ブログ友人が紹介していた詩集『戯れ言の自由』(平田俊子、思潮社)を漸く買い求めた。今年の(第26回)紫式部文学賞を得た作品だそう。
新鮮な気持ちに包まれる作品ばかりで、言葉が人を綺麗にさせる、落ち着かせるということはこのことか、と思った。
「犬の年」は、“コギト・エルゴスム(我思う、ゆえに我あり)”で締め括られる、緊張から逃れるがための呪文集。あらあらどこまで出てくるの?と嬉しくなる。
「「イラッとする」にイラッとする」もほぼ同じ部類だが飽きがこない。
「「そうだ皇居いこう」」は括弧つきの題名で、新幹線や特急で行く旅の気分で宮城を楽しむ旅行記。他愛ない会話や周囲の出来事も言葉遊び歌になる。
「あと何回」には、しんみりした。内省。「あかん」や「貝殻」も命について語る。内省。
しかし圧巻は「伊藤」。友情の深き証しが詩に溢れる。溢れてこちら側にまで零れてくるけれど嫌味が少しもない。それはあまりに純朴なる気持ちだから。
年の瀬の詩集は、目が覚めるような素晴らしき世界。まだまだ世の中、捨てたものじゃあない。