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by はんきち

フランス装の『藤村のパリ』

ブログ友人が紹介していて無性に読みたくなって中古本ながらネットで取り寄せてみると、フランス装の箱入りの立派な美本だった。これはたったの37円で、送料のほうが値が高いのが嘘のようだった。『藤村のパリ』(河盛好蔵、新潮社)。

100年ほど前に島崎藤村がフランスに三年ものあいだ滞在したことを知らなかった僕は、その理由についても知って驚いた。

小林秀雄は女と別れるために奈良に逃げたが、藤村はそのためのパリなのだった。そして期間も三年という。それほどの長い期間の傷心だったのだ。

そしてそこでの過ごし方も、ヨオロッパのあちらこちらに触手を伸ばすのではなくパリ(と戦禍を逃れてのリモージュ)に、日本人芸術家や学者たちから少し距離を置いて日々を送るのだ。彼の痛みの深さよ。

僕らとは断然にちがうのだということを改めて知った。

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by k_hankichi | 2016-10-29 13:58 | | Trackback | Comments(4)
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Commented by s_numabe at 2016-10-29 19:07
女と別れての傷心、といえば聞こえはいいけれど、姪こま子を妊娠させた挙句、責任を放棄しての国外逃亡ですから、ちっとも褒められませんね。
とはいえ、隠遁先にパリを選んだことから、小山内薫に同行してバレエ・リュス公演でニジンスキーが踊る《牧神の午後》や《ダフニスとクロエ》に遭遇したほか、藤田嗣治ら若き画学生と交友したり、ドビュッシーが指揮したり、《子供の領分》を弾いたりする演奏会を間近に体験できたのですから、「藤村のパリ」は芸術家として稔り多い滞在でした。
優柔不断で無責任な「ダメ男」藤村に翻弄された「日陰の女」こま子が自立を目指した壮絶な人生については、梅本浩志の『島崎こま子の「夜明け前」』という好著があります。ご参考まで。
https://www.amazon.co.jp/%E5%B3%B6%E5%B4%8E%E3%81%93%E3%81%BE%E5%AD%90%E3%81%AE%E3%80%8C%E5%A4%9C%E6%98%8E%E3%81%91%E5%89%8D%E3%80%8D%E2%80%95%E3%82%A8%E3%83%AD%E3%82%B9%E6%84%9B%E3%83%BB%E7%8B%82%E3%83%BB%E9%9D%A9%E5%91%BD-%E6%A2%85%E6%9C%AC-%E6%B5%A9%E5%BF%97/dp/4784509283
Commented by Oyo- at 2016-10-29 21:23 x
びっくりー!貴殿もお読みになっているのですね^^
値段もびっくりー!私、文庫本で300円でした(^_^;)
新たな藤村、同じです(*^^)v
Commented by k_hankichi at 2016-10-30 08:23
沼辺さん、はい、藤村がバレエ・リュス観たり、ドビュッシー、ラヴェルをたくさん聴いていてとても驚きました。しかしこま子との仲も再燃したのですね。ご紹介して頂いた本も怖いもの見たさです。
Commented by k_hankichi at 2016-10-30 08:27
おようさん、はい、すぐに取り寄せてしまいました。中高時代に「夜明け前」を耽読していたのだけれど、作家の生きざま、知らなかった事柄に驚きました。