2017年 09月 05日 ( 1 )

グレングールドが作曲もしていたことは聞いていたけれど、それをしっかりと把握できたのは、件の映画を観たからだった。女性ピアニストが、この曲に感興して背中にこの主旋律の刺青を彫ったというシーンもあり、その色香とともにぞくぞくして、改めて調べて聴き入った。弦楽四重奏曲 作品1(ヘ短調)。

グールドによれば、バッハが『フーガの技法』でB-A-C-Hの音階を入れ込んだことにも触発されての作曲らしい。「ハ‐変ニ‐ト‐変イ」C-D♭-G-A♭の主旋律だ。1955年10月に出来上がり、1956年5月26日にモントリオールにてモントリオール弦楽四重奏団によって初演されたそう。

ヘ短調はグールド自身の性格を表すということ。「錯綜と安定、高潔さと嫌らしさ、灰色とうっすらとした色合いとのあいだに」。バッハの、灰色だけで構成された色調のパレットが無限に続く『フーガの技法』(グールドの表現)に倣ったのだろうか。

シェーンベルク的な響きは、薄闇に吸い込まれていくような音魂で、秋の夜は苦悩と哀愁と共に静かに震えて深まっていた。

■映画『Glenn Gould Hereafter』から →https://youtu.be/CrNZNf-yHkc


■全曲の演奏(Glenn Gould - String Quartet, Op. 1 - Glenn Gould: The Composer - HQ)
演奏:Bruno Monsaingeon(あの映画の監督) & Gilles Apap - Violins, Gérard Caussé - Viola, Alain Meunier - Cello
https://youtu.be/Slu_BPYHUPk

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by k_hankichi | 2017-09-05 06:38 | クラシック音楽 | Trackback | Comments(3)

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