新年早々に、素晴らしい小説に出会った。『書店主フィクリ―のものがたり』(ガブリエル・ゼヴィン、早川書房)。読み終えて書店カバーを取って帯を見ると2016年本屋大賞・翻訳小説部門第1位とある。おお、そういう評価をすでに得ていたのか・・・。合点する。
“小説というものは、人生のしかるべきときに出会わなければならないということを示唆している。覚えおくのだよ、マヤ。ぼくたちが二十のときに感じたことは、四十のときに感じるものと必ずしも同じではないということをね、逆もまたしかり。このことは本においても、人生においても真実なのだ。”(「ロアリング・キャンプのラック」の巻頭より)
米国の小説家のなかにも、しっかりと人の生きざまを描ける人がいるのだ、ということを、ようやく知った思いがした。
とにかく、この作品の余韻は貴重だ。その街がある島やその土地の空気や風土、その香りまで、味わうことが出来る。
マサチューセッツ州のハイアニスというところにあるアリス島を、いつか訪れたいと思う。