懐かしき感覚の『強父論』

阿川佐和子の『強父論』(文芸春秋)を読了。面白かったけれども、僕の実家とそれほど変わらない。娘には優しそうでいて厳しい。まあそうだろう。息子にだって厳しいのだから。

大正、昭和一桁生まれの父親というものはどういうものなのかということを書いてある訳で、しかしそれはそんなにおかしなものではなく理解できる範疇。ああ、こういうものだったよなあ、父は母に対して、そしてまた父は僕ら兄弟に対して。そういう感慨だけが残る。その意味では懐かしい思いに溢れる。

僕の父親もオッソロシクとっつきにくい人で、そしてその頑なさとマニアックな度合いは、阿川さんの父親とほぼ同じだ。僕らの世代の常識の域を10倍か100倍も行く。

父親というものは、強情で、ヒトの言葉に耳を傾けず、自分の世界が全て正しいとされる。戦前生まれの男というものはだから生一本で、妻であれ娘であれ、もちろん息子であれ何ものともしてこなかったのだ。自分の信念だけのもとに生きてきたのだ。

父親はそういう、とっても誇らしい生きざまの尊敬。しっかりと生きてきたその世代の壮絶な生きざまは、僕らが何回生きてもそこには到達できない。

それでいい、それがよい。

そういう解釈ができているということは、僕も阿川佐和子さんと同じ経験と思考にあるということで、それを知ってなんだかとっても落ち着いた。

大正そして、昭和一桁生まれの男を知っていることの僥倖、とでも云おうか。

強父論

阿川 佐和子 / 文藝春秋

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Commented by Oyo- at 2016-11-01 12:43 x
うふふ・・・
Commented by k_hankichi at 2016-11-01 19:36
えへへ・・・
by k_hankichi | 2016-11-01 06:48 | | Trackback | Comments(2)

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