起こるのはいつも心の中でいちばん恐れていることだ

佐藤正午の『事の次第』(小学館文庫)を読了。男女それぞれが、無意識のうちに抱えている心の声が、ふとした瞬間に明るみに出る、というような立てつけの連続短篇だった。

登場人物たちの関係が複雑に絡み合っていて、そしてそれも時系列がバラバラだから、読んだあとも何がどうなっているのか掴めずに放心状態となる。それでも楽しめるのは、著者が人生や恋愛の本質を、諦観と共に直観的に見極めているからだろう。

「起こるのはいつも心の中でいちばん恐れていることだ」

という言葉がひとつの篇「姉の悲しみ」のなかに出てきていて、ああ、そういうことはあるよなあ、と妙に納得して、それがいつまでも心に残った。

どうして人間というのはそうなのだろう。悪いことを考えていると、それが起きる。いやだなあと思っていると、それが目の前に現れる。これ面倒だなあと考えていると、その出来事に巻き込まれる。

人間、前向きに前向きに生きていかないといけないんだよ、それがどう儚いもの、無為なもの、非効率なものであろうとも。

そういうことを改めて教わった。

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Commented by maru33340 at 2017-08-09 06:24
確か昔読んだような気がするけど内容すっかり忘れてまする。
Commented by k_hankichi at 2017-08-09 06:41
maruさん、とらえどころ難しいが、深層描写小説というような感じです。
by k_hankichi | 2017-08-09 00:27 | | Trackback | Comments(2)

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