◯◯◯ネン、という苗字がフィンランド人たちに多いことは知っていたけれども、実際にその国からきた人に会ったのは先週の出張のときが初めてだった。瞳は透き通るような灰色で、髪は美しくうねる金髪、「ああこれはオオカミ」、と思わず言いそうになって押し留める。
しかしすぐに次の言葉が出てしまった。
「カレワラ、ホームカミング・レミンカイネン、ハウス・イン・アイノラ・・・。」
相手の頬がほっと緩んだ。
「シベリウス ハ タカラデス。モースト ビューティフル ミュジーク。マインド オブ マイ カントリー。」
(というような言葉の英語)
満面の笑みになった。そこからはら一緒にいた人たちの、何、何、それは?という訝しい問いを無言で弾き退け、彼女とシベリウス談義に花を咲かせた。
冷え込みが募り始める昨晩や今朝、そのことを思い出しながら、だからシベリウスを聴き続けている。