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by はんきち

キャパの慧眼、沢木の執念

出かける際に本を持っていないことに気付き、書店で買い求めた。『キャパへの追走』(沢木耕太郎、文藝春秋)。

それはロバート・キャパによる写真が撮られた場所・現場を探し当てる旅のエッセイだった。時系列的に描くことで彼の生涯が浮かび上がってくる。

キャパが写真家として世の中に認められたのは、コペンハーゲンで講演中のレオン・トロツキーを撮影した1932年の作品によるものだそうだ。エッセイではその場所ではなく、トロツキーが亡くなったメキシコ・シティーを訪れての話が書かれている。

その政治思想家が亡くなったのは、1940年の8月。フランク・ジャクソンと名乗る男が、いきなりトロツキーの頭にピッケルを突き立てたという。スターリンが送り込んだ刺客だった。僕はなんとも怖ろしい感覚に捉われた。鎌と鎚をシンボルに描いた共産党が粛清のために用いた道具と遣りざまに。

沢木さんはそのメキシコ・シティーを訪れ、トロツキーの墓を撮影して、キャパのデビュー作と並べた。

一ひねりも、二ひねりもされたエッセイ集だった。

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by k_hankichi | 2016-12-19 00:32 | | Trackback | Comments(2)
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Commented by maru33340 at 2016-12-19 08:20
『キャパの十字架』は読んだなあ。
こちらは未読なり。
Commented by k_hankichi at 2016-12-19 19:30
maruさん、それと相補的になる本です。