平田俊子の詩集を読みながら、どこかで知っているような・・・と思っていた。そしてそれは、1年半ほど前に呼んだ詩集に、一篇だけ納められていたのだった。
「宝物」という詩は、いまでもとても好きだ。
出だしからして凄い。
“世界で一番美しい言葉はコンセルトヘボウです
四年前のアムステルダム
午後のトラムにゆられていると
大きな建て物が前方に見えた
あれは何? と尋ねると
コンセルトヘボウとあなたは答えた
コンセルトヘボウ
そのとき私には
それが何だかわからなかった
ただ こうつぶやいたときの
あなたの声がとてもきれいで
以来この言葉は私の宝物になった
誰かがこの言葉を口にするのを
それまでも
そのあとも聞いたことはない
あなたがこの言葉をつぶやいたのも
あのときだけだ
ただ一度だけ耳にした言葉
私だけが聞いた
あのときの
あなたの
柔らかな
声
ここにこうして書いてしまうと
宝物はたちまち輝きを失い
蝉の死骸以下のものになる
大切なものを捨て去るために
私は秘密を打ち明けた
この言葉もあなたのことも
忘れるために
(後略)”
続きはココ記載 →
http://hankichi.exblog.jp/23838797/
僕はこの人の詩集を、もっと読んで行くだろう。そして、澄んだ水が沁み入るように身体が潤っていくだろう。
■コンセルトヘボウ →
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