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by はんきち

「ちょいと」の世界

確かに、小津映画独特の言葉だよなあと思った。僕の母親も杉村春子的な生粋の江戸っ子だけれど、「ちょいと」は使わなかった。「ちょっと」だった。でもどうして小津映画は「ちょいと」なのか。

そういう考察も含めて実に多彩なことが『小津の魔法つかい』(中村明、明治書院)に書いてあった。

“だが、小津映画に登場する大人たちの多くが、ごくふつうの日常語である「ちょっと」という形をめったに用いず、いつも「ちょいと」という語形を愛用しているという事実のほうは、小津の世界を特色づけていると言えるだろう。
そして、「ちょいと」と聞くと観客がすぐ杉村春子や佐分利信や中村伸郎らを連想するように、それが彼らの演ずる作中人物の像の輪郭を描くという側面もある。その意味で象徴的なこのことばのちょいとくずれた感じは、東京というちょいと頽廃的で都会的なセンスの走る街に暮らす、ちょいとあかぬけた男女の、ちょいとくだけた、ちょいと甘えた感じの、ちょいと親しみをこめた、そんなちょいとばかし小粋な味を演出できると小津は考えていたように思われる。”(「三 口癖の詩学」より)

なあるほど。ちょいとこれは面白い。ちょいとここらで僕らは、この言葉を普及させないといけない。そうすれば、世知辛いこの世の中もちょいと粋な感じが出てくるし、ちょいと楽しいような、ちょいと軽くスキップでもしそうな、ちょいと誰とでも話せるような、そういう日々に変わっていくような気がする。

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小津の魔法つかい―ことばの粋とユーモア

中村 明 / 明治書院

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by k_hankichi | 2016-12-09 07:34 | | Trackback | Comments(4)
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Commented by Oyo- at 2016-12-08 22:41 x
ちょいとはんきちくん、これはおもしろそうですね^^
Commented by k_hankichi at 2016-12-09 07:28
ちょいと、おようさん、まあ一杯どうですか。
Commented by saheizi-inokori at 2016-12-09 08:50
ちょいとどころかかなり面白そうです。
Commented by k_hankichi at 2016-12-09 18:00
saheiziさん、お薦めです!