80年以上経ても変わらない世の中

林芙実子の『下駄で歩いた巴里』(岩波文庫)は、おそろしく自然な感性で描かれた紀行文だった。立松和平が編集している。

「巴里まで晴天」という章は、昭和6年の紀行なのにあまりにも生々しい。

“ちょっと眠りつづけて呆んやりと考えた事は、いつも真実なものが埋もれ過ぎていて、ちょっと芝居気のあるものとか、威張っているものとか、下品に卑下する者、こんな者たちがどこの国でも馬鹿々々しく特権を得ているものだとおもいました。プロレタリヤと云うハイカラ語をつかう前に、私は長い三等の汽車旅で、随分人のいい貧乏人たちを沢山見過ぎて来ました。”

西比利亜(シベリア)を旅した著者の感慨だったのだけれど、それが革命が起きたはずの国の姿なのか、それとも首長の選挙を終えたばかりの新大陸の国のことなのか、わからなくなった。

林芙美子紀行集 下駄で歩いた巴里 (岩波文庫)

林 芙美子 / 岩波書店

スコア:


 
[PR]
トラックバックURL : http://hankichi.exblog.jp/tb/26138355
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by Oyo- at 2016-11-13 10:00 x
あの当時はシベリア鉄道の旅がほとんど・・・今は反対にあこがれの鉄道、日本人に合った下駄という履物は貴重な物になりました。改良されてカラカラと石畳を歩いてみたい(*^。^*)
Commented by k_hankichi at 2016-11-13 14:33
おようさん、この林さんの闊達なふるまいと筆致は、とても快いです。おようさんのカラコロとした下駄闊歩、良さげなり。
by k_hankichi | 2016-11-12 07:17 | | Trackback | Comments(2)

音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です


by はんきち