その名前を聞くたびに、なぜか空恐ろしくなるのだけれど、どうしてもそこを通過しなければならない。綾瀬と北千住の間、そして南千住と三河島の間。それぞれに背筋を縮こませて、過ぎ去ることを耐えていく。
あなたは怖くないの・・・?
同じ列車に乗っている乗客たちの顔色をうかがう。
大丈夫そうなのは何故・・・?
お守りを握りしめているかどうか、確かめたくなる。
この緊張が無くなることはない。もし無くなったとすれば、それは人としての感受性が欠如していくこと。
「国鉄三大ミステリー事件」のひとつ「下山事件」。「国鉄戦後五大事故」のひとつ「三河島事故」。
マタイ受難曲に耳を傾け続けざるを得ない気持ちにするこの空間は、現代の魔界だ。
※遥か後ろにこんな看板があることを、撮影したときには気付かなかった。事件や事故を忘却の彼方に置いての、うたかた。