音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です

by はんきち

コクトーとフジタ

ランスと聞いて、藤田は酒が好きだったから、そこを終の棲家にしたのだろうと思っていた。ところが、それが違うらしいということが分かった。

『藤田嗣治とは誰か』(矢内みどり、求龍堂)でそれが解き明かされている。

生きることの意味を画家とは異なるやりざまで表現した詩人のジャン・コクトーは、終の棲家をパリの南のエソンヌ県、ミィイ・ラ・フォレに構え、そしてそこにあるサン・ブレーズ・デ・サンプル礼拝堂に眠った。

フジタは田舎に転居したコクトーを見倣い、そのエソンヌ県・ランスに別邸を構える。そしてコクトーが内部のフレスコ画の装飾を手掛けた礼拝堂に、自らが埋葬されたことを見知って、自分の住む地区にフジタも礼拝堂を建設する計画立てる。内部のフレスコ画やステンドグラスを手掛け、そして礼拝堂が竣工してそれほど経ぬうちに、自分もそこに葬られることになる。

詩人も画家も、自らが住んだ家はのちに芸術家の名を冠した美術館になる。

持て囃され時代の寵児になっていた芸術家であろうとも、自らの行く末を鑑みると、都心の喧騒から遠ざかって内省していきたいのだ。

それに対して僕自身はどうなんだろう。神奈川の田舎暮らしが長すぎたことが相まって、この歳になって街に恋い焦がれてしまっている。大丈夫なのだろうか。


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by k_hankichi | 2017-05-03 21:40 | | Trackback | Comments(0)
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