さすらい人幻想曲的な世界

仕事の都合で列島をあちらこちらに往き来しているあいだに、是が非でも行きたかったピアニストの演奏会も聴き逃してしまった。そこに臨めた友人の幸運ばかりを羨んでいるばかりはいけないなあと自らを戒める。

そんなときに、その宵が若いころに通った大学の年間恒例のイベントにあたるのだったと思い出した。それは世界中の様々な街で同じ日の夜に催されることになっている。

東京の会場は大手町ビル街のなかに場違いな感じで嵌め込まれたパズルの一ピースのようで、米国のパブを模していた。店内は仕事帰りの人たち(国籍問わず)の坩堝。日常の繁忙の仕事の世界とは打って変わってのリラックスした空気。

店の半分を借りたその会は想像以上に興奮した。たいていは知らない人ばかりなのに、互いに直ぐに打ち解ける。それは、極東から心細い気持ちで学びに行った同じ記憶を共有しているかもしれない。

会話を交わしているうちに、キャンパスの記憶、研究室のあれこれ、住んでいた建物やら先生のことまでもが、あれよあれよと甦ってくる。打ち出の小槌だ。

30年振りに出会った学友にに歓喜の声をあげ、それぞれの出で立ちがあのときの記憶のままだったかのように脳内での認識編成が繰り返される。そして結局、ああ昔と変わりはないのだということに気づく。

そのイベントの謂われは確かのことは思い出すことは出来なかったけれども、何故ハロウィーンの直前の秋の束の間にそれを催す理由がようやく分かった気がした。

それは、郷愁とさみしさがそうさせるのだ。
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Commented by Oyo- at 2016-10-21 08:53 x
うんうん・・・郷愁とさみしさからそうさせることが最近いっぱいあるような気がしてなりません。これは今の世の杜撰さからくるのでしょうか・・・。
Commented by k_hankichi at 2016-10-22 10:29
はい、なんだかそう思います。多くの事柄が・・・。
by k_hankichi | 2016-10-21 07:38 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)

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