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「まほろ駅前番外地」

三浦しおんさんの「まほろ駅前多田便利軒」を読んだとき、なんと清々しい、快活な、そして、毒々しい現実もさらりと表し”ひらり”と扱う人なのだろう、と思いました。そのあとすぐ、その作品で直木賞を受賞され、ああ、やはりそうだよなあ、と唸りました。

その続編、が出ました。文芸春秋刊。

おなじみの登場人物が帰ってきた~、という感じでページをめくるたびに、にやりとしてしまいます。行天(ぎょうてん)、多田さん、小学生の田村(由良)君、ルルとハイシー。

そしてあの街角も帰ってきた~。呼び名をすこしづつかえているが、明らかに、まほろ駅=町田駅なわけですが、その街角が生き生きとよみがえってきます。

乾物屋のある駅前商店街、公園に続く道、駅南のあやしげな通り。南町田近傍とおぼしきマンション・パークヒルズ。そしてそこで起きる数々の珍事、行天の驚くべき奇行、老婦人のやさしさ、どのようなことにも、心がなぜかなごむ。

こんな便利屋さんに、頼みごとをしてみたい。そしたら、彼らに遭えるのだ。

まほろ駅前番外地

三浦 しをん / 文藝春秋


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by k_hankichi | 2009-10-30 22:03 | | Trackback | Comments(2)

吉田秀和さんの本、読了

ようやっと、吉田秀和さんの、「之を楽しむ者に如かず」(新潮社)を読了。すばらしい本でした。見返してみると、心動かされ、そして深く染みて、ページの隅を小さく三角に折ったものが多いこと多いこと。

音楽評論を、それも、吉田さんの評をこれだけまとめて沢山読んだことは無かったのですが、それぞれに氏の深い豊かな感受性と、記憶と、直裁でこまかな心の震えが伝わり、とっても感動しました。感心ではなくて感動。

この人は音楽を歴史や世のなかの流れとともに心に刻んでいる。そしておそらく(それは書いてはいないのですが)、自分の人生、書かれていないこの人の生活とともに重ねている。氏の私生活もきっと織り込まれている。

吉田さんにとっては、音楽を聴くことで、記憶からいろいろなことを手繰り寄せ、自分や自分の周り、そしてもしかすると氏が愛する人たちまでもがそこに浮かび上がり、その浮かび上がったところには必ず音楽が交錯している、そういう感じがするのです。

だから、単なる音楽批評ではなく、この人の音楽評論は文学にちかいものになっているのだと思うのです。

この書は、当分の間、僕の、座右の書になっていきます。

之を楽しむ者に如かず

吉田 秀和 / 新潮社


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by k_hankichi | 2009-10-28 23:00 | | Trackback | Comments(0)

流れゆく景色とバッハ

きょうは朝から宮城まで日帰り。

新幹線のなかでは、友人が紹介していた、ポリーニのバッハ「平均律」の新譜を聴きながら、車窓から外を眺めやる。

福島あたりになると、山々が遠景に現れ、ゆっくりと動いてゆく。大きな流れ。

ゆったりながれゆく景色に、レールを疾走する車両の響き。

何故かバッハのその曲がとってもマッチした。ベートーベンでもなく、モーツァルトでもワグナーでもなく。

とても記憶に残る美しさだった。

DGのE-Playerのサイトでこの演奏に繋がる。http://www2.deutschegrammophon.com/eplayer/eplayer.htms?ID=pollini-bach

バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻

ポリーニ(マウリツィオ) / ユニバーサル ミュージック クラシック


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by k_hankichi | 2009-10-27 22:55 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)

アルゲリッチ追伸

アルゲリッチに開眼しそうなこと、昨日記しました。

そうしているうちに、今日ちょうど、例の吉田秀和さんのエッセー集「之を楽しむ者に如かず」のページでアルゲリッチさんに言及する章に出会いました。

彼女が1965年にショパンコンクールで優勝したときに記録されたCDがあるということ。ショパンのピアノ協奏曲第一番とか、三つのマズルカ、スケルッツオ第三番が入っているそう。

「花は盛りを見るべきもの」、とでもいってよいものの標本だった、と吉田さんをして言わしめています。アルゲリッチがいま盛りを過ぎたと言うわけではないけども、と注釈を付けながらも。

是非ともに聴いてみたい、そう思いました。
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by k_hankichi | 2009-10-26 23:19 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)

アルゲリッチの音楽夜話

すばらしいDVDに出会いました。

「マルタ・アルゲリッチの音楽夜話」(Conversation nocturne)。

最近良く行く駅近くのCDショップで、購入。 ジョルジュ・ガショ監督の2002年のドキュメンタリー。あとで調べたらイタリアやプラハ、ユネスコの音楽賞を受賞した作品で、NHKでも数回放映されたものでした。メディアや取材嫌いの人だということですが、その彼女が素顔をみせ、心を語ってくれています。

学生時代、クラシック同好会の知人が、彼女に没頭していましたが、なぜそうなっていたのかもわかりました(彼はレナード・バーンスタインの熱狂的愛好家でもある)。とにかくエネルギッシュで奔放。魂が鍵盤の指先にほとばしり出る。乱暴に弾いているようで非常に正確。

それを支えている彼女の考え方。

”練習で150%に仕上げておく。それでも、本番で60%なんとか出せることに繋がる”。

そういう状態にして、やっとこの魂のほとばしりを出す余裕が生じるのでしょうね。なんだか、どんな仕事をするに際しても大切なこと、なんですね。

その彼女が人生最高の師とあおいでいるのが、期間としてはわずか1年半教えを請うたフリードリッヒ・グルダだという。非常に厳しい指導だったようですが、いまもなお心酔している。すごい。そしてそのグルダをして、アルゲリッチの弾くシューマンは自分の心と同じ、と言わしめた。

そして、そのシーン。シューマンのピアノ協奏曲の2001年のドイツでのリハーサル。すごいです。これまで、僕はこの曲を聴いて心動くことはあまりなかったが、なにかとっても感動しました。

最後のほうで語られる、アルゲリッチの言葉。

”子供のころのことって、とっても大事なの。その時期にすべてが決まってしまうから。・・・そうなの。”

ひとの感性や記憶、そして、ひもをたどっていくと結ばれているところ。そういうことを言っているように思いました。とても印象的です。そして映像の最後のシーンも、ワルシャワのコンサートでのアンコールで弾くシューマンの「子供の情景」。

そのように奔放で自在なアルゲリッチが、コンサートで弾くことをためらっている唯一の曲があるといっていました。それは6歳のころ、母親に連れられて行ったコンサートで、初めて鳥肌がたった曲。ベートーベンのピアノ協奏曲第四番(第二楽章らしい)だそうです。

彼女の”子供の情景”の原点、音楽に対しての気持ち・姿勢の原点、それはそこにあるのだろう、と思いました。

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by k_hankichi | 2009-10-25 21:40 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(3)

若い世代の人たち

昨日は、仕事の関係で、会社の他職場含めての、比較的若い(30~35歳)リーダー層の話を聞いたり、酒を酌み交わしながら語る時間がありました。

こういった層の人たち、それぞれ個性豊か。彼らの悩みというものも知り、その世代のメンバー同士で、そしてまた、我々の世代とも、もっともっとくったくない意見交換をしていきたいなあと思いました。

メンバーが、より自由でかつ有機的に繋がった関係をもてば、さらに新しいアイデア、気付き、仕事の仕方が生まれてくる。そしてきっと日本ももっともっと素晴らしくなる。
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by k_hankichi | 2009-10-24 21:36 | 社会 | Trackback | Comments(0)

「之を楽しむ者に如かず」

吉田秀和著、新潮社。
「レコード芸術」に連載されていた音楽評論を集めたものです。

今月初め、出版されたばかりのとき友人に、買ったぞ!、と見せびらかしたら、「もうとっくに買った!」との答え。あー自慢にならんかった…。

僕らの世代では、吉田さんは、音楽を文学や哲学の世界にまで繋げた「小林秀雄を継ぐ神」のような存在。

いま、通勤時間の寸暇を惜しまず集中して読み始めました。

一篇一篇、読み進めるたびに、「ああ、そういうことだったのか。ああ、こんなふうな聴き方・解釈のしかたがあるのか。」、と驚き、はやくその音楽に触れたい、体験し、あわよくば自分の世界も築きたい、と思うのです。

このひとの音楽観はこれまた心に染みます。

之を楽しむ者に如かず

吉田 秀和 / 新潮社


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by k_hankichi | 2009-10-22 08:18 | | Trackback | Comments(0)

禅の言葉、きびしい

通勤途上の本、「こころ休まる禅の言葉」(松原哲明、河出文庫)、読了しました。

たくさん身に染みたです。

「不昧因果」(ふまいいんが)
百丈僧の話。
たとえ不遇にあっても、その原因探しをしたところで不遇の現状は変わらない。それよりも現在の結果をはっきり受け止め、そこでしっかり生きるべきです。因果を否定したりごまかしてはいけません。

「六窓欲鎖八風吹」(はっぷうふけども動ぜず)
一休禅師の言葉。
自分自身を閉ざし、内にこもればこもるぼど、浮き世の毀誉褒貶が気になり、心はかえって波立ちます。

「一日不作一日不食」(いちにちなさざればいちにちくらわず)
百丈の言葉。働かざる者食うべからず、という意味ではないそうです。やるべき作務は修行であり、それを怠るようでは食べ物をいただく資格はない。仕事で自分が磨かれ、生かされ、生き甲斐を感じるようになる。

ひとつひとつ、読むごとに、うーむできていない、がっくし、と思います。

…これも生きる修行のうちなのかな。

こころ休まる禅の言葉 (河出文庫)

河出書房新社


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by k_hankichi | 2009-10-21 08:30 | | Trackback | Comments(0)

着眼力

ひとに言われて、ああ、これは僕が気付いて自らやるべきことだった、と思うことがある。

一瞬、「忙しかったからなぁ」、と理由づけたりしてはみるものの、いやいや、ちがうよな、と分かる。

日頃から着眼が足りていないから、こうなるのだ、と分かる。落ち込む。

今日もそういうことが会社で二つあった。

その人が自分の代わりに率先してやってくれているのを見ると、本当は感謝すべきなのに、妬みすら生まれる。そして焦る。さらに羨ましさまでくる。劣等感に至ると最悪である。

着眼力、発想力、これは、育てるものではなく、日頃から常に意識しているかどうか、にかかっているように思う。自己投企しつづける意識。

寝呆けたこと、にならないように、意識高くしていかなくては。
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by k_hankichi | 2009-10-20 23:03 | 一般 | Trackback | Comments(0)

フオーレの声楽

ガブリエル・フオーレの教会コラール(合唱曲集)を聴きはじめました。

すべての人たちが、このような曲をききながら、生きていれば、と想います。

自分も今夕は、葛藤にあふれた会議に臨み、矛盾に気持ちを御しきれそうになかっただけに、心に染み入ります。安堵と救済。

仏Accordレーベル#465 809-2、日本:パナムジカレコード扱い#VFA022

小ミサ曲、ラシーヌ讃歌、モテット集、他/ベルナール・ラバディ指揮、アンサンブル・ド・ラ・シャペル・ド・ケベック

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by k_hankichi | 2009-10-20 00:28 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(0)


音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です


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