映画『笑う故郷』の封切りを観た。始まる前、岩波ホールの支配人、岩波律子さんの挨拶があった。このホールがアルゼンチン映画を扱い上映するのは今回で3回目だという。
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http://www.waraukokyo.com/アルゼンチン映画といえば、『瞳の奥の秘密』の衝撃はいまだにずしりと重く残っているが、今回の作品はどんなものなのかと、怖いもの見たさ的な興味で観始めた。
40年ぶりに故郷に帰ったノーベル文学賞受賞者の味わう喜びと哀しみを、見事に描いていて、とても痛快だった。
僕は文学者の視点から、どうしても眺めてしまうのだけれど、アルゼンチンの田舎町にすむ一般人や、政治家、教職に携わる人や自称芸術家たちの反応は、極めて面白い。
コミカルな視点も交えてのシニカルさは半端なく、知識人の大人の抱えるジレンマも垣間見える。
故郷に錦を投げ捨てた男の哀愁は、パンパの平原に声なき声のように沁みていった。
90点の佳作だった。
■監督について
■神保町の牛膳は特別に旨かった。どんぶり丸福。