらは、世の中で決して一人ではない。

人の輪をつくるひとも、また、たとえ利己的なひとであろうとも。

相手を思いやり、いつくしみ、優しく包み込め、良いところを褒め、周りのことをいたわれる人は、なおさらさら、たくさんの人によって、想われている、慕われている。

ぼくらは、どんなひとであろうとも、一人ではない。

だから、そのことを深く思って生きなければならない。

どんなひとも、周りに影響を与えている。善き影響を与えているひとは、さらにさらに周りの人に、人々にとって、とても大切である。

繋がっていることは、本当に貴重なのだ。
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by k_hankichi | 2009-12-30 20:53 | 一般 | Trackback | Comments(0)

「三文紳士」

吉田健一さんのエッセイを読みました。酒と脱線も含んだ回想がちりばめられていて、とてもじっくりと読んでしまいました。健啖な思索人が、どのように日々を生きてきたのか、というのを知るだけも、なんだかためになります。講談社文芸文庫。

この人の語りには、りきみがない。また、嘘いつわりがない。自慢がない。傲慢もない。洒脱である。そしてまた解説じみていない。かといって斜に構えて世の中を見限っているわけではない。あるがままを受け入れ、あるがままを表している、と思うのです。

吉田茂の息子だなんてことにも一言も触れない。牧野伸顕さんという人の逸話が出てくるが、この人が自分の祖父であり大久保利通の子供であるなんてことも書かない。世の中のおためごかしには一切興味はないし、権威などとというものの力をかりようなんぞは毛頭ない。

なんだかすごいなあ、と思います。

たとえば、次のような言い切りと考察。はははあ~と首をうなだれながら感心するのです。

”友人でも来ない限り、酒は家で飲むものではないのであって、それは家にいてまで酒が飲みたい位、自分を持て余していれば、碌なことはないと思うからである。”(「師走の酒、正月の酒」)

”モク拾いよりも乞食をしたほうが割がいいのではないかと考えて、乞食を始めた”(「乞食時代」)

”氏が人に与える不思議に清潔な印象は、この無駄がないことから来ているとしか思えないのである。(中略)洗練された趣味というのは、この無駄を省くということと同じでない限り、単に気障であって、それ故にこれも省くべき無駄なのである。”(「福田恆存」)

”併しウイスキイというのは、何と言っても、極上のものを除けば野暮な飲みものである。(中略)別に旨くも、まずくもなくて時間をたたせるのに丁度いい飲み物だからなのだろうと思う。二人で面倒な話もせずにこれを飲んでいると、非常に満足する。”(「飲食行」)

この人の境地にたどりつけることを議論することすら恥ずかしいわけですが、やっぱりすごい、かっこよい、と思うのです。自分の言葉につかいたいくらいですが、そんなことはやっぱり、ボロがでるだろうな。

追記:
この文庫、300ページもないのに値段が1400円というのは驚き。でも、しゃあないナ、この素晴らしい内容だから、と自分はうなずきます。

三文紳士 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

吉田 健一 / 講談社


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by k_hankichi | 2009-12-29 12:29 | | Trackback | Comments(0)

クレンペラーの「幻想」

友人の薦めで早速買い求め、昨晩、聴いた。夜に聴いたのは、うってつけであった。

こんなふうだったっけ、ベルリオーズのこの曲って?というほどの、おどろおどろさ。怖い。音符の一つ一つ、フレーズのひとつひとつ、パートのそれぞれが、音のつぶの連続として、亡霊や幽霊が次々に自分の体にぶつかってくる訴えかけてくる、という感じ。

第1楽章、貴くも儚い夢が、止まりそうなテンポで開始され、喜びと後悔が反復され織り込まれ、安堵とともに終わる。第2楽章、舞踏会で踊りながらも、若き日の想いが浮かび、うつつの気持ちとなる。

第3楽章、マーラーの交響曲のような和声の美しさ。第4楽章、怖ろしい響きの連続。クレンペラーさんほど、打楽器に上手に奏でさせる人はいないのでは、と思う。金管はむごたらしさギリギリの響き(でもとても美しい)。

そして最終楽章、この鐘の怨念のような心えぐるような音は何なのだろう?亡霊が次々に飛んできて襲いかかってくる。

悟りの境地の哲人がもつ「人生の幻想」が、音として湧き出てきているとしかいいようがない。彼の指揮のもと、こんなにも奥深い演奏に参画できた、実体験できたオーケストラメンバーはさぞかし嬉しかったろう。うらやましい。

宇野(巧芳)さんがCDの解説に次のようなことを書かれていた。

クレンペラーさんは、24歳のころ、ハンブルグ市立歌劇場で指揮をとっていたが、新婚早々のエリザベート・シューマンと恋に落ち、ローエングリンの公演が終わるやいなや駆け落ちしてしまった、ということ。

若い時は公私ともどもに激情のスタイルであったらしい。・・・彼の若き日々のその熱情は幻想だったのだろうか?

人間は、どういう契機で、悟りの境地にたどりつけるのだろうか?

ベルリオーズ:幻想交響曲

クレンペラー(オットー) / EMIミュージック・ジャパン


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by k_hankichi | 2009-12-29 11:05 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(2)

買い出し記

昨日は、家の用事で買い出しに。アメ横の雑踏の中にもまれているうちに、思考が麻痺していく。

慾目がはじめで訪れているわけだが、あちこちの呼び込みとたたき売りのダミ声を耳にし、乱暴に積まれた美味そうな色合いの物に見とれているうちに、だんだん自らの口も半開き状態になり、いつしか握りしめたお札がどんどん失せていき、気付いたときには、両手いっぱいの買い物をしていた。

魔術にかかってしまった。

帰りばな、日本橋の百貨店をちょいと覗いてみたものの、横丁の気持ちで充満した僕にはそのフロアは異次元にしかみえず(ああ綺麗だ~)、早々に退散することに相成った。

物の売り方の両極を目の当たりにした気がする。

でも、いまもって、横丁の買い物のほうが、たとえ魔術を使われたとしても、なんだか納得がいくようにもおもう。

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by k_hankichi | 2009-12-28 09:48 | 街角・風物 | Trackback | Comments(0)

異論 「1Q84」

今朝の朝日新聞の「読書」欄で、社会現象となった村上春樹さんの『1Q84』が、日販、トーハンとも年間ランキングで総合1位を獲得した、とありました。第1巻が123万部、第2巻が101万部は売れたそうで、確かにそういう数字的には素晴らしいのだろうな、と思いました。

でも、僕としては、この数字が、内容への賛同や作品の質の高さと一致している、と評価されてしまわないか、と危惧しているし、それについては異論がある。敢えていま、そう言いたいと思います。そう言っておきたい。

出版されてすぐ、とても大きな期待のうちに、自分はこの書を取り寄せ、一気呵成に読み通しました。なんとか読み通し、読み終えて、何もいう気もしない、何も残らなかった。世間受けそうな事象(トレンディーっぽいことも)を散りばめて、ちょっと誤魔化しすぎている。村上さんの本を80年代初頭から折に触れ読んできましたが、それらに比べると普通すぎる。

なぜか、新聞雑誌では、もてはやされていましたが、僕は、それにあらがう気持ちが失せるほどに白けてしまっており、そこに言及することも、したくなく、あえて黙ってやりすごしていました。語るのも、自分がつまらない存在になると思ったのです。

そして、それゆえに、人には一切、お奨めもしませんでした。

村上さんとしての小説の心境地、だなんていうことは、おこがましいし、本人も、そうは思っていなのいだろう、と思っています(違っていたら本当に申し訳ないですが)。そしてまた、このような評判になることは、世の中が画一的すぎるようで、なんだかおかしい。総選挙で政局の大幅転換が、いともたやすくおきたような感じに似通っている・・・。

いえいえ、村上さんとしては、そういう風になってしまっているこのご時世に異論を投じたく、そういう意味で現代の膠着さを語りたい、そういう時代小説が「1Q84」なのである、ということであれば、それはそれで良いのですが。

僕は、村上さんには、もっともっと、挑戦的なものを期待している。小説家はそうであってほしいと念じています。

1Q84 BOOK 1

村上 春樹 / 新潮社

1Q84 BOOK 2

村上 春樹 / 新潮社


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by k_hankichi | 2009-12-27 20:33 | | Trackback | Comments(0)

オンドレイ・レナウト/東京フィルの「第九」

昨日は、急遽、縁あって(幸運なことに)、ベートーベンの第九交響曲を聴きに行くことができました。オンドレイ・レナウトさんが指揮する、東京フィルハーモニー。

東京フィルを耳にするのは久しぶりなのですが、感心したことは、弦楽がふくよかで厚みがあり響き豊かであること。音量もある(マスがある)。そして統制がとれている。

第2楽章は、どうしても、僕の友人がいうところの「リズムの喜びに満ちた神々の踊りの音楽」(オットー・クレンペラーによる第九のこと)を期待してしまうが、レナウトさんの指揮はそうではなく、端正な折り目正しい、格調の世界。

第4楽章の、例の、いくつかの旋律をとまどいながら奏で、たしなめられ、やがて協和していくところ、コントラバスの深い響きは絶品でした。

声楽ソリストのほうは、笛田博昭さんというテノールが、痛快アッケラカンで心地よかった~。若さ爆発、エーイこれでどーだー、オレはオレのやり方で歌い放つさ~、という感じ。「由緒正しいこの場所でその歌い方はナニ?」と言われそうなぎりぎりの豪快さ。

そして、合唱。これは僕はこれまで聞いた合唱のなかで一番上手でとても感心しました。「東京オペラシンガーズ」という団体なのですが、小澤征爾によって組織されたものだそうで、若々しくしかし豊かな声量のコーラス。元気一杯。

レナウトさん、汗一杯で完了しました。

そして僕は思いました。ベートーベンの故郷から目と鼻の先のスロバキアに育った彼が、こんなに遠く離れた極東の異文化の地で、この東洋の地のメトロポリスと墨絵と複合カルチャーの地で、正統的な第九を振ることができる不可思議さに感じ入っているのではないか、と。

追伸:
今回の第九、スコアがふつうとすこし違うように感じました。特に第4楽章の後半のトロンボーンがメインに出てくるようなくだり。どういう版なのだろうかなあ、と思いました。
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by k_hankichi | 2009-12-27 08:56 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)

「スイートリトルライズ」

江國香織さんの小説を先週読み、いたく感心したばかりだったが、けさ読んだこの本には、ひどくがっかりした。幻冬舎文庫。

ちょっとふつうではなくなり始めた夫婦の関係の中に、別の男と女の影が入り込んでくる。そして、救いようのないストーリーに陥ってくる。

この作家は、この小説で何を言いたいのだろうか?読者は、作家によってそこに連れてこられ、そのまま放置され、戻りようのない境地に捨て置かれる。

ここまで書くからには、説明責任を果たしてほしい。アカウンタビリティを果たしてほしい。

救済があること。それが僕には大事だ。

村山由佳さんの「ダブルファンタジー」でも、おなじようなある種の作家自身による傲慢と自己満足さと無責任さを感じたが、この書でも同じ目にあってしまった。こういうことは、このような言いっぱなしの姿勢で書くべきではない。

かつては、すばらしいストーリーを語っていた江國さん。あの境地にまた触れたい。そう思うが、でも、この仕打ちをされてしまうと、たとえ、そのような作品があるのかもしれなくても、もう、この人の作品を手に取る勇気がなくなってしまった。

自分が尊敬する作家リストから、今日、一人の人が外れていった。

スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)

江國 香織 / 幻冬舎


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by k_hankichi | 2009-12-26 12:13 | | Trackback | Comments(2)

ミケランジェリの演奏姿

クリスマスの日、ベネディッティ・ミケランジェリの演奏のDVDを観た。スカルラッティのソナタ、ショパンのマズルカ、ドビュッシーのラモーを讃えて(映像第1集から)、前奏曲集第1巻からなる。

スカルラッティとショパンは65年の白黒録画。ここでは燕尾服をきちんと着ている。ドビュッシーは78年の録画でカラー。例のタートルネックのせーターである。色は薄い茶色がかったクリーム色。そして、そこに黒いオシャレ系のベルトをしている。

どの映像も、非常に神妙な顔つき、仙人か?詩人と画家(まあサルバトーレ・ダリを思い浮かべる)の間のような、渋みのあるもの。かっこよい。

そして、何よりも何よりものおどろき、がある。

ミケランジェリはおそろしく長身なのだ。そして、手足がむやみに長い。手の指も長い。膝から下も長い。知らなかった・・・。

なので、彼は、ピアノから、遠く離れて座らないとピアノが弾けない。また、椅子もおそろしく下げないと、ピアノの外枠に膝が当たってしまうのだ。弾く格好が異様だとか、いろいろな噂を聞いていたが、これが真相なのだ、ああ、こーなっていたのかあ、とわかった。

かんじんの演奏のほう。これは流麗というしかない。そして、軽やかななかに、精神が宿る。神、という感じもする。指先は、やさしく鍵盤をなでつけているだけなのに、そこから摩訶不思議な歌が湧き出てくる。

リヒテルやグールドの精神性、アルゲリッチの怒涛の熱情、そういったものとはまったく異なる。冷静にしずかに音のみに集中して、それが指先がら流れ出る、哲学的詩聖のようなもの。それがミケランジェリなのだと思った。





Plays Scarlatti Chopin Debussy [DVD] [Import]

東芝EMI株式会社

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by k_hankichi | 2009-12-25 15:27 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)


音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です


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