第二の杉原千畝物語・・・『また、桜の国で』

人が読んでいるとどうしても気になって買い求め、出張の途中で読了。『また、桜の国で』(須賀しのぶ、祥伝社)。このあいだ読んだ『革命前夜』と比肩すると少し普通の作品。

第二次世界大戦直前から戦中のポーランドに生きる人びとが、侵略者たちに如何に立ち向かっていったのかというドキュメンタリータッチのものだ。そこで活躍する男は、東欧系の日本人の慎と、その地に心の底で繋がっている男と女たち。

不思議なのは銃声や爆音が無いときにも、その空気のかには花があるということ。そしてそのバックグラウンドにはショパンの名曲の数々が流れている。

“たとえ瓦礫になっても、きっといつか、この街はよみがえるのだろう。ポーランドという国が、常にそうであったように。人々が、決して諦めなかったように。仮司令部に使っている建物に戻り、出発の準備をしていると、ラジオから聞き覚えのある旋律が流れ始めた。準備の手を止め、慎はピアノの音に聞き入る。
「革命のエチュード」
日本語でつぶやいた途端、胸が締めつけられ、痛みをこらえるように目を閉じた。慌ただしい空気の中を、情熱的な旋律はその存在感を失うことなく駆け巡る。周囲の兵士たちもしばし動きを止め、聞き入っていた。”「第七章 革命のエチュード」より)

何度も何度も国を分割されたり征服されたりしながら、この国が如何にそのアイデンティティを保ちそして再建していったのかが分かった。
ショパンの音楽は、単なる愛玩的なものではなく、この国の人たちの血潮と汗の象徴なのだった。


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また、桜の国で

須賀 しのぶ/祥伝社

★★

   


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Commented by Oyo- at 2017-01-14 11:26 x
店頭で見てちょっと気になった本です。どうしようかな^^
Commented by k_hankichi at 2017-01-14 11:56
おようさん、普通の本でした(落ち着いて考えてみて本文も修正)。
星🌟二つ(最高が五つとして)。
by k_hankichi | 2017-01-14 00:56 | | Trackback | Comments(2)

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